学科長あいさつ

前垣医学科長写真

医学科長 前垣 義弘

共に学び、共に楽しもう

 鳥取大学医学部は、1945年(昭和20年)に米子医学専門学校として設置されたのが始まりです。1949年(昭和24年)に鳥取大学医学部となり、2025年(令和7年)に創立80周年を迎えました。この間に山陰のみならず国内外に多くの医師・研究者を輩出してきました。医学部の全ての教官ならびに附属病院の職員が、学生のみなさんの教育を担当します。そして、みなさんと共にこれからの鳥取大学医学部医学科をさらに発展させていくことが私の希望です。
 近年の医療の進歩は目覚ましいものがあります。画像診断技術や遺伝学的検査法などの進歩による診断率の向上、ロボット手術やゲノム医療による治療成績の向上など、全ての領域において医療の質が上がってきています。今後はAIの医療分野への応用が進み、更に医療の質が上がることでしょう。医師は、このような医療の進歩を生涯にわたって学び、最新最善の医療を患者さんに提供することを求められています。一方で、医療の進歩だけで人は幸福になれるわけではありません。2025年世界幸福度ランキングでは、日本は147か国中55位とされています。先進国の子どもの幸福度(ユニセフ2020年調査)では、日本の身体的健康は38か国中1位であったものの、精神的幸福度は37位でした。医師は患者さんの病気を治すことが仕事ですが、患者さんの痛みを理解することもとても重要です。鳥取大学医学部医学科はディプロマポリシー(卒業時に修得しているが期待される能力)として5つ定めています(以下要約):1.基本的な知識・技能・態度の修得、2.豊かな人間性と倫理観を身に付け、患者中心の立場に立った医療を実践する、3.論理的思考・高度な判断力・コミュニケーション能力を身に付ける、4.常に知的探求心と創造性を持つ、5.地域や地域で暮らす人を愛する心を持つ。講義や実習の中でこれらの能力を身に付け、高い倫理観と豊かな人間性を備え、患者さんに寄り添った医療の実践および最先端の医学を創造できる医師となり、地域のなかでさらに世界で羽ばたいていただきたいと思います。
 本学医学科では特徴あるカリキュラムを作成しています。コミュニケーションに重点を置いたヒューマンコミュニケーションと早期体験・ボランティアを12年次に学びます。基本的なマナーやチーム医療、相手の立場になって行動することを体験的に学びます。3年次には、基礎および臨床教室で1か月間に渡り研究を行います。4年次には、社会医学的テーマ(地域保健、地域医療、産業保健、学校保健、法医学)を、専門職からの講義や地域に出かけてのフィールドワークから学びます。さらに大学病院では経験しづらいプライマリ・ケアを経験する地域医療教育を1年次と4年次に学びます。また、イノベーション教育では、発明楽の授業で機器開発のプロセスを理解するとともに(工学部と連携した医工学プログラムを構築しています)、医療シミュレーターを使って臨床技能の向上を図っています。医学部には医学科の他に保健学科(看護学専攻と検査技術科学専攻)、生命科学科、(大学院医学系研究科)臨床心理学専攻があり、優れた基礎研究や臨床研究を行える環境にあります。
 米子市は美しい海と山に恵まれ、食べ物も美味しく、人も温厚でとても暮らしやすい土地です。マリンスポーツやウィンタースポーツも盛んです。医学部は運動や文化・社会活動のサークル活動が盛んです。学業と共にサークル活動や課外活動も積極的に行って、有意義な6年間を過ごしてください。

最後に、どの教員も熱心で優しくみなさんの成長を手助けします。興味関心や相談事があれば遠慮なく立ち寄ってください。