Tottori University Faculuty Of Medicine Division Of Urology
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小児泌尿器科

包茎

子供は包茎であることが自然な状態です。9割以上のお子さんが10歳までに自然に包皮が剥けるようになります。おちんちんの先が赤く腫れたり痛くなる亀頭包皮炎を起こすことがありますが、数日抗生剤入りの軟膏を使用すれば直によくなります。包皮が硬く自然に剥けない場合や、包皮の中におしっこが溜まりうまく排尿できないような場合には手術を行います。

停留精巣

精巣が陰嚢内に降りていない状態です。生後3ヶ月を過ぎると自然に精巣が下降してくる可能性はなくなるため、手術(精巣固定術)を行うことが必要です。停留精巣では精子を作る機能が障害されたり、悪性化する危険が高いため、できるだけ早期に手術を行うことをお勧めします。

遊走精巣

固定が不十分なため精巣が鼠径部と陰嚢内を移動する状態です。入浴時や温まった環境では精巣は陰嚢内に降りてきやすくなります。停留精巣と区別が難しいことがあります。精巣の発育とともに80%で自然に治癒します。精巣が小さかったり降りにくい場合には早期に精巣固定術を行いますが、そうでなければ10歳頃まで様子をみることもあります。

陰嚢水腫

子供ではお腹の中と陰嚢の内に交通があることがあり、精巣のまわりに水が溜まって陰嚢が腫れて見える状態です。3、4歳までは自然治癒する可能性があるため様子を見ますが、それ以降では自然治癒は少なく、手術をお勧めします。

尿道下裂

男の子で尿道の発育が悪く、尿道がおちんちんの先端ではなく、下の方に開口する異常です。軽症のものも含めると男児出生300~500に1人程度の発生率です。程度がひどいと立位排尿ができません。またおちんちんが前屈していることが多く、将来性交障害を起こすことがあります。ごく軽症の場合を除いては手術療法が必要です。

腎盂尿管移行部狭窄症

水腎症(腎臓に尿が溜まった状態)をきたす原因は多数ありますが、小児では腎盂尿管移行部の先天性閉塞が最も多い原因です。腎盂腎炎による発熱や腹満、腹部腫瘤、腹痛などで発見されますが、最近では胎児・新生児期に超音波検査で発見される無症状例が増加しています。水腎症の程度や腎機能、痛みなどの症状、尿路感染などをみて必要があれば手術をお勧めします。病的な腎盂尿管移行部を切除して尿路をつなぎ直す、腎盂形成術を行います。

膀胱尿管逆流症

先天的な解剖学的異常により膀胱内の尿が病的に尿管に逆流する現象です。尿路感染の最も多い原因です。自然軽快する可能性もあり、軽度の逆流の場合には何もせずに様子をみますが、通常抗生剤の予防投与を行います。高度の逆流や改善しない逆流、抗生剤の投与を行っていても尿路感染をきたす場合などには腎臓の機能を保護するために手術をお勧めします。逆流しにくい状態で膀胱に尿管をつなぎ直します。

夜尿症(おねしょ)

おねしょがあっても昼間のおしっこに問題ないお子さんは、何か病気があることは少なく、成長に伴い高率に自然消失します。睡眠や膀胱機能の発達遅延が原因と考えられます。10歳頃までは経過観察をお勧めします。改善がなければ膀胱機能を精査し、水分制限などの生活指導や、膀胱訓練、薬物治療、アラーム療法などを行います。