医学部長メッセージ

永島医学部長

 鳥取大学医学部は、第2次世界大戦終結間近の1945年7月1日、多くの関係者の献身により米子医学専門学校として設立されました。その後、米子医科大学を経て1949年に現行の鳥取大学医学部に改称され、1990年には生命科学科、1999年には保健学科が新設されたことで現在の3学科体制が整い、今年2025年には創立80周年を迎えます。1958年に医学研究科として設置された大学院は、学部の再編に伴い名称変更や改組を重ね、2020年には『医学専攻(博士課程)』『医科学専攻(博士前期・後期課程)』『臨床心理学専攻(修士課程)』の3専攻を設置して現在に至ります。
 創設以来、地域の皆様の温かいご支援のもとで、医療人や研究者として必要な全人的視点と高度な専門知識・技術を兼ね備えた人材を数多く輩出してまいりました。今後も、病に苦しむ方々や社会の多様なニーズを的確に捉え、幅広い教養と倫理観、科学的根拠に基づく判断力を備えた人材の育成に努めます。同時に、これまで培ってきた伝統をさらに発展させ、教育・研究・診療・社会貢献の四本柱を有機的に結びつけ、未来の医療を担う人材を育成していきます。
 鳥取大学医学部には、鳥取県のみならず全国各地や海外から多様な学生・研究者が集い、互いに切磋琢磨する学風が根付いています。最先端の基礎研究から臨床現場への橋渡し研究、地域医療の最後の砦を担う医学部附属病院での最先端治療の導入と温かく安全な看護により、皆様の健康増進や新たな治療法の開発に寄与してきました。今後も、地域に根ざした最先端の研究や国際交流を推進し、医療の進歩を通じて持続可能な社会づくりに貢献いたします。
 鳥取県は、『因幡の白兎』や『赤猪岩神話』といった古事記に由来する医療の神話が残る地域です。日本海や大山に象徴される雄大な自然に囲まれて、海や山のスポーツ、豊かな食材など多彩な魅力があります。このように豊かな歴史と自然のもとで、学問や研究に専念できる環境が整っています。研究室や学科の垣根を越えた学際的連携、地域医療機関や自治体、さらには海外の大学・研究機関との協力を積極的に進めることで、学生や研究者一人ひとりが高い倫理観と探究心を培えるよう、カリキュラムや学修・研究環境の充実にも力を注いでまいります。
 これからも、鳥取大学医学部の新たな挑戦にご理解とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

2025年4月        
鳥取大学医学部長 永島 英樹