呼吸器・膠原病内科学分野

Division of Respiratory Medicine and Rheumatology

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分野の特色

 内科学第三教室(現分子制御内科学分野)は昭和44年11月1日原田義道先生を初代教授として発足した。昭和57年9月1日、佐々木孝夫先生が第2代教授として着任した。佐々木教授は臨床面では山陰地方における呼吸器科診療の充実を目指し、教室員の育成に努めた。研究面では内分泌学と呼吸器病学との融合を図り、内分泌学の基本的概念である時間生物学的概念を呼吸器病学に導入した。平成11年10月1日、清水英治先生が第3代教授として就任した。清水教授は臨床腫瘍学、膠原病などの臨床免疫学を専門としている。臨床面では抗癌剤を始めとする各種薬剤の多施設共同臨床試験の導入、研究面では分子生物学的手法を応用した腫瘍学、免疫学、感染症学のさらなる発展を図った。
平成3081日、山﨑章先生が第4代教授として就任した。山﨑教授はアレルギー学を専門としており、従来の原田教授、佐々木教授、清水教授の体制を維持しつつも、アレルギー分野の基礎研究、臨床研究のみならず膠原病の診療のさらなる発展を図っている。

分野での主要な研究テーマとその取り組みについての説明

肺癌の基礎的・臨床的研究
肺癌は難治性腫瘍であり、予防・早期診断・効果的治療の開発が望まれる疾患である。肺癌の遺伝子異常・免疫異常に基づく病態解析・診断ならびに、新規の治療法の開発と臨床応用を目標に主として下記のテーマの研究を行っている。
○肺癌に対する腫瘍免疫の解析と治療開発
○肺癌細胞・臨床検体を用いた遺伝子異常と免疫細胞の関連の解析と治療的応用
癌に対する免疫治療による有害事象の基礎的、臨床的解析
放射線耐性機序の解析とそれに対する薬物的な克服を目指した研究
○新規の肺癌治療法開発のための臨床試験
また、研究成果をいち早く臨床応用するための多施設共同研究体制を組織している。

気管支喘息の基礎的・臨床的研究
アレルギー疾患の有病率は増加傾向にあり、アレルギー疾患の一つである気管支喘息の患者数は、本邦ではおよそ400万と推定されている。喘息治療薬は進歩しているが、それでもコントロールできない患者もおり、残された課題の一つである。喘息の病態解明や、診療実態の調査のため、下記の基礎的・臨床的研究を行っている。
○気道上皮におけるAlarmin発現
○気道平滑筋に対する抗酸化物質の影響
○喘息の生物学的製剤の有効性に関する多施設臨床研究
○山陰地方の喘息診療実態調査

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の臨床的研究
COPDは長期の喫煙に起因する生活習慣病で、本邦には500万人を超える患者がいると推定されている。この数は今後も増加すると考えられており、この疾患をどう克服するかは呼吸器学に課せられた大きな課題の1つである。私達はCOPDの予防、治療を目的に下記のような臨床的研究を行っている。
○COPD治療薬の効果に関する多施設臨床試験
○山陰地方のCOPDの疫学調査

時計遺伝子に対する薬物の影響解析
哺乳類の視交叉上核に行動、睡眠・覚醒などの概日リズムをつかさどる体内時計が存在することが明らかにされている。体内時計を駆動するための遺伝子群は時計遺伝子と呼ばれている。時計遺伝子は中枢だけではなく末梢組織にも発現・発振している。薬物により時計遺伝子が影響を及ぼされる事実は最近になり明らかにされており、行動、睡眠・覚醒に影響を及ぼす薬物の副作用の一部は時計遺伝子の発現変化の関与が疑われる。現在、時計遺伝子に対する薬物の影響を簡便にスクリーニング可能な測定系を研究している。

