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健康鳥取!
スマート・ライフ・プロジェクト
~ 鳥取県における健康寿命延伸プロジェクト ~

令和4年11月
鳥取大学医学部
健康寿命延伸プロジェクトグループ

新着情報

令和5年3月3日 プロモーションビデオとパンフレットを掲載しました
令和5年2月23日 鳥取大学医学部記念講堂において、公開講座「健康寿命の延伸に向けて」が開催されました。
令和4年10月4日 令和4年度から始まった国立大学法人第4期中期計画・目標において鳥取大学では健康寿命延伸に向けてのプロジェクト(健康鳥取!スマート・ライフ・プロジェクト)が立ち上がりました。

イベント開催情報

健康寿命延伸に向けて講演会 日時 未定
場所 未定
健康寿命延伸に向けて
キックオフシンポジウム
日時 未定
場所 未定

ご挨拶

日本は世界トップレベルの長寿国であり、厚生労働省「令和2年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性81.64年、女性87.74年です。また、特定の年齢まで生存する確率も年々上がっており、男性が90歳まで生存する確率は3.5人に1人(28.4%)、女性は2人に1人(52.5%)と言われています。

一方、健康寿命はWHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間のことを言います。すなわち健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされており、簡単にいえば健康でいられる期間となります。日本は平均寿命だけでなく、健康寿命でも世界トップクラスで、2019年(令和元年)時点では、男性72.68年、女性75.38年となっています。

鳥取大学医学部
呼吸器・乳腺内分泌外科学 教授

中村廣繁

しかしながら、健康寿命とは健康に過ごせている期間のことですから、平均寿命と健康寿命の差は不健康な期間ともいえるため、この期間は当然短ければ短いほどよく、いかに短くするかは、本邦においても大きな課題のひとつとなっています。実際に平均寿命と健康寿命の差は男性が8.73年、女性が12.07年で、女性のほうが約3年長くなっており、女性は男性よりも不健康な期間が長いということにもなり、果たしてこれで本当に幸せが実感できるかは疑問です。

それでは、健康寿命の都道府県別比較において鳥取県はどうでしょうか?驚くことに、令和3年12月20日の第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会(参考資料1)で公表された健康寿命の令和元年値では、男性は71.58歳でワースト3位、女性は74.74歳でワースト7位となっています(図1)。鳥取県では全国平均より約1歳、最長県とは約2~3歳も健康寿命が短いことになります。これは、健康寿命の延伸を謳っている鳥取県、米子市としては大変憂慮すべき事態です。また、健康寿命が短いと本人が病気などによって苦しい思いをするだけではなく、看病や介護をする家族にまで肉体的・精神的に負担をかけてしまいます。さらに、医療や介護にかかる費用負担も大きくなってしまい、医療費高騰という大きな社会問題も招き、いわゆる社会的フレイルの状態を引き起こします。従って、健康寿命を少しでも伸ばすため早期の包括的介入が期待されています。

そこでこの度、鳥取大学医学部では鳥取県の健康寿命を延ばすことを目的として、「健康鳥取!スマート・ライフ・プロジェクト」を立ち上げて、4つの柱を軸として地域貢献活動を展開し、鳥取県の健康寿命の延伸を図ることを計画しました>(図2)。

図1 | 都道府県別健康寿命(2019)の違い
図2 | スマート・ライフ・プロジェクトの概要

プロジェクトの
ポイント

日本は長寿国であり、健康寿命も長くなっています。しかしながら、現実には健康寿命と平均寿命との開きはまだまだ大きく、社会的にも対策を講じて健康寿命を延ばすことが今後の大きな課題です。鳥取県は特にこの健康寿命が短いことから、本プロジェクトで包括的フレイル予防を実践することにより、社会的フレイルの問題にアプローチして健康長寿県となることを目指したいと思います。

FAQ よくある質問

Q1.フレイルとはいったいどういうことですか?

A1.フレイルは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty(虚弱)」の日本語訳です。 健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指しますが、適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があります。

図 | フレイルの進行

Q2.健康寿命はどうやって計算されるのですか?

