Tottori University Faculuty Of Medicine Division Of Urology
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勃起機能障害

勃起障害(erectile dysfunction:ED、以下EDと略します)とは、満足な性交渉をするための十分な勃起ができなかったり、あるいは勃起を維持できない状態をいいます。
最近の報告では、成人男性の5~20%にEDがあると言われています。
EDのリスクファクター(原因となるもの)としては、加齢、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症、うつ病などの精神疾患、前立腺肥大症、薬剤などがあり、また、頭部や脊髄の外傷・手術、骨盤内手術(前立腺、膀胱、直腸など)、外傷による骨盤の血管の損傷なども原因になります。
また、多くの心臓疾患や血管疾患を有する方がしばしばEDを自覚していることが分かってきており、成人病の初発症状としてEDが発症する場合があることが注目されています。

診断

問診

症状の詳細と原因となるような疾患や薬剤の内服などがないかを伺います。

勃起機能に関する質問票

IIEF5(PDF:40KB)と言われる質問票で、5つの質問事項に答えて頂き、EDの状態がどの程度なのかを評価します。世界中で診断や治療の効果を評価するために用いられている非常に信頼性の高い質問票です。

身体診察

血圧、脈拍、神経、外性器の異常などがないかをチェックします。

血液検査

血糖値、総コレステロール値、中性脂肪値、テストステロン値などを場合により測定します。

特殊検査

夜間勃起現象検査、陰茎ドプラ検査、海綿体内圧・造影、陰茎動脈造影、CTアンギオグラフィーなどをそれぞれ必要な場合に行います。

治療

薬物療法

PDE5(phosphodiesterase5)阻害剤

性的刺激に反応して起こる陰茎海面体の筋肉の弛緩(筋肉が緩むこと)を助けて勃起が起こるようにする薬剤です。
日本では、シルデナフィル(バイアグラ®)、バルデナフィル(レビトラ®)、タダラフィル(シアリス®)が処方可能です。
狭心症などで硝酸薬を使用中であったり、不整脈の治療薬を内服している方はPDE5阻害剤を内服できません。
また、以前のPDE5阻害剤内服でアレルギー症状が出た方、心血管疾患で医師より性行為を止められている方、重症の肝臓病をお持ちの方、高血圧・低血圧、網膜色素変性症、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を起こした方も内服できません。
副作用として、頭痛、消化不良、顔面紅潮、鼻づまり、視覚異常、持続勃起症などがあります。
内服処方は自費診療になります。

その他でもPDE5阻害剤の服用を控えた方がよい場合がありますので、処方を受けられる場合には担当医と十分に相談して下さい。

陰圧式勃起補助具

陰茎に注射器のようなものを被せ、これに陰圧をかけて陰茎内に血液を吸引した後、陰茎基部にゴムバンドを巻いて勃起を維持します。
抗凝固剤(血液が固まりにくくする薬)を内服している方は使用できません。
機器の購入は自費になります。

海綿体注射

プロスタグランディンE1という薬剤を細い注射器を用いて陰茎海綿体に注射して勃起を起こします。
副作用として、持続勃起症、陰茎痛、陰茎の繊維化、皮下出血などが起こる場合があります。
PDE5阻害剤が無効な場合や内服ができない場合の有効な治療法ですが、日本では治療として認可されていません。

外科治療

血管損傷などが原因のEDでは動脈バイパス手術などの血管手術を行う場合があります。また、最終的な治療法としては、陰茎海綿体にプロステーシスという勃起を人工的に起こすものを埋め込む手術があります。