Tottori University Faculuty Of Medicine Division Of Urology
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ボツリヌス療法

適応となる疾患

*健康保険が適用になります

過活動膀胱

薬物療法などの従来の治療で効果が得られない尿意切迫感*・頻尿・尿失禁
*尿意切迫感は急にトイレに行きたくなり我慢ができない症状をいいます

神経因性膀胱

薬物療法などの従来の治療法で効果が得られない尿失禁

使用する薬剤

治療にはボトックス®(A型ボツリヌス毒素製剤)を使用します。

この薬剤には筋肉の緊張を和らげる作用があります。

泌尿器科以外でも、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害に保険適用があり、多くの疾患で治療に使用されています。

治療方法

膀胱鏡という尿道から挿入する内視鏡を使用します。
異常な収縮が生じている膀胱の筋肉に20~30か所、直接薬液を注入します。
希望により局所麻酔などで痛みを和らげて行います。
治療は10~20分ほどで終了します。
処置は外来で可能です。(ご希望や病状により入院で行う場合もあります)

ボツリヌス療法

膀胱の内側から20~30か所、膀胱の筋肉に薬液を注入します

| 膀胱の筋肉に薬液を注入
| 外来での治療の様子

効果

膀胱の筋肉の緊張を和らげて、膀胱に尿を貯めやすい環境を作り、尿失禁や頻尿といった症状を改善します。

ボツリヌス療法の効果

以下のような効果が期待できます

夜間の排尿回数や尿もれが減ることで、眠りやすくなります。
また、昼間の排尿回数や尿もれが減ることで、外出や旅行、仕事などがしやすくなります。

ボツリヌス療法は、数カ月に1度の注射で治療を行います。
効果は治療後2~3日であらわれます。
通常、過活動膀胱では4~8カ月、神経因性膀胱では8~11か月にわたって効果が持続します。
効果の状態をみながら、2回目以降の治療の必要性を検討します。

副作用

ボツリヌス療法を受けた際に、下記の症状がみられた場合はすぐにご相談ください。

  • 尿路感染
    尿路感染で炎症が生じると、排尿時に痛みを感じたり、発熱することがあります。
  • 残尿の増加
    尿を全部出すことができなくなり、膀胱内に尿がたまってしまう症状です。
  • 尿閉
    尿が出づらいなど、排尿がスムーズに行えなくなる症状です。

残尿の増加、尿閉などの副作用は、効果と同様、時間の経過とともに消失します。
これらの治療に自己導尿が必要になる場合があります。

ボツリヌス療法を受けられない方

  • 尿路感染にかかっている方
  • 尿が出しきれない症状があるのに導尿を行っていない方
  • 全身性の筋力低下をおこす病気がある方
  • 妊娠中あるいは授乳中の方、妊娠している可能性のある方
  • この治療により、アレルギーを生じることがわかっている方
  • 自己導尿が必要になった場合に、導尿の実施に同意いただけない方