A2.2012年に策定された健康日本21で「日常生活に制限があること」を不健康と定義し、3年ごとに実施される「国民生活基礎調査(大規模調査)」で得られたデータをもとに算出することになりました。具体的には以下の通りです。

  1. 「日常生活に制限のない期間の平均」(主指標)
    「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問に対して、「ない」という回答を「健康」とし、「ある」という回答を「不健康」として、サリバン法*により算出する。
  2. 「自分が健康であると自覚している期間の平均」(副指標)
    「あなたの現在の健康状態はいかがですか」という質問に対する、「よい」「まあよい」「ふつう」という回答を「健康」とし、「あまりよくない」「よくない」という回答を「不健康」として、サリバン法*により算出する。

「健康日本21(第二次)」では、前者を主指標、後者を副指標と位置付け、この2つの指標により健康寿命を評価することにしました。

*サリバン法
毎年必ず10万人が誕生する状況を仮定し、そこに年齢別の死亡率と、年齢別の「健康・不健康」の割合を与えることで、「健康状態にある生存期間の合計値(健康な人の定常人口)」を求め、これを10万で除して健康寿命を求める。なお、我が国の現行指標では、簡易生命表から5歳階級別の定常人口、国民生活基礎調査から5歳階級別の「健康・不健康」の割合を得て、「健康な人の定常人口」を求めている。

Q3.健康寿命延伸のために必要なことはなんでしょうか?

A3.
  1. 運動
    運動を制限されるような病気や障害などを抱えていないのであれば、適度に体を動かすことを習慣化すると良いです。1日トータル30分を目安に、息がはずむ程度のペースでのウォーキングでも問題ありません。体調が悪いときは無理せず、水分補給を忘れずに実践しましょう。
  2. 栄養(食事)
    健康寿命を延ばすために、日本食を摂ることを推奨する専門家が多いです。主食は穀物などのご飯、副菜では、ビタミン類やミネラル類が多く含まれる野菜、良質なタンパク質・脂肪が摂れる魚介類などで構成される低カロリーなものが良いと言われます。朝食は抜かず、早食いや大食いをしない、十分に噛んでから飲み込む、腹八分目にとどめるなど、食事の摂り方にも注意しましょう。
  1. 社会参加
    社会とのつながりを保ち続けることは、外出のきっかけや気分転換にもなり、身体的にも精神的にもフレイル予防につながります。閉じこもりを防ぐために、小さな用事を組み合わせて、こまめに外出することを心がけましょう。
  2. 睡眠とストレス解消
    毎日の睡眠は、良質かつ十分な時間を確保します。
    健康寿命を延ばすために一番手軽に実践できる対策です。
    睡眠は肉体的な疲労を取り除くだけではなく、精神的にも安定します。
    日々のストレスは身体能力、精神機能、免疫機能などすべてに悪影響となります。
図 | 健康寿命を延ばす
3つのヒケツ(米子市HPより)

Q4.フレイルかどうか確かめる方法はありますか

A4.自分が「フレイル」かどうかを確かめる方法はいくつかありますが、比較的簡便なものとしてここでは5項目をご紹介します。5項目のうち3項目以上該当すると「フレイル」、1または2項目該当するとプレフレイル(フレイルの前段階)と判断されます。

体重減少 半年で2kg以上体重が減った(栄養指導等で意図的に減らした場合を除く)
筋力低下 握力が男性で28kg未満、女性で18kg未満である
疲労感 ここ2週間わけもなく疲れた感じがする
歩行速度の
低下
通常歩行速度1.0m/秒未満(横断歩道が渡り切れないなど)
身体活動量の
低下
次の2つのうち、どちらも「週に1回もしていない」
(1)軽い運動・体操 (2)定期的な運動・スポーツ

そのほかに25項目の質問を用いて評価する方法もあります

参考資料

「健康鳥取!スマートライフプロジェクト」PV パンフレット
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