画像診断治療学分野

Division of Radiology

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分野の特色

日々の臨床の仕事を大切にして、最高の放射線診療・教育・研究を行うことを心掛けています。
研究課題は臨床をベースにしたものが中心です。
若い放射線科医が多く、全国各地から放射線科医が集まり、絶えず笑い声が聞こえてくる教室で、明るく、まとまりの良いのが特徴です。

分野での主要な研究テーマとその取り組みについての説明
    • 特徴的診断・治療技術

中枢神経・頭頸部
①非造影MR灌流画像による脳疾患の検討
脳腫瘍や脳血管障害など、種々の脳疾患に対する非造影MR灌流画像の有用性について検討を行っている。
②認知症における脳血流SPECTによる有用性の検討
軽度認知障害および早期アルツハイマー病を含めた認知症の局所脳血流を評価し、easy Z-score imaging systemを用いてその診断における有用性について検討を行っている。
③神経線維腫症1型における叢状神経線維腫の評価
当院が推進している神経線維腫症1型アドバイザリーボードの活動の一環として、視診では評価しきれないような、深部の叢状神経線維腫の検出における全身拡散強調像の有用性について検討を行っている。

胸部・心臓
①冠動脈病変・心筋評価におけるデュアルエネルギーX線撮像の有用性の検討
デュアルエネルギー撮像を用いて、冠動脈評価時に問題となる石灰化病変や心筋症などの診断能向上に関する検討を行っている。
②開心術前における形態評価
虚血性心疾患、弁膜症における開心術、インターベンション前の形態評価に取り組んでいる。

腹部・骨盤部
①産婦人科領域におけるMRIの有用性の検討
婦人科悪性腫瘍の悪性度判定、治療効果判定、良悪性の鑑別や産科疾患における拡散強調画像等の各種イメージングの有用性について検討を行っている。
②消化管領域におけるMRIの有用性の検討
直腸悪性腫瘍の画像評価における各種拡散強調画像の有用性について検討を行っている。

核医学に関する研究
①骨SPECT/CT定量評価の検討
骨SPECT画像の定量による骨病変の鑑別や治療効果判定の有用性、日常臨床への応用について検討を行っている。

 

  • IVR

開胸・開腹することなく、カテーテルと針を用いながら、数ミリの傷跡が残るのみで手術と同等の治療効果・検査結果を得る。IVR はそれを可能とします。鳥取大学放射線科では大血管系・脳神経系を除くほぼ全領域を取り扱っており、肝細胞癌に対する TACE(経カテーテル的肝動脈化学塞栓療法)や近年増加傾向にある下肢閉塞性動脈硬化症に対する PTA(経皮的血管形成術)のみならず、関節等運動器の慢性難治性疼痛に対する TAME(経動脈的塞栓療法)、食道静脈瘤・難治性腹水に対する TIPS(経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術)、 静脈奇形に対する直接穿刺硬化療法、類骨骨腫に対する RFA(ラジオ波焼灼療法)、原発性アルドステロン症に対する副腎静脈サンプリングなど全国的にも限られた施設しか行われていない IVR についても各診療科と連携しながら行っています。症例数は全国トップレベル(2023年度IVR件数全国15位、国立大学5位、中国四国2位:日本IVR学会 HP より)であり、質の高い医療を提供しております。

1) 椎体腫瘍術前塞栓時に用いるsubtraction CTAに関する研究
椎体に発生・転移した腫瘍による脊髄圧迫あるいは切迫状態を生じた場合、整形外科医により椎体固定術が行われることがありますが、術中出血量を減少させるために当科へ椎体腫瘍術前塞栓を依頼されることがあります。栄養血管分岐が疑われる血管の選択後にCTAを撮影していますが、造骨性転移や骨棘形成の強い症例では、造影効果と骨硬化が判別しにくく、その血管が本当に腫瘍に関与しているか苦慮していました。Subtraction CTA(単純CTとCTAで差分を作成し、濃染域のみを描出する)を作成することで、濃染域と骨硬化を判別でき、過不足のない塞栓を行えることが期待されます。これらの有効性と安全性について臨床的に研究しています。

2) compressing法を用いたバスキュラープラグ塞栓術に関する研究
バスキュラープラグは個体の永久塞栓物質の一つですが、device長が長いため適応が制限される問題点があります。バスキュラープラグを圧縮留置する方法(compressing法)を用いることによりlanding zoneが短い症例にも適応可能となりますが、安全性は証明されておらず、基礎的、臨床的検討を行いました。

