大塚美菜子さん(香川大学)

平成22年度修了

 大塚美菜子さん

大塚 美菜子

香川大学保健管理センター 講師
出身大学:京都ノートルダム女子大学
資格:臨床心理士,公認心理師,
日本EMDR学会認定EMDRコンサルタント/ファシリテーター

Q1 今どんな仕事をしていますか?

 大学の保健管理センターに所属し,心理学系の講義や,保健管理センターを利用する学生の心理相談を行っています。学部新入生を対象に心身の健康を測る質問紙をスクリーニング検査として実施し,ハイリスクの学生に対して予防的に面接を行ったり,適切な医療機関に繋いだり,こころの健康についての啓蒙活動を行うこともあります。学生を対象とした教育・臨床業務の他にも,教職員向けのコンサルテーションや,外部の機関(医療・教育・福祉・司法領域等)で講演をさせて頂く機会もあります。 

Q2 鳥大院に進学してよかったことは?

  修士課程入学直前は精神科病院に勤務していたため,精神医学領域,薬学,一般内科の知識が必要となる場面に多く出会いました。鳥取大学の臨床心理学専攻(修士課程)は皆様もご存じの通り,医学系研究科に属しています。そのため,付属病院精神科での実習をはじめ,心理系の学部ではこれまで学ぶ機会を得ることが難しかった医学全般の講義を受けることができるということは,鳥取大学ならではの大きな利点でした。先生方の専門領域も多岐にわたるため,臨床実習ではひとつの心理療法の視点にとどまらず,多方面から事例を見つめる視野を育てて頂きました。同期も社会人経験を経て入学した人が半数おり,それぞれが培ってきた考え方や知識を共有する機会に恵まれたことも幸せな経験だったと感じています。

 修了後,クリニックと研究施設に勤務し,PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対するアプローチを専門に臨床・研究活動を行ってきましたが,事例を多方面から理解し支援する柔軟な視点や態度を育てて頂いた経験に何度も助けられることがありました。 

Q3 あなたの大切にしたい価値は?

 「逆境的な環境を生き抜いてきた過程こそが,その方のリソース(力・資源)である」という言葉です。これは私がSVを受ける中で,尊敬する幾人の臨床家から教えて頂いた姿勢のひとつです。傷つき体験を抱え無力感に苛まれている方の多くが,ご自身の力を見失っていたり,自分の価値を極端に下げる思考にとらわれていることがあります。けれども同時にその方々は,その環境を生き抜き,そして自らの人生を振り返りよりよい方向に舵を切りなおしたいという意思を持って(時にそれは大きな苦しみに隠れて見えにくくなっていることもありますが)診療所や相談室を訪れます。その方々が自分の持つ力に気づき人生を自分のものとして歩めるよう伴走者や松葉杖のようにそっとサポートをさせて頂くという姿勢を忘れずにいたいと,常に心に置いている大切な言葉です。

 

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