女性泌尿器科は女性に特有または多くみられる、骨盤臓器脱、腹圧性尿失禁をはじめとする尿失禁、過活動膀胱、間質性膀胱炎、神経因性膀胱などについて診療する専門領域です。これらの疾患は中高年女性のお仕事や心の健康に大きく影響を与え、日常生活を大変不便なものにしています。
落ち着いた環境の下、安心して治療を受けて頂けるように、以下のような点に配慮しています。
妊娠、出産、閉経、骨盤内手術などにより、子宮、膣、尿道を支える骨盤の筋肉などが弱くなり、膀胱、子宮、膣、直腸が、膣の外に出てきてしまう疾患です。 日本の推定患者数は約730万人以上といわれてます。
こんな症状があります
治療としては、
ペッサリー留置や手術療法を行います。
手術療法として、メッシュテープを用いて膣を支えるようにする手術(仙骨膣固定術)が注目され、2020年4月からロボット支援仙骨膣固定術が保険適用となっています。
膣前後壁に縫合固定したメッシュテープを仙骨前面に牽引固定する手術です。
手術支援ロボットの利点を最も生かせる術式です。
咳やくしゃみをした時や重い荷物を持った時など、お腹に力がかかる動作をした際に尿漏れをきたす疾患です。
加齢、出産、子宮などの骨盤内手術により、骨盤を支える筋肉などが弱くなることで起こります。
治療としては、
症状が軽い場合は骨盤底筋訓練を行います。
骨盤底筋訓練で治らない場合や症状が重い場合はTVT(tension-free vaginal tape)手術やTOT(trans-obturator tape)手術といった尿道スリング手術を行います。
TVT手術は、尿道裏側に通したメッシュテープを恥骨上へ誘導します。症状が重い場合でも比較的成績が良好ですが、下腹部手術歴がある場合はできない場合があります。
TOT手術は、尿道裏側に通したメッシュテープを両側の閉鎖孔へ誘導します。この術式は下腹部手術歴がある場合でも行う事ができます。
症例によって術式を使い分けます。
尿意切迫感(急にトイレに行きたくなり我慢できないことをいいます)を主な症状として、頻尿、尿失禁をきたす疾患です。
本邦で男女合わせて約1,040万人の患者がいると推定されています。
治療としては、
行動療法(飲水指導や膀胱訓練など)と、抗コリン薬やβ3作動薬を用いた薬物療法が主な治療法です。
効果が不十分な場合は、ボツリヌス療法、仙骨神経刺激療法などが保険適用となっています。