統合生理学分野

Division of Integrative Physiology

 

分野の特色

 生体機能を調節する系として、神経系や内分泌系さらには免疫系が知られています。統合生理では生体調節のメカニズムについて研究を行うとともに、基礎神経学、基礎内分泌学等の医学教育を行っています。教室の雰囲気は明るく、常に学生さんたちが出入りしており活気にあふれています。医学部の将来を担う医師・研究者の育成を目指しています。

分野での主要な研究テーマとその取り組みについての説明

1. 芳香のストレス緩和効果についての研究
 緑の香り(Green odor ; 青葉アルコール / 青葉アルデヒド)はストレスによるACTH及びcorticosterone増大反応を抑制します。したがって、緑の香りにはストレス緩和作用があるものと考えられます。近年、私たちは緑の香りが慢性ストレスによる皮膚バリアー障害を防止する事実を発見しました。一方、妊娠中の母親のストレスは、胎児にとってもストレスとなります(胎生期ストレス)。胎生期ストレスによる仔ラットの内分泌・行動異常が、妊娠母ラットに緑の香りを吸入させると予防できることを見いだしました。これら全ての効果は、香りが脳の扁桃体や視床下部の神経活動を変調させて起こしていることも分かりました。現在では、様々なストレスに関連した疾患への香りの効果について研究しています。

2.発熱発現のメカニズムについての研究
 一般に発熱は、体内に細菌などの外因性発熱物質が侵入致しますとこれが白血球を活性化し、新しい別の物質である内因性発熱物質を産生させ、これが脳に働いて発現するものと理解されています。私たちの教室では、血圧・水分調節に関与するホルモンであるアンギオテンシンIIとナトリウム利尿ペプチドが上記の発熱発現のmodulatorとして働いていることを明らかにしております。そして、これらのペプチドがどの様なメカニズムで発熱を修飾するのかについて研究を行っています。

3. 健常・疾患における自律神経機能の研究
 運動などの急性ストレス時の自律神経調節機構を研究しています。運動時には交感神経活動が増加します。心不全などの循環器疾患では、運動時の交感神経賦活が過剰になります。私たちは運動時に惹起して循環中枢を刺激する中枢性および末梢性の神経信号が心不全で異常をきたしていることを報告しています。現在は以下のテーマに取り組んでいます。1)自律神経調節における中枢性・末梢性神経機構の役割の理解。2)疾患において中枢性・末梢性神経機構に異常をもたらす機序の解明。3)疾患での自律神経機能不全に対する運動処方・薬物療法の効果と機序解明。

スタッフ

教授  檜山 武史   hiyama@tottori-u.ac.jp
准教授 木場 智史   skoba@med.tottori-u.ac.jp
助教  吉村 祐貴   yoshimura@tottori-u.ac.jp

 電話番号

TEL 0859-38-6033

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