2023(令和5)年度地域イノベーション創出に向けた実践的教育研究推進プログラム
活動の背景
昨年令和4年度に実施した大山小学校区でのインタビューやアンケート、意見交換から、
- 「コロナ禍で子どもの体力低下」
- 「バス通学の児童は歩く機会が少ないこと」
- 「放課後の友達との“遊び”の機会の減少」
などの課題が挙がりました。
↓↓↓
「通学路を歩き、道草することも大切だよね」という
住民さんの意見をヒントに、課題への対策として、
大学生が下校時刻に大山小学校を訪れ、
希望する1~2年生児童と一緒に、
大山公民館分館まで歩いて移動し、
放課後の時間を一緒に過ごせる居場所づくり
「道草プロジェクト」を企画しました。
活動の流れ
2023年
- 4月:既存資料を用いた事前学習
- 5月:地区踏査、実施施設見学、まちづくり大山にインタビュー、
「道草プロジェクト」企画検討
- 6月:「道草プロジェクト」実施、ふりかえり、
小学校養護教諭、学校医にインタビュー
- 7月:「道草プロジェクト」実施、ふりかえり、
アンケート集計
- 9月~11月:活動内容のまとめ、学内発表会で報告
- 12月:大山小学校区「地域医療を考える会」で報告、意見交換
放課後活動「道草プロジェクト」当日
6月6日、13日、20日、7月4日の合計4回実施しました。
1年生5人、2年生7人が参加してくれました。
スケジュール
14:50〜
- 大山小学校へ小学生をお迎え
児童と一緒に大山公民館分館まで徒歩で移動
- 大山公民館分館に到着後、宿題に取り組み
終わったら、思いっきり遊ぶ
14:50~
大山小学校へ小学生をお迎え
徒歩で大山公民館分館へ
並んで挨拶をした後、大山公民館分館へ向かいます。
雨の日は、途中、かたつむりを探したり
できたら、できたよシールを貼って
宿題が終わったら、思いっきり遊ぶ!
外で鬼ごっこ、
4回の道草プロジェクト終了後に実施した
保護者アンケートから
Google Formでアンケートを作成し、道草に参加した子どもの保護者に帰宅後の様子、道草プロジェクトの感想を聞きました。(参加者12人中の9件の回答をいただきました。)
夕食の様子
のびのび道草企画に参加した当日の帰宅後の様子について、
お子さんの夕食の食べ方は、普段の平日と比べていかがでしたか?
● 普段より食べ進まなかった | 0% |
● 普段と変わらなかった | 55.6% |
● 普段より食べ進んだ | 33.3% |
● わからない | 11.1% |
普段より、夕食が食べ進んだお子さんもおられたようです。
デジタル機器の使用時間
のびのび道草企画に参加した当日の帰宅後の様子について、
お子さんのテレビ、動画、ゲームなどの視聴時間は、普段の平日と比べていかがでしたか?
● 普段より短かった | 88.9% |
● 普段と変わらなかった | 11.1% |
● 普段より長かった | 0% |
● わからない | 0% |
普段より、デジタル機器を使う時間が短かったようです。
睡眠の様子
のびのび道草企画に参加した当日の帰宅後の様子について、
お子さんの眠る時刻は、普段の平日と比べていかがでしたか?
● 普段より早かった | 55.6% |
● 普段と変わらなかった | 33.3% |
● 普段より遅かった | 0% |
● わからない | 0% |
● 18時くらいに1度寝てました。 | 11.1% |
疲れて、帰宅後1度寝てしまう子もいました。
普段より、早く寝るお子さんもおられたようです。
帰宅後の様子(自由記載)
- 家での話のネタとなった
- 運動→お風呂の流れが出来た
- 満足げな様子だった
- 活動の中で捕まえた虫の世話をするようになった
- 疲れ果ててい
- 参加証の紙を嬉しそうに見ていた
また参加したいか
今後も、放課後に、のびのび道草企画があれば、参加してみたいと思われますか?
● はい | 100% |
● いいえ | 0% |
● わからない | 0% |
みなさんが、また参加したいと答えてくださいました。
アンケートを元に、
「道草プロジェクトに参加した日の子どもの様子」
についての考察
学生が考えた、
道草プロジェクトが各方面に与えうる影響(仮説)
子ども
- 宿題を終わらせてから遊ぶ習慣がつく
- お風呂に入ろうと思える
- 家族に話したいことが増える
- 放課後にみんなで一緒に遊んだり、運動できる
- 道草プロジェクトがあることで、放課後を楽しみに、学校に登校できる
- 他の学年の子への気遣いや譲り合いができる
- 普段関わらない世代と関わる機会になる
- 普段とは異なった遊びを楽しめる
- テンションが上がる、遊びを試行錯誤できる
保護者
- 子どもが疲れて早く寝るかもしれない
- 放課後、安心して、遊べる場ができる
- 子どもが楽しく過ごせる
- 宿題が終わって帰ってくる
- 子どもが、その日のことを話すことが増えるかもしれない
- 保護者の時間が確保できるかもしれない
まちづくり組織・地域の人
- 子どもがセンターに来る機会が増え、楽しんでいる姿を見ると楽しい
- 地域の子どもを育てる活動につながる
- 子どもたちが成長した時に、ボランティア
- 地域貢献する人となってくれる人もいるかもしれない
- 大学生の活動を見て新しいアイデアが思い浮かび、次の大山町の活動につながるかもしれない
- 大山町に愛着を持つ学生が増え、医療を担う人が増えるかもしれない
大学生
- 子どもの様子、行動、子どもへの伝え方などの関わり方を学べる
- 水分補給など健康上注意すること、危険なことなどに意識を向けることを実践的に学べる
→将来診療するときの参考になる
- 企画/修正する力・様々な角度から捉える力を養える
- 地域を知ることができる
- 様々な年代、立場の人の生活背景や考えを知り、交流できる
今後に向けて、学生からの提案
地域の方にも一緒に参加してもらうのはどうか。
学生と地域の人との交流も期待できるのではないか。
道草プロジェクトの対象学年を広げるのはどうか。
上級生には、一緒に活動の企画をしてもらえるとよい。
道草プロジェクトをおこなって
学生としてのまとめ
- 子どもたちを想う保護者や地域住民の方の考えを学ぶことができた
- 試行錯誤の連続だったが、回を重ねながら実施内容を改善させることができた
- 地域医療に関わる関わらないに限らず、今回の経験を新たな一つの視点としたい
- 放課後活動では意思疎通の難しさと大切さを、身をもって学ぶことができた
- 将来、1人の患者だけでなく社会全体に対して医師が何をすることができるか考える必要があると思った(社会的処方)
謝辞
本プログラムの実施にあたり、道草プロジェクトにご参加いただいた児童と保護者の皆様、大山小学校の先生方、大山診療所、 自主組織まちづくり大山、大山地区住民の皆様にお世話になりました。
深く感謝致します。
担当教員:金城
実習協力者:自主組織まちづくり大山、大山診療所 井上所長、地域・精神看護学講座 金田准教授