Tottori University Faculuty Of Medicine Division Of Urology
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過活動膀胱

過活動膀胱(overactive bladder:OAB、以後OABと略す)とは、尿意切迫感(急に起こる、抑えることが難しい強い尿意のこと)を必須とした、症状のことをいい、通常は頻尿(頻繁に排尿すること)や夜間頻尿(就寝後から起床時までに度々、排尿にいくこと)を伴います。
原因としては、何らかの神経疾患(脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病、多系統萎縮症、脊髄損傷、二分脊椎など)が原因で起こる神経因性OABと神経的な異常がない非神経因性OABがあります。非神経因性OABの原因としては、男性の場合の前立腺肥大症、加齢、骨盤底筋(膀胱や膣、子宮、直腸などを支える筋肉のこと)が弱くなること、特発性(特にOABになる理由がはっきりしない)などがあり、OABでは原因が特定できない場合も多くあります。

症状

  • 尿意切迫感:突然起こる、抑えることが難しい強い尿意のこと
  • 昼間頻尿:日中の排尿回数が多すぎること
  • 夜間頻尿:夜間の排尿のため1回以上起きること
  • 切迫性尿失禁:尿意切迫感と同時またはその直後に、尿が漏れてしまうこと

などがOABにみられる症状です。

診断

問診

症状の詳細と原因となるような疾患や薬剤の内服などがないかを伺 います。

質問票

過活動膀胱症状質問票(Overactive Bladder Symptom Score : OABSS)(PDF:31KB)を用います。この質問票で「質問3のスコアが2点以上、かつ、合計の点数が3点以上」の場合はOABと診断することが推奨されています。

排尿日誌

排尿された時間、1回の排尿量、尿意切迫感・尿失禁の有無を日誌につけて頂きます。

尿流測定、残尿測定

症尿の勢いをみる検査です。特殊な装置が付いた便器に排尿して頂くだけです。排尿して頂いた後に、超音波機器で残尿(膀胱内に残るおしっこの量)を測定します。

腹部超音波検査

腎臓、膀胱などの状態を検査します。男性では前立腺の大きさなどの検査します。

検尿

尿に血液が混じっていたり、炎症を起こしていないかを調べます。

PSA

一般に50歳以上の男性では、前立腺癌の有無を調べるためのPSAの採血検査も行います。

治療

行動療法

生活指導、膀胱訓練、骨盤底筋訓練などの理学療法などがあります。
水分やコーヒー、紅茶に含まれるカフェインの過剰摂取が原因の場合もありますので、これらの摂取量を適正にすることで症状の改善が得られる場合があります。

薬物療法

抗コリン薬やβ3刺激薬が一般に使用されます。
男性のOABに対しては、前立腺肥大症に用いられる、α遮断剤と抗コリン剤の併用や、それぞれ単剤を使用した治療が行われます。
抗コリン薬は便秘、口渇、急性緑内障発作、不整脈などの副作用があります。
そのため、腸閉塞(イレウス)を起こしたことがある方、心不全・不整脈などの重得な心疾患がある方、重症筋無力症のある方、緑内障のある方などは内服することが通常できません。
女性のOABに対しては、抗コリン薬単剤で効果が乏しい場合、β3刺激薬と併用する場合もあります。

Neuromodulation

行動療法と薬物療法が標準的な治療になりますが、これらの治療で十分な改善が得られない場合の一つの選択肢として、電気刺激療法、磁気刺激療法などがあります。
当科でも経皮的電気刺激療法を行っております。腰の部分に電極を2枚当て、ここから低周波を流して治療を行います。

ボツリヌス毒素膀胱壁内注射療法

詳しくは、先進的医療、ボツリヌス毒素膀胱壁内注射療法のページをご覧下さい。