インターネットやスマートフォン等で行うゲームやギャンブル等の行為に関連して、日常生活へ支障をきたしたり、健康へ影響を及ぼしたりすることが示唆されています。
当講座では、ゲームやインターネットの使用、ギャンブル等の行為に関する行動について、その実態を把握するための疫学調査に携わっています。
ゲームやギャンブルなどの行為が日常生活や健康に影響しているかもしれないと気づいた感じた際には、早めに相談し、対応することをおすすめします。本ページに相談窓口を載せています。
ゲーム行動症(ICD-11)のスクリーニングを行なうために日本で作成されたテストに「GAMES test(Gaming engagement screen test、ゲームズテスト)」があります。
2021年に報告された日本の10~29歳におけるGAMES test 陽性率(点数が5点以上に該当する割合)は、15~19歳の男性が12.0%と高く、10~29才では男性7.6%、女性2.5%、男女計5.1%でした。
表 : 性年齢別のGAMES test 陽性率 *CI=confidence interval,信頼区間年代(歳) | 男 %(95%CI*) | 女 %(95%CI) | 全体 %(95%CI) |
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10~14歳 | 9.2(8.3-10.1) | 3.1(2.6-3.7) | 6.2(5.7-6.8) |
15~19歳 | 12.0(10.9-13.1) | 3.0(2.4-3.6) | 7.6(7.0-8.3) |
20~24歳 | 6.2(4.9-7.5) | 2.3(1.5-3.0) | 4.1(3.4-4.8) |
25~29歳 | 4.0(2.9-5.0) | 1.5(0.9-2.2) | 2.7(2.1-3.3) |
10~29歳合計 | 7.6(6.5-8.7) | 2.5(1.9-3.2) | 5.1(4.5-5.8) |
出典:Higuchi S et al, Journal of Behavioral Addictions, 2021より許可を得て引用改変
過去12ヵ月について、以下の質問のそれぞれに、「はい」「いいえ」のうち当てはまる方に〇をつけてください。最後の質問については、もっとも当てはまる回答を一つ選んでください。なお、ここでいうゲームとは、スマホ、ゲーム機、パソコンなどで行うゲームのことです。
質問項目 | 回答 | |
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ゲームを止めなければいけない時に、しばしばゲームを止められませんでしたか。 | 1. はい 0. いいえ |
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ゲームをする前に意図していたより、しばしばゲーム時間が延びましたか。 | 1. はい 0. いいえ |
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ゲームのために、スポーツ、趣味、友達や親せきと会うなどといった大切な活動に対する興味が著しく下がったと思いますか。 | 1. はい 0. いいえ |
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日々の生活で一番大切なのはゲームですか。 | 1. はい 0. いいえ |
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ゲームのために、学業成績や仕事のパフォーマンスが低下しましたか。 | 1. はい 0. いいえ |
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ゲームのために、昼夜逆転またはその傾向がありましたか。(過去12ヵ月で30日以上) | 1. はい 0. いいえ |
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ゲームのために、学業に悪影響がでたり、仕事を危うくしたり失ったりしても、ゲームを続けましたか。 | 1. はい 0. いいえ |
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ゲームにより、睡眠障害(朝起きれない、眠れないなど)や憂うつ、不安などといった心の問題が起きていても、ゲームを続けましたか。 | 1. はい 0. いいえ |
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平日、ゲームを1日にだいたい何時間していますか。 | 0. 2時間未満 1. 2時間以上 6時間未満 2. 6時間以上 |
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評価方法: 各質問項目に対する回答の数字を合計する。 5点以上の場合、ゲーム行動症が疑われる。 |
出典:Higuchi S et al, Journal of Behavioral Addictions, 2021より許可を得て引用
注釈 : 国際疾病分類と精神疾患の診断・統計マニュアルにおける用語(2023年7月時点)
国際疾病分類11版(ICD-11、2019年)には、嗜癖行動症群としてゲーム行動症やギャンブル行動症が含まれており、その基準が掲載されています。
精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5、2013年)においては、今後の研究のための病態としてインターネットゲーム障害、物質関連障害および嗜癖性障害群としてギャンブル障害が掲載されています。
ICD-11(2019年) | DSM-5(2013年) | |
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ゲーム等の使用 | 嗜癖行動症群 ゲーム行動症 (2019年に初めて掲載) |
インターネットゲーム障害 (今後の研究のための病態として掲載) |
ギャンブル行為 | 嗜癖行動症群 ギャンブル行動症 | 物質関連障害および嗜癖性障害群 ギャンブル障害 |
相談先として、以下のような窓口が設置されています。当分野では、個別の相談や支援を行なっておりませんので、ご了承ください。
鳥取県立精神保健福祉センター 精神福祉相談
鳥取県依存症支援拠点機関 渡辺病院 相談窓口 *参考:依存症を理解する
鳥取県立総合療育センター 児童精神科 *初診には紹介状が必要。完全予約制。
当分野スタッフが研究代表者もしくは分担者、ワーキンググループ構成員として携わる研究の一部を紹介します。
令和2年度 依存症に関する調査研究事業研究代表者:松下 幸生(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター)
依存関連疫学調査・研究報告書等 - 依存症対策全国センター
研究代表者:松崎 尊信(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 精神科)
2012(平成24)年度-2014(平成26)年度|201419030A研究代表者:松下 幸生(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター)
本研究テーマに関連した学会発表の一部を紹介します。
桑原祐樹, 金城文, 金弘子, 尾﨑米厚
第82回日本公衆衛生学会総会(10/31;つくば市)
当分野スタッフが執筆した関連書籍の一部を紹介します。
尾﨑 米厚、金城 文(1章 物質使用症の疫学 アルコール・タバコ(ニコチン)使用)
金城 文、尾﨑 米厚(2章 嗜癖行動症の疫学)
中山書店 2023年7月10日
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