受賞 井上誠也

2011年2月　井上誠也先生が第17回日本二分脊椎・水頭症研究振興財団研究助成を受賞しました。

受賞テーマ

小児低コンプライアンス膀胱に対するヒドロキシセルロース配合オキシブチニン膀胱内注入療法の臨床的検討

受賞コメント

二分脊椎患児の低コンプライアンス膀胱に対する治療の中心は、間歇的導尿および抗コリン剤の内服ですが、有害事象などにより、必ずしも全例が良好にコントロールされているわけではありません。本治療法は、患児の抗コリン剤内服による全身性有害事象の問題を克服し、かつヒドロキシプロピルセルロースを配合することで、オキシブチニン単独膀胱内注入療法と比較し、作用時間の延長ならびにアレルギー反応の軽減が期待できます。少数例ではありますが、すでに私どもは小児における有効な治療効果を経験し、抗コリン剤の全身性有害事象なく膀胱容量の増大、膀胱コンプライアンスの改善を確認いたしました。以前より、私どもは成人患者における本治療の有効性を報告してきておりますが、小児に対する膀胱内注入療法の報告は少なく、確立した治療方法というわけでもありません。したがって、本研究により、治療の有効性ならびに安全性が証明できれば、これまでの小児二分脊椎患児における低コンプライアンス膀胱に対する治療に代わる有効な治療の一つになりうることが期待されます。
今回、幸運にもこのような賞をいただいたことを大変光栄に思います。

最後に、このような貴重な機会を与えていただいた齊藤源顕准教授、そして、応募にあたり、私の拙い文章を何度も推敲してくださった武中篤教授にこの場をかりて深く感謝申し上げます。
今回の受賞を励みに、今後とも、日々の診療並びに研究に邁進してまいりたいと思います。