3) 腹部ステントグラフト内挿術後のタイプⅡエンドリークに対するIVR:技術的側面と予後についての後方視的研究
腹部ステントグラフト内挿術は有効な治療法であることが示されてきていますが、一部は治療後に瘤径拡大を来します。特にタイプⅡエンドリーク(T2EL)による瘤径増大は治療の耐久性を損なうため、IVRにより瘤径増大を防ぐ試みがなされています。後方視的にT2ELに対するIVRの成功率、特に技術的側面が予後に与える影響を重要課題として検証しています。

4) バルーン補助下コイル塞栓術(balloon-assisted coil embolization: BACE)に対する研究
コイル塞栓術は出血時の止血術としてのみならず、血流改変術としても重要な治療法ですが、“狙った場所”に“短区間”で“密”に金属コイルを留置することが安全で確実な効果を得るための鍵となります。バルーンカテーテルを用いて血流を遮断しつつ、カテーテルのkick-back現象を制御できるBACEは、この理想的なコイル塞栓を容易にします。m-BACE(マイクロバルーンを用いたBACE)は血管の末梢枝で行うことができ、D-BACE(dual-BACE:バルーン・マイクロバルーン間で行うBACE)はlanding zoneが短い症例において効果を発揮します。これらの効果と安全性について基礎的および臨床的研究を行いました。

5) バスキュラープラグを用いた胃静脈瘤塞栓術に対する研究
孤立性胃静脈瘤に対するIVRとしてはバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)が一般的に行われ、2018年より保険収載となっていますが、逆行性アプローチであるが故に難易度が高く、手技を完遂できない症例も経験されています。2013年に韓国から発表されたPARTO(plug-assisted retrograde transvenous obliteration:バスキュラープラグを用いた胃静脈瘤塞栓術)はB-RTOの変法ですが、手技が簡便で結果も良好であり、当科でも取り入れています。B-RTOとの治療成績についての比較はほとんど行われておらず、研究課題として取り組んでいます。

6) 食道気管支瘻に対する食道ステント療法の基礎的検討
食道気管瘻に対する治療法として食道ステント留置術がありますが、狭窄を伴わない瘻孔形成症例では治療が難渋します。狭窄を伴わない食道気管瘻に対する食道ステント留置術の基礎的検討を行いました。

7) 下部消化管動脈性出血に対するNBCAを用いた塞栓術に関する研究
液体永久塞栓物質であるN-butyle-2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた塞栓術(NBCA塞栓術)は液体の塞栓物質の一つであり、吻合枝も含めて塞栓できるため、止血率が高く、再出血率も低いです。しかし、下部消化管では吻合枝が乏しく、安全性の面で危惧される側面があります。いかにNBCA塞栓術を行えば、安全に施行可能か検証しました。

 

  • 放射線治療

    ・ 回転IMRT(強度変調回転原体照射)の導入
    本治療法により従来のIMRTに比べて全体的な被曝の低減と、迅速なIMRT実施が可能になる。既に前立腺癌、脳腫瘍、頭頸部癌に関しては臨床導入をしているが、さらに複雑な領域である骨盤領域への導入を準備中である。

    その他に
    ・ 肺腫瘍に対する呼吸同期放射線治療に関する基礎的検討
    ・ 前立腺癌IMRTにおける直腸晩期障害のリスク因子、線量因子の検討
    ・ 頭頸部癌NAC後、CRT/IMRTによる治療成績の検討
    ・ 頭頸部癌放射線治療後の頸部動脈硬化の時間的、線量的検討
    甲状腺癌ヨウ素内用療法後の唾液腺障害軽減に関する検討
    などを行っている。

スタッフ

教授 藤井 進也
教授 吉田 賢史(放射線治療科)
講師 矢田 晋作
講師 遠藤 雅之
助教 髙杉 昌平
助教 山本 修一
助教 北尾 慎一郎
助教 竹内 有樹(放射線治療科)
助教 夕永 裕士
助教 村上 敦史
助教 鎌田 裕司
医員 北川 寛(放射線治療科)
医員 落合 諒也

医員 岸本 美聡
医員 權田 拓郎
医員 川口 萌
大学院生 坂口 弘美(放射線治療科)
研修生 能登 一輝

 電話番号

(放射線科)
TEL 0859-38-6637
FAX 0859-38-6639

(放射線治療科)
TEL 0859-38-7574

関連リンク

分野個別ホームページ https://www.med.tottori-u.ac.jp/radio/
診療科ホームページ http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/medical/hoshasen/ 【放射線科】
https://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/medical/hoshasen_chiryo/ 【放射線治療科】