無痛分娩

1.無痛分娩とは

お産の痛みを、麻酔のお薬を使って和らげる方法を無痛分娩あるいは和痛分娩といいます。痛みを適切に取り除き苦痛のない安全なお産を目指す処置です。全く痛みがなくなるわけではありませんが、陣痛による疲労やストレスが少ないため、分娩後の体力を温存でき、回復が早くなると言われています。

当院で行っている無痛分娩は、基本的には計画分娩となります。陣痛が来る前にあらかじめ入院しておきます。入院日はおよそ妊娠40週頃になります。
麻酔は硬膜外麻酔という麻酔法で行います。背中からチューブ(細い管)を入れて、そこから痛み止めの薬(局所麻酔薬)を注入することにより、痛みを取り除きます。

引用 | 日本産科麻酔学会 HP

2. 外来にて

無痛分娩をご希望の際には、外来受診の際に担当医へお伝えください。妊娠経過や合併症などに問題がなければ、無痛分娩を選択できます。妊娠34週頃までに予約が必要です。

3. 無痛分娩の意思決定支援

まず、無痛分娩について動画を見ていただきます。
ご家族との話し合いや助産師との面談の後、不明な点などは医師と相談して、無痛分娩を選択するか決定します。

4.無痛分娩の流れ

(1) 入院、硬膜外カテーテルの留置

妊娠40週頃を目安に入院します。硬膜外麻酔に使う細い管(カテーテル)を背中から留置します。

(2) 分娩誘発

計画分娩では、陣痛を人工的に起こす必要があるので、分娩誘発を行います。分娩誘発とは子宮の出口に風船のような器具を入れたり、薬剤を投与したりといった一般的な方法を用いて行います。分娩誘発を行っても、当日に分娩が終了するとは限りません。分娩誘発についての詳細は、外来にて別途ご説明します。

(3) 鎮痛薬の投与(麻酔開始)

陣痛がはじまり、子宮口が開いてきたら、硬膜外カテーテルから鎮痛薬の投与を行います。これによって徐々に痛みが軽減されていきます。薬剤は図のような器械によって自動的に注入されます。また、痛みがある際に患者さん自身でボタンを押し、薬剤を注入することができます。安全のため、あらかじめ設定された上限以上に薬剤が注入されることはありません。

(4) 分娩

子宮口が完全に開大し、いざ分娩となる際には、お母さんによる努責(いきみ)が必要です。陣痛が分かりにくくなる場合がありますが、こちらからお声掛けしたり、サポートしますので、タイミングをあわせて力を入れてみましょう。

写真 | スミスメディカル社
携帯型精密輸液ポンプ

5.無痛分娩の間の過ごし方

分娩誘発の間は胎児心拍のモニタリングを連続的に行い、胎児の状態を常に確認しています。

子宮口が5cmくらいまで開いてから無痛分娩(痛み止め)を開始するため、そこに至るまでは陣痛を呼吸法などでのがせるよう、助産師がサポートします。

6.当院で無痛分娩を行われる際の注意点

  • 無痛分娩は陣痛の痛みが全くなくなるわけではありません。また、麻酔の効き方には個人差があります。
  • 妊娠34週までに予約が必要です。この日に出産したいといった希望に沿うことはできませんのでご了承ください。
  • 無痛分娩が適用とならない場合があります。
  • 計画した入院日より前に陣痛が来てしまうと無痛分娩ができない場合があります。
  • 硬膜外チューブが抜けた場合や、効果が乏しい場合はチューブを再挿入することがあります。
  • 母体や胎児の状態によっては無痛分娩を中止する可能性があります。
  • 対象は、鳥取県西部、安来在住の方です。(帰省分娩の方を含みます)

7. 無痛分娩の費用

無痛分娩は保険診療ではありません。そのため、病院によって定められた費用の負担をお願いすることになります。当院では通常の分娩費用に加えて89,000円のご負担をいただいております。詳細は外来でお尋ねください。

8. 当院は、
無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)へ参画しています。

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