生体信号の複雑系解析
脳波、心拍変動、呼吸運動、胃蠕動運動などには主周期が認められ、生体信号の大きな特徴である。周期解析はフーリエ解析などの線形解析が適用され臨床に広く用いられてきた。しかし、生体現象は線形的なものではなく非線形的なものであることは自明である。最近になり生体現象のゆらぎ解析に関連して新しい種類の非線形解析が発案された。主にアトラクター次元を代表するものとして相関次元、ばらつきや予測しやすさの指標としてエントロピーが用いられている。生体信号の複雑系解析を用いて、新しい生理機能現象を明らかにできる可能性がある。

膠原病の臨床研究
膠原病はひとつの病気の名前ではなく、主に免疫の異常によって生じるいくつかの疾患の総称である。様々な研究により病態が徐々に解明され、治療方法も発展してきているが、その多くは難病に指定されており、まだ病態の解明や治療方法は十分なものとは言えない。当科では、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患の臨床情報を用い、疫学研究を行っている。また、全身性エリテマトーデスやANCA関連血管炎では多施設共同臨床研究を実施している。その他、各種自己免疫疾患の新規治療薬開発のための臨床試験にも参加している。

間質性肺疾患の基礎的・臨床的研究
間質性肺疾患には、診断後の予後が約3~5年と予後不良の特発性肺線維症に代表される特発性間質性肺炎や、抗原の反復吸入により生じる過敏性肺炎、膠原病を背景とした膠原病肺、薬剤による肺障害である薬剤性間質性肺炎など、様々な疾患が含まれる。近年、抗線維化薬による予後改善効果が示され、間質性肺疾患の診断と治療薬選択の重要性がより増している。当科では、令和4年より経気管支凍結生検(クライオ生検)を導入し、診断精度を向上させるよう、取り組むとともに、特発性肺線維症、強皮症肺、進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対する抗線維化薬治療の実態調査を含め、山陰地区の間質性肺疾患診療の向上に努めている。現在行っている基礎的研究・臨床的研究は以下の通りである。
○間質性肺疾患における予後規定因子を明らかにするための観察研究
○呼吸器疾患及びリウマチ性疾患における好中球細胞外トラップ(NETs)の関与の解明
○肺線維化における長鎖ノンコーディングRNAの機能解析
○肺線維化に対する新規化合物の有効性の検討
○過敏性肺炎における環境抗原の同定と回避による臨床効果の評価
(令和20日更新)

スタッフ

教授        山崎 章(呼吸器・膠原病内科学分野)
教授      鰤岡 直人(病態検査学)
准教授     小谷 昌広(がんセンター)
講師      森田 正人(第三内科診療科群)
講師      山口 耕介(呼吸器・膠原病内科学分野)
講師      原田 智也(第三内科診療科群)

助教      岡崎 亮太(呼吸器・膠原病内科学分野)
助教      木下 直樹(第三内科診療科群)
助教      高田 美樹(第三内科診療科群)
助教      阪本 智宏(第三内科診療科群)
特任助教    舟木 佳弘(高次集中治療部)
特任助教    矢内 正晶(がんセンター)
特任助教    山本 章裕(救命救急センター)
特任助教    照屋 靖彦(高次集中治療部)
経営戦略助教  河野 紘輝(第三内科診療科群)
医員      平山 勇毅(第三内科診療科群)
医員      野中 喬文(第三内科診療科群)
医員      石川 博基(第三内科診療科群)
医員      乾  元気(第三内科診療科群)
専門研修医   田中 宏征(第三内科診療科群)
医員      森山 士朗(第三内科診療科群)
医員      西上 美侑(第三内科診療科群)
医員      松岡 秀一(第三内科診療科群)
医員      仲田 達弥(第三内科診療科群)
大学院生    Aditya Sli Listyoko(呼吸器・膠原病内科学分野)
事務員     齊藤 美和
事務補佐員   荻野 美香

 電話番号

TEL 0859-38-6537
FAX 0859-38-6539

関連リンク

研究室ホームページ http://sannai.med.tottori-u.ac.jp/
診療科ホームページ http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/medical/sannai/
          【第三内科診療科群(呼吸器内科・膠原病内科)】