【プレスリリース情報】医学部寄附講座『認知症予防学講座』小林製薬との設置期間延長に関する協定を締結
概要
鳥取大学と小林製薬株式会社は、医学部「認知症予防学講座」にかかる寄附講座の設 置に関する協定を締結をしており、令和4年4月1日より当講座を鳥取大学医学部保健学科に設置しております。
設置の目的としては、認知症予防が出来る社会の実現のための人材育成並びに世界の認知症予防対策を牽引する研究拠点として教育・研究を通じて、地域医療の発展向上に寄与することを目的としております。
このたび、令和7年3月31日までであった設置期間を2年延長とし、令和9年3月31日までを設置期間として新たに締結をしましたのでお知らせいたします。
認知症予防学講座の役割・取組について
認知症予防学講座は、社会的ニーズの高い認知症予防についての教育、研究、社会貢献を行うために設置された講座です。
認知症予防に関する専門的な教育が行われている大学は極めて稀であり、人材の育成が行われておりません。認知症予防の知識やスキルを持った人材育成が本講座の役割のひとつです。本学医学部学生への講義・実習、大学院生への講義・演習、それに加えてご依頼頂いた他大学・他施設への講義も行っております。
研究については、認知症予防に関する研究は遅れており、エビデンスの創出が期待されています。認知症予防は日本以外の国でも大きな課題であり、とりわけアジアの国々では深刻です。日本は認知症予防の臨床・研究において世界のリーダーとならなければいけません。我々の研究室では、認知症予防の早期発見に役立つツール「簡易な嗅覚機能検査キット」、「タッチパネル式コンピュータを用いた認知機能検査(MSPTDAS)」、「血液中バイオマーカー」、予防に有用なツール「アロマセラピー」、「トリゴネコーヒー」、「とっとり方式認知症予防プログラム」など開発及び普及を行っております。
認知症を予防したいという国民のニーズは高く、それに応えるための社会貢献が必要です。市民向けのフォーラム、新聞、雑誌への寄稿、テレビ・ラジオ等の番組への出演などの依頼にできる限り対応し、認知症予防の啓発活動に力を入れております。
設置期間延長に至った経緯
令和5年 6 月 14 日に認知症基本法が成立し、令和6年 1 月より施策の施行が進められております。新たなステージに入ったといえる抗アミロイドβ抗体薬が発売され、今まで治療対象となっていなかった認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の早期発見が期待されるようになりました。しかし、MCIの早期発見の方法など未知の部分を明らかにする必要が出てまいりました。令和6年度に厚生労働省の科学研究費を頂き、鳥取県琴浦町と島根県隠岐の島町において「認知症の早期発見、早期対応モデルの確立」というテーマで研究を行い大きな成果を得ることができました。令和7年度も、その継続調査と新規地区での調査を行うこととなりました。このような現状のニーズに応える必要から設置期間の 2 年延長を締結する運びとなりました。
今後の展望について
3 年間取り組んできたことを継続するとともに、更なる発展をできるようにしたいと考えております。具体的には、MCI を早期発見し、抗アミロイドβ抗体薬につなげること、その薬剤の対象にならない方には「とっとり方式認知症予防プログラム」等の予防対策につなげることなどのモデルを確立していくことです。早期発見のツールとしては嗅覚機能検査が最も有用である可能性が示唆されております。これを、2 年間の研究の中で確立してくことをめざしております。最終的には、認知症予防学講座の必要性を世の中に理解して頂けるようになればと期待しております。
本件に関するお問い合わせ先
鳥取大学米子地区事務部総務課広報係(担当:井口)
電話 0859-38-7037 FAX 0859-38-7093
Mail:me-kouhou@adm.tottori-u.ac.jp