法医学分野
Division of Forensic Medicine
| 分野の特色 |
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法医学は、亡くなった方の死因や死亡状況を医学的・科学的に解明し、その結果を司法や社会に伝える学問です。事故、犯罪、災害、突然死など、社会の中で生じるさまざまな死に対して、医学の立場から客観的な評価を行うことを目的としています。法医学の判断は、刑事・民事裁判における重要な根拠となるだけでなく、社会の公正さを支える基盤ともなっています。 法医学が果たす役割は、単に「原因を特定する」ことにとどまりません。死因が正確に解明されることで、不当な疑念や誤った責任追及を防ぎ、亡くなった方の尊厳と遺族の権利を守ることにつながります。また、事実に基づいた検証は、社会全体にとっても重要な意味を持ちます。死の背景にある構造的な問題が明らかになることで、制度や環境の改善につながる可能性があるからです。 このように法医学は、過去の出来事を検証する学問であると同時に、社会の信頼を支える医学でもあります。感情や憶測ではなく、科学的根拠に基づいて死を評価することは、司法と医療の双方にとって不可欠であり、現代社会においてその重要性はますます高まっています。 |
| 分野での主要な研究テーマとその取り組みについての説明 |
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①死亡時画像診断(Ai)の法医学への応用に関する研究 Aiの最大の利点は、身体内部の構造を客観的かつ記録性の高い形で把握できる点にあります。骨折や臓器損傷、出血、空気塞栓などは、CT画像によって明瞭に可視化され、解剖前の段階で死因に関する重要な手がかりを得ることができます。また、画像は後から繰り返し検討できるため、第三者による検証や教育・研究への活用にも適しています。 本分野では、Ai所見と解剖所見を詳細に対比し、それぞれの長所と限界を明らかにする研究を行っています。Aiで把握しやすい所見、解剖で初めて確認できる所見を整理することで、両者を効果的に組み合わせた死因究明の体系化を目指しています。さらに、現場情報や臨床経過を含めた総合評価により、単独の手法では見落とされがちな死因や死亡機序の解明にも取り組んでいます。 また、Aiは外傷死や突然死のみならず、医療関連死や災害時の多数遺体対応においても有用性が期待されています。非侵襲的に全身を評価できる特性は、迅速性と客観性が求められる場面で大きな強みとなります。本分野では、これらの実践を通じて、死亡時画像診断を法医学における標準的手法の一つとして確立することを目指し、研究を進めています。 中留真人准教授は、鳥取県内で発生した死亡事例を対象に、司法解剖、死亡時画像診断(Ai)、現場調査、臨床経過などの情報を統合し、死亡に至る過程を多角的に検討する研究を行っています。個々の事例を丁寧に分析するだけでなく、類似事例を横断的に比較することで、事故や突然死の背景にある構造的な要因の抽出を試みています。 本研究では、交通事故、転倒・転落事故、入浴関連死、火災死など、日常生活の中で起こりうる死亡事例を対象とし、死亡機序と環境要因との関連を検討しています。Aiを用いた客観的な画像評価と解剖所見を組み合わせることで、外表や臨床情報だけでは見落とされがちなリスク因子の解明を目指しています。さらに、中留准教授は、法医学的知見を行政、医療、地域社会へ還元することを重視しています。研究成果を基にした注意喚起や提言は、事故防止対策や医療安全の向上に資する可能性があります。法医学の役割を「死因を明らかにすること」から「死を減らすこと」へと拡張する予防法医学は、地域医療と公衆衛生をつなぐ重要な橋渡しとなります。 本研究は、地方大学ならではの地域密着型法医学の実践を基盤とし、死亡事例から得られた教訓を社会全体の安全向上に生かすことを目的としています。予防法医学の確立は、亡くなった方の死を無駄にしないという法医学の本質的使命に応える取り組みであり、今後も継続的な研究が求められる分野です。 ③日本人における頭蓋骨副縫合発生の遺伝的要因に関する研究 Aiによる解析とDNA分析を利用した研究は極めてまれであり、このように複数の骨形成関連遺伝子について包括的に解析することで、頭蓋骨副縫合とDNAバリアントとの関連性を追究し、副縫合発生の機序等明らかにすることができれば、法医学的個人識別への応用(人種間識別含む)も可能と考えている。また小児の場合、頭蓋骨副縫合と頭蓋骨骨折との鑑別診断が重要であることから、遺伝子レベルで鑑別できれば法医学領域で取り扱う児童虐待や頭部外傷事例の鑑別診断にも応用可能と思われる。 ④歯科CT画像を用いた個人識別に関する法医学的研究 本研究室では、歯科法医学および身元確認に関する実務と研究の双方を積み重ねてきた背景をもとに、歯科CT画像を用いた個人識別の有用性と法医学的意義について検討しています。歯科CTは、歯や顎骨、補綴物、歯科治療痕を三次元的に詳細評価できる点が特徴であり、従来の二次元画像や肉眼所見に比べ、客観性と記録性に優れています。 研究では、死亡後に撮影された歯科CT画像と、生前の歯科診療記録や画像資料との対比を通じて、個人識別に有効な所見の抽出と整理を行っています。また、観察者間の評価のばらつきや再現性といった、法医学的証拠として重要な要素についても検討し、実務に耐えうる識別手法の確立を目指しています。さらに、医科CT画像や解剖所見と歯科所見を統合的に評価することで、より確実な身元確認につながるアプローチを探究しています。 歯科CT画像を用いた個人識別は、非侵襲的で迅速に情報を取得できる点から、災害時や解剖が困難な事例において特に有用です。本研究は、これまでの歯科法医学分野における実務経験と研究成果を基盤に、歯科医師が法医学に果たす役割を明確化し、医科・歯科連携による身元確認体制の発展に寄与することを目的としています。歯科画像診断の知見を法医学に応用することで、社会的信頼性の高い個人識別の実現に貢献することを目指しています。 ⑤鳥取県予防のための子どもの死亡検証体制(CDR)整備モデル事業 鳥取県では令和4年度より事業に参画し、その事務局を当研究室内に置いています。
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| スタッフ |
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教授(医師) 飯野 守男 |
| 電話番号 |
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TEL 0859-38-6123 |
| 関連リンク |
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研究室ホームページ https://tottori-u-forensic-med.jp/ |

