竹田伸也教授と福崎俊貴准教授が開発した「介護職の職場の人間関係の悩み尺度」がリリースされました

2025.11.6

日本は、今後75歳以上の後期高齢者人口が増加し、それに伴い要介護高齢者数も増えることが予想されています。そのため、介護職の役割はこれまでもそうでしたが、今後ますます重要となります。

私たちは、介護職の離職及び離職意図と一貫して関連する要因は職場の人間関係であること(Takeda, 2023)、職場の人間関係の問題を抱えると離職意図が1.97倍高まること(Takeda & Fukuzaki, 2023)、職場の人間関係の問題は心理的苦痛を抱える可能性を5.95倍高めること(Takeda & Fukuzaki, 2024)を見出しました。

また、介護職が職場で抱えやすい人間関係の問題には、「コミュニケーション不足」「嫌がらせ」「業務量の不公平感」「介護業務についての考え方の違い」「部下や新人への指導困難」「ラベリング」の6因子があることもわかりました(Takeda & Fukuzaki, 2023)。

ちなみに、これら6因子に対応するオンデマンド教材を作成しており、鳥取大学医学部臨床心理学講座のYou Tubeチャンネルから、どなたもご視聴いただけます。

以上のことから、介護職が職場で健康に働き、望んで仕事を続けるためには、職場の人間関係の問題への対策を講じることが重要であることが示唆されます。しかし、これまで介護職を対象とし、職場の人間関係の問題を捉える尺度は国内外に存在しませんでした。そこで、私たちは尺度作成に関する国際基準であるCOSMINガイドラインに基づき、介護職の職場の人間関係の悩み尺度 (Workplace Interpersonal Problems Scale for Care Workers: WIPS)を開発しました(Takeda & Fukuzaki, 2023)。

本尺度と説明書を、ココロの健康のための道具箱にリリースしました。いずれも公共財ですので、どなたでも無償でご利用いただけます。

介護職の職場の人間関係の悩み尺度(WIPS)

介護職の職場の人間関係の悩み尺度(WIPS)の説明書

また、本尺度に関する論文を、こちらからどなたもフリーでお読みいただけます。論文は英語で書かれていますが、Google自動翻訳をお使いいただくと、日本語でお読みいただけます。

介護職の職場の人間関係の悩み尺度(WIPS)が多くの方に活用され、介護職のみなさまの健康と福祉、職場環境の改善と、その先にある要介護利用者に対する介護のさらなる向上に役立てられることを、開発者一同心より願っています。

(本尺度は、JSPS科研費 21K03106の助成を受けて作成しました。)