血管新生に必要な新たな分子メカニズムが“世界で初めて”明らかに
―新規の血管新生阻害剤の開発に期待―
鳥取大学医学部 生体情報機能学講座 病態生化学分野の尾﨑充彦准教授らの研究グループは、東京大学医科学研究所の遠藤英也博士(鳥取大学名誉教授、九州大学名誉教授)との共同研究により、血管の新たな管腔形成を促進するタンパク質「MTA1」を特定し、新たな分子メカニズムを世界で初めて解明しました。本成果は、平成31年2月11日(月)に学術雑誌「Oncogene」に論文掲載をされました。
これを受けて、平成31年2月22日(金)に尾﨑准教授のほか、生体情報機能学講座 病態生化学分野の岡田太教授、大学院生大学院医学系研究科(博士後期課程)生命科学専攻の石川瑞穂大学院生が出席し、記者説明会を行いました。
実験では、がんを移植したマウスにMTA1を造れなくする物質を投与したところ、がんに栄養を供給する血管の形成が抑えられがんが小さくなりました。これは、腫瘍の増大に必要な栄養および酸素を供給する血管を造らせないことで、いわば兵糧攻めによる腫瘍細胞の死滅を誘導した結果と考えられます。
本研究の成果は、「血管としての形(管状構造)を造らないようにする」という、これまでにない新しいコンセプトに基づいた新規の血管新生阻害剤の開発につながります。がんなどの腫瘍のほか、糖尿病性網膜症や関節リウマチなど血管新生が悪化の原因となる疾患ヘの薬剤開発に期待されています。
【論文タイトル】
Correlation of two distinct metastasis-associated proteins, MTA1 and S100A4, in angiogenesis for promoting tumor growth
【著者】
Mizuho Ishikawa, Mitsuhiko Osaki, Makoto Yamagishi, Kunishige Onuma, Hisao Ito, Futoshi Okada, Hideya Endo


記者説明会の様子
