Tottori University Faculuty Of Medicine Division Of Urology
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受賞 本田正史

平成24年度日本二分脊椎・水頭症研究振興財団研究助成を受賞して

鳥取大学医学部附属病院泌尿器科 講師  本田 正史

受賞課題:「二分脊椎に伴う低コンプライアンス膀胱に対するボツリヌス膀胱壁内注入療法の確立」

この度、平成24年度日本脊椎・水頭症研究振興財団研究助成の受賞させて頂き大変光栄な事と深く感謝しております。

二分脊椎に伴う神経因性膀胱の長期管理においては、コンプライアンスが徐々に低下し、失禁の出現とともに上部尿路への影響が出てくる症例が存在します。こういった症例においては、最終的に膀胱拡大術などの検討も必要にあり、こういった治療に替わるより低侵襲治療の開発が求められております。

当科では以前より二分脊椎症の低コンプライアンス膀胱に対するオキシブチニン膀胱内注入療法の臨床研究が行われており、この研究を基礎として、オキシブチニン膀胱内注入療法等でもコントロールが難しい低コンプライアンス膀胱に対するボツリヌス膀胱壁内注入療法の研究を今回発案致しました。

2003年より宮川征男名誉教授主導の下、難治性神経因性膀胱・過活動膀胱・間質性膀胱炎の成人例に対するボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を本邦で初めて開始し、神経因性膀胱研究に携わってこられた多くの諸先輩の御努力により、本邦で有数の治療経験を重ねて参りました。この経験は、引田克弥助教が2013年1月のIJUに報告しております。今までに本邦より本治療に関するまとまった報告は認められず、この報告は非常に貴重な論文報告と考えております。

小児に対するボツリヌス治療の報告は海外においても少なく、本邦でも報告は認められません。今までの成人例に対する鳥取大学の実績を応用して、小児難治性神経因性膀胱症例の治療の助けになる研究が少しでもできればと考えております。

最後に、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の研究を後押しして下さり、助成金の申請に際し多大なご尽力を頂いた武中 篤教授に厚く御礼申し上げます。また、長年の当科のボツリヌス毒素膀胱壁注入療法の研究を支えてこられた宮川征男名誉教授、わたなべクリニック渡邊健志院長、高知大学薬理学教室齊藤源顕教授をはじめ、本研究に携わってこられた多くの同門会の先生方に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。