分子生物学分野

Division of Molecular Biology

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分野の特色

 私たちは、時としてさまざまな疾病に罹り悩まされます。健康に過ごしたいという願いとはうらはらに、未だ原因の究明に至っていない疾患も数多く存在するのが現状です。私たちは細胞から個体レベルでの基礎的な生体機能(生体防御、遺伝子の調節制御、発生の制御など)を解明することが、一見遠回りのようですが個々の病因を明らかにする上でとても重要なことと考え研究を進めています。得られた成果が、疾病の原因解明や治療へ還元されるべく日々取り組んでいます。

分野での主要な研究テーマとその取り組みについての説明
  1. 食細胞における生体防御機構の研究
     マクロファージなどの食細胞は、病原性微生物などの外来異物やアポトーシス細胞を自身の膜成分で囲みつつ内部に引き込み(貪食:phagocytosis)、袋状のファゴソーム(phagosome)に隔離し殺菌・分解・代謝します。また、分解物の一部は、細胞表面に運ばれ免疫細胞に抗原提示されます。これら一連の生体防御機構を膜輸送系(メンブレントラフィック)に着目し、以下のテーマについて研究を進めています。

    1)マクロファージにおけるphagocytosisとファゴソーム成熟の分子機構
    2)ファゴソームで機能するNADPHオキシダーゼ複合体の形成機構
    3)ミトコンドリア制御のphagocytosis機構
    4)ファゴソームからの抗原提示を担う膜輸送機構

  2.  DNAの限られた領域を脱メチル化する分子機構の研究
     DNAのメチル化修飾は、哺乳類の正常な個体発生や細胞の生存に必要不可欠な要因であることが知られています。また、がんなどの様々な疾患でDNAのメチル化修飾の異常が観察され、疾患と関連があることが報告されています。正常な細胞で、DNAのメチル化状態はどのように制御されているのでしょうか?また、疾患に関連したDNAのメチル化状態はどのようにして生じるのでしょうか?
     機能を持つ個々のDNA領域で、細胞に特有のDNAのメチル化状態が確立され、それが維持されなければ遺伝情報の正常な読み出し(遺伝子の正常な機能発現)が行われません。しかしながら個々のDNA領域のメチル化状態がどのように制御されているのかは明らかになっていません。当研究室では、DNA脱メチル化機構の全体像を明らかにすることを目標に、これまでに、DNAの限られた領域に能動的なDNAの脱メチル化を誘導することが可能な塩基配列を同定し、その配列内に存在する転写因子の結合部位がDNAの脱メチル化誘導に必要であることを明らかにしてきました。現在は、この配列と協力して働くDNA配列、またそれらの配列に結合してDNAに脱メチル化を誘導する分子、実際にDNAを脱メチル化する分子やそのメカニズムに関する研究をおこなっています。

スタッフ

教授   初沢 清隆
准教授  堀 直裕
助教   櫻井 千恵

 電話番号

TEL 0859-38-6203

関連リンク

研究室ホームページ https://www.med.tottori-u.ac.jp/molebio/2680/