腹腔鏡手術

当科では、体への負担が少ない低侵襲手術を積極的に行っています。

低侵襲手術とは、皮膚の傷を小さくしたり、手術時間や出血量を減らすなど、患者さんの体への負担が極力少ない手術のことです。当科では低侵襲手術として、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術、子宮鏡下手術などを行っています。

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術とは、お腹に数カ所の小さな穴をあけ、そこからお腹の中に腹腔鏡(お腹の中をみるための内視鏡)と鉗子操作用の手術器具)を入れ、モニターをみながら行う手術です。開腹手術とくらべて美容的で痛みが少なく、術後の回復が早いため、早期の退院と社会復帰が可能です。通常の腹腔鏡下手術では最短3-4日目に退院することが可能となります。

当科では日本産科婦人科内視鏡学会指定の認定研修施設であり、年間200例程度の腹腔鏡下手術を行っています。腹腔鏡下手術は高度な技術と知識、経験を必要とするため、日本産科婦人科内視鏡学会が、安全かつ円滑に腹腔鏡下手術を施行でき、また腹腔鏡下手術の指導者としての資質を有する医師を“技術認定医"として認定しています。当科では、腹腔鏡下手術の技術認定医が4名在籍し、手術を行っています。

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写真 | お腹に4カ所の小さな穴をあけ、直径5-12mmの筒状の手術器具を通して内視鏡と操作用鉗子をお腹の中に入れます。
炭酸ガスでお腹を膨らませ、お腹の中の映像をモニターでみながら手術を行います。

腹腔鏡下手術の適応と術式

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、卵巣腫瘍などの良性疾患のほとんどが腹腔鏡下手術の適応となります。良性疾患であっても、お腹の中の状態によっては腹腔鏡下手術ができないこともあるので、外来での診察や検査により腹腔鏡下手術が可能かどうかを検討します。悪性疾患では、現在、初期の子宮体癌に対し、保険診療としてロボット支援下の腔鏡手術を行っています(詳細は別ページをご覧ください)。
当科では令和2年度に計181件の低侵襲手術を実施しました。術式の内訳は表に示す通りです。

写真 | 左は子宮全摘術、右は良性卵巣腫瘍の手術を腹腔鏡下手術で行っているところです。
当科では大きな子宮筋腫や良性卵巣腫瘍に対しても腹腔鏡下手術を実施しています。

子宮鏡下手術

子宮鏡下手術とは、子宮用の細い内視鏡を腟から子宮内に挿入し、子宮内の病変を子宮鏡先端にある電気メスを使って切除する手術です。子宮の中の映像をモニターで見ながら手術を行います。お腹の皮膚を切開する必要がなく、術後の痛みはほとんどありません。子宮粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープなどの良性腫瘍や中隔子宮など先天性奇形を有するものなど子宮内壁に突出する病変が適応となります。通常2泊3日の入院期間となります。当科に在籍する子宮鏡手術の技術認定医が中心となって手術を行っています。

写真 | 左は子宮全摘術、右は良性卵巣腫瘍の手術を腹腔鏡下手術で行っているところです。
令和2年度 年間低侵襲手術件数 181
子宮全摘出術 ロボット支援下手術 付属器(付属器腫瘍)摘出術 子宮鏡下手術
55 42 35 34
リスク軽減卵管卵巣摘出術 子宮筋腫核出術 子宮外妊娠手術 その他
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