鳥取大学医学部 脳神経医科学講座 脳神経内科学分野

研究・治験

分子生物学・生化学

神経疾患では、神経変性疾患をはじめ未だに原因不明である疾患が少なくありません。
血液、脳脊髄液、遺伝子などの患者サンプルを用いた分子生物学的・生化学的研究によって疾患特異的なバイオマーカーの探索、病態の解明、治療戦略の確立を目指しています。
また、神経疾患のモデル動物や培養細胞を用いた基礎医学に関する研究も行っております。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究

当科では筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデル動物・培養細胞を用いて、(1)細胞移植によるALSの治療、(2)ALS発症のメカニズムの解明を試みています。

(1)細胞移植によるALSの治療

ALSの細胞治療の候補として、骨髄間葉系幹細胞(MSC)は最有力の細胞の一つです。
MSCを移植する際の最適な投与方法・経路1-3、MSCの治療効果を細胞工学的に増強させる手法4を検討してきました。
これまでの研究で、細胞移植の成否にミクログリアが関与していることが明らかとなってきました。
現在ミクログリアの働きとその制御に関する検討を進めています。

(2)ALS発症のメカニズム

ALSの発症には多様な因子が関与していることが想定されます。
うまく例えるのは難しいですが、『地震という災害を契機に、津波や火災や停電といった二次災害が引き起こされる。
それによりさらに被害が甚大となる』ようなイメージを持っています。
ALSの発症の契機となる事象とそれが拡散する状態を理解するため、遺伝子5や蛋白質6、7の発現の変化を追跡してきました。
多くの事象をこれまでに確認しましたが、契機なのか二次的変化なのかを明確に区別することは困難でした。
現在、最初の契機はどこで起こるのか?を明らかにすべく研究をしています。

患者さんを診療する立場から有効な治療法がないと最初に記載しましたが、ALSの研究する立場からすると世界の研究は日々進んでおり追いつくのも大変です。
基礎的な研究の成果が患者さんの手元に届く日は近いと信じています。




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