通常の性行為を行う男女の間には、1排卵周期に約15%の確率で妊娠が成立すると考えられ、正常な夫婦が避妊せずに夫婦生活を行っていると約85%の夫婦は1年以内に妊娠することになります。したがって避妊せずに夫婦生活を行っているのにもかかわらず2年たっても妊娠をしない状態を不妊症と言います。不妊症の原因は女性側に多いのですが、不妊カップルの半数では男性にも原因があるとされ、男性側に原因があるものを男性不妊症といいます。
男性不妊の原因は以下のように分類されます。
まずは通常の性交が行えているかどうか、排卵日前後に性交を行っているかどうかが重要です。また、いままでの既往歴なども重要になります。
精巣の形態や大きさに異常がないか,精索静脈瘤の有無などを診察します。
用手的に採取した精液を顕微鏡で観察します。
精液の量 | 正常値:1.5ml |
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精子濃度 | 正常値:1500万/ml以上 |
精子運動率 | 正常値:40%以上 |
奇形率 | 正常形態が4%以上 |
精液所見は、絶えず変動するため、2週間以上の期間をあけて数回検査して判断します。
採血を行うことで精巣の機能を調節するホルモンや、男性ホルモンの値の異常がないか調べます。
精子数が極めて少ない場合、染色体異常が原因の場合があるため調べることがあります。
精索静脈瘤が原因の場合は手術治療によって、ホルモン分泌の異常が原因の場合はホルモン補充療法により精液所見の改善が認められます。しかしながらそれ以外の場合には有効な治療方法が確立されていません。
手術により精路の再建を行います。
感染の場合には抗生剤、構成し交代の場合にはステロイド等を用いた薬物による治療を行います。
以上の方法で効果がない場合には人工授精、体外受精、顕微授精などの補助生殖技術で妊娠を目指すこととなります。