兵頭由季先生
地域・精神看護学 助教
鳥取大学 医学部 保健学科
地域・精神看護学講座 助教
研究テーマ
「労働者のメンタルヘルス/ヘルスケアについて」
研究テーマにおけるきっかけ・背景
令和7年3月まで自治体で行政保健師として従事していました。行政保健師時代、職員健康管理に携わったことをきっかけに産業保健分野について興味・関心を持つようになりました。全国的に地方公務員の長期休業者は増加傾向で、中でも「精神及び行動の障害」による長期休業者は全体の7割近くを占めています。
私が勤めていた自治体でも同様の傾向があり、不調を抱えた職員に関する相談支援に日々携わっていました。過重労働や人事異動・昇任によるストレスなど原因は様々ですが、心身に不調をきたす職員は想像以上に多く、決して他人事ではないと痛感していました。もちろん、これらは地方公務員に限らず、労働者全体においても同様の傾向があり、社会全体の問題でもあります。誰しも不調になりたくてなるわけではありませんので、そうした不調の未然防止や、不調になっても安心して働き続けることができる職場にするために保健師ができることは何だろう、と興味を持つようになり、研究テーマとしました。
これまで取り組んできた活動について
2年間の病院看護師を経て行政保健師となり16年間自治体に勤務しました。そこでは、成人保健、母子保健、障がい者福祉、フレイル対策、地域保健、職員健康管理など、色々な部署の仕事を経験させていただきました。
地域保健・福祉に関する分野では、大人の健診、赤ちゃんから高齢者、障がいのあるかたなど様々な対象者への健康支援や、地域の健康づくりなど、様々な活動に携わりました。困難を感じる場面もありましたが、活動を通じて、人と人との繋がりの大切さ、支えあいの素晴らしさ、人が持つチカラの偉大さを全身で感じ、支援者としてそこに入った自分が逆にたくさんの元気をもらうことのほうが多かったように思います。
また、職員健康管理の分野においては、保健師一人職場ということもあり心細さもありましたが、より職員に寄り添った健康管理の在り方を実現するため、事務職さんを巻き込んで色々と試行錯誤しました。産業保健分野の活動は保健師として新たな視点を獲得できた良い経験でした。
今後の展望
自身の経験を生かして、保健師という職業のリアルな魅力を一人でも多くの学生さんにお伝えできるといいなと思っています。
受験生へのメッセージ
保健師は、地域に住む幅広い年齢層・様々な健康レベルの人々を対象に、人々がその人らしく健康に過ごすため、一緒に考え、伴走、支援をおこなう専門職です。保健師が関わることができるのはその方々の人生のほんの一部にすぎませんが、その「ほんの一部」が誰かの健やかな暮らしの役に立っていると実感した喜びは現場を離れた今でも忘れることができません。大学では、一言で語りつくせない保健師の仕事やその魅力についてお伝えできるといいなと思っています。一緒に楽しく学べることを楽しみにしています。