教授挨拶

 鳥教授 (新)取大学医学部病理学講座器官病理学分野のホームページをご覧いただきありがとうございます。

病理学第1講座は19514月に発足し、第24代教授は九州大学から、第5代教授は広島大学から就任されています。第4代、湯本東吉教授 (19721992) は「軟部腫瘍の病理、骨芽細胞の分化と形成」、第5代、井藤久雄教授 (19922011) は「消化器癌の分子病理、臓器移植の病理」を専門とし、教室を発展させてこられました。この間、2004年からは大講座として、基盤病態医学講座 器官病理学分野に再編されましたが、201241日からは病理関連3 分野(器官病理学・分子病理学、脳病態医学)で、病理学講座として再編されました。この節目となりました201241日付けをもちまして鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍学講座分子細胞病理学分野から赴任しました 梅北 善久と申します。謹んでご挨拶申し上げます。

 

私は1987年に鹿児島大学医学部に入学し、学生時代は野球に明け暮れておりました。当時、病理学第1講座教授であった吉田浩己先生(現 鹿児島大学長)の主催する早朝の英文抄読会や基礎配属に参加したことなどをきっかけに、病理学、特に乳癌の研究に強い興味を持つようになり、卒業と同時に病理学第1講座の大学院へ入学しました。約1年間の内科研修後、大学附属病院や市中病院の病理診断や病理解剖に携わるとともに、乳癌の発生と進展に関する研究を開始し、その後も鹿児島大学において医学教育、病理診断、乳腺疾患を中心とした分子病理学的研究に携わってきました。1994年から約2年間、シカゴ大学ベンメイ癌研究所(Shutsung Liao 教授)へ留学し、前立腺癌のホルモン依存性消失機構及び転移に関する研究を行いました。

 

医学教育ではFD活動を重視し、自身の教育力を常に向上させていくことを基本としてきました。しかしながら、熱意をもって学生と真摯に向き合う姿勢がなければいくら上手な講義をしても、十分とはいえませんので抄読会や放課後の個別指導などにも力を入れてきました。赴任してまだ約3ヶ月ですが、鳥取大学医学部の学生は礼儀正しく、素直な学生が多いという印象を受けております。このような将来性あふれる学生の才能を引き出せるよう今後もより一層、学生教育に力を入れていく所存です。早速、5月から学生向けの早朝英文抄読会 (Pathologic Basis of Disease) 6名でスタートしましたが、地道に継続していきたいと考えています。 

 

病理診断に関しましては病理診断学の進歩に遅れないよう、生涯学習に努め、信頼関係の構築された迅速かつ正確な病理診断を実践していくことをモットーにしています。鳥取大学におきましても臨床各科とのカンファレンスを重視し、臨床医とのコミュニケーションを図るよう心がけ、これらを実践していく所存です。

 

2008年に病理診断科の標榜が認められ、患者診療に貢献する部門として、その業務が社会的に認知されました。すなわち、病理診断医は臨床医であり、その使命は個々の患者さんの診療に役立ち、かつ全体的な医療水準の向上にも貢献することが求められるようになりました。現在のところ病理診断結果は病理医が主治医に報告し、主治医が患者さんに説明するというのが一般的です。しかしながら、標榜科以降は病理医が直接患者さんに説明する「病理外来」を実施する施設が徐々に増えてきました。病理医は自分の診断した結果に対してより責任感を持つようになり、患者さんの納得する医療への貢献のみならず治療意欲向上にも貢献することが期待されています。現在、附属病院に病理診断科を標榜するための準備を進めているところでありまして、近い将来、「病理外来」を開設したいと思っています。

 

研究に関しましては乳癌に限らず、癌の個別化医療に役立つような病理形態学を基盤とした分子病理学的研究を進め、臨床各科との共同研究を積極的に推進していきたいと考えています。これらを実践するために、教室員個々人の個性を尊重し、学生、医師はもちろん、全てのコメディカルに開かれた教室運営を心掛けたいと思います。

 

最後になりますが、次世代の病理医の育成と鳥取大学医学部及び地域医療の発展に貢献できますよう微力ながら誠心誠意努力する所存です。今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

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