医学部長メッセージ

「地域社会のみならず国際的に貢献できる全人的医療人、研究者の養成を目指す」

黒沢医学部長

鳥取大学医学部は、昭和20年(1945年)設立の米子医学専門学校を前身として、米子医科大学を経て、昭和24 年(1949 年)に設置されました。平成2年(1990 年) には、生命現象の基本的な真理の探究や疾患の原因を解明する研究者、またはそこから導かれる最先端の医療法を開発する研究者の育成する学科として生命科学科が、医学部に創設されました。平成11 年(1999 年) には、看護師と臨床検査技師を育成していた鳥取大学医療技術短期大学部が保健学科となり、医学部は3学科体制となっています。また、大学院医学系研究科は、医学専攻、生命科学専攻、保健学専攻、機能再生医科学専攻、臨床心理学専攻が設置されています。鳥取大学医学部は、2020年で設立より75周年を迎え、この間、山陰の医学教育・研究・診療、そして人材育成の中核としての社会的使命を果たしてきました。これまでに約5,800名の医師と約1,300名の看護師、約600名の臨床検査技師、約900名の生命科学学士を輩出しており、卒業生は山陰のみならず、全国各地で医学・医療のリーダーとして活躍しています。また、多数の卒業生が母校で教鞭をとり、後進の育成を担当しています。

医学教育では、鳥取大学の特色である、「ヒューマン・コミュニケーション」、「基礎手話」の授業等、人間性涵養教育による、全人的医療人養成を行っており、国際的な医学教育基準の医学教育分野別評価(平成30年7月受審)の際にも高い評価を受けました。他者とのコミュニケーション能力を有し、患者への理解やいたわりの心を持ち、臨床的実践力を有し、他職種連携によるチーム医療のなかで中心的役割をはたすことができる、医師、看護師、臨床検査技師等の全人的医療人の養成は、本医学部の最も重要なミッションと考えています。

高度専門医療を担う鳥取大学医学部ですが、「地域医療」教育にも力をいれています。高度専門医療と地域医療が対立するのではなく、お互いに補完し合いながらやっていく必要があると考えています。「地域医療」教育では、「早期体験・ボランティア」、「地域医療体験」等の体験型授業に加え、山陰地域の病院・診療所での実際の診療に参加する地域医療臨床実習を行っております。さらに、アメリカ、イギリス、カナダ、フィリピン、ロシア等、海外での臨床実習、研修プログラムも行われています。

医学科、生命科学科、保健学科は、それぞれに特徴的な教育、先進的な研究を行っていますが、それらの教育力や研究力を融合してさらに発展させることが必要です。そのため、学科の枠を超えた合同講義、研究室配属等の教育を行い、医学部全体での研究体制、また学部を越えた研究体制(医工農連携研究)の構築にも積極的に取り組んでいます。

診療、研究面においては、低侵襲ロボット手術(鳥取大学医学部附属病院低侵襲外科センター)や人工染色体・幹細胞操作技術の医療応用技術(鳥取大学染色体工学研究センター)等を始めとする世界的な診療、研究の実績があります。このような、先端的で特色ある医療、研究を土台にして、さらに再生医療、ゲノム医療等の最新の医療技術の開発をすすめています。それらを担う人材、臨床研究者及び生命科学・基礎医学研究者の養成を積極的に推進し、臨床や産業界との橋渡しができる人材の育成に力を入れています。また、少子高齢化の先進地である山陰の地の利を生かし、子どもの健康と環境、生活習慣病、介護、認知症に関する研究も活発に行われています。例えば、10万人規模の大規模出生コホート研究「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」(環境省)の研究ユニットセンターとして鳥取大学医学部が中国地方で唯一選定され、ご両親と子どもの健康に関する環境調査・研究を精力的に行っています。

鳥取大学医学部は、今後とも、地域社会のみならず国際的に貢献できる全人的医療人、研究者の養成を目指していきます。医学・医療、生命科学に情熱を持っておられる若い皆さんの入学を心待ちにしております。

鳥取大学医学部長 黒沢洋一