生体高次機能学部門

Division of Integrative Bioscience

分野名

生体高次機能学分野 Division of Integrative Bioscience

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電話番号

 TEL:0859-38-6252 FAX:0859-38-6250
 E-Mail:mailto:koujikinou@med.tottori-u.ac.jp

スタッフの職名と氏名
教授畠 義郎(はた よしお)mailto:yhata@med.tottori-u.ac.jp
准教授 中村貴史

(なかむら たかふみ)mailto:taka@med.tottori-u.ac.jp

助教亀山克朗(かめやま かつろう)mailto:kameyama@med.tottori-u.ac.jp
助教黒崎 創(くろさき はじめ) mailto:hkurosaki@med.tottori-u.ac.jp
分野の特色
末梢・中枢神経系による人体各部のシステム的統合機能や、遺伝子・蛋白質の機能発現に必要な生体内微小環境について、その仕組みや役割を解明し、身体機能の強化や再生を目指します。
分野での主要な研究テーマとその取り組みについての説明

畠教授担当分野HP
ヒトの乳児は、すでに驚くべき認知能力を持っています。しかし同時に、見る、聞く、話すといった基本的な能力でさえ、その完成には、発達の際に適切な刺激や経験を得ることが必要です。このように、ヒトの能力は遺伝的にコントロールされた成熟過程と、生育環境での経験が相互に作用することで形成されていくのです。脳がうまく発育するためには、どんな刺激や経験が必要なのでしょうか?それらの刺激はどのような仕組みで脳の発育に影響するのでしょうか?私達は、哺乳類の視覚中枢の生後発達を研究することで、このような疑問に答えようとしています。
眼で捉えた視覚情報は大脳の視覚野という領域で処理されますが、この領域の機能や構造の発達に、生後発達期の視覚体験が重要な役割を果たしています。この現象をモデルとして、以下のようなプロジェクトが進行中です。

1)視覚経験による大脳皮質神経回路網の調節とその分子機構の解明
発達の際に一方の眼の視覚経験が不十分だと、そちらの視覚入力は機能が低下し、形態的にも退縮します。神経の活動がいかにして神経回路の調節につながるのか、そこに関わる神経栄養因子などの機能分子、その後の細胞内シグナル伝達系の研究を通してその分子メカニズムを追求しています。

2)人工的刺激による神経機能の調節と視機能再建の試み
視覚経験は脳の活動を引き起こします。では視覚機能の発達に必要な「経験」とは、どのような神経活動のことなのでしょう?その活動を外から与えることで脳の発達を促したり、導いたりすることは可能なのでしょうか?私たちは幼児期の動物の視神経を、片側だけ電気パルスで人工的に刺激することで、視覚野の細胞を刺激した眼に強く反応するよう変化させることに成功しました。この結果から、外部からの電気刺激で神経機能を誘導できる可能性が見えてきました。
このような研究を進めることで、視覚機能が充分発達しなかった場合に、後からその発達を人工的に促すことも出来るようになるかもしれません。
眼優位コラム
大脳視覚野にはそれぞれの眼からの情報を受け取る領域がモザイク上に並んでいる(眼優位コラム:各眼球に対応する領域を赤と緑で表示している)。右の2つの図は、片眼の視覚を遮断した動物での眼優位コラムで、白い部分が可視化されたコラム。健常眼コラムの拡大と遮蔽眼コラムの縮小が見られる。

3)視覚野神経回路網による情報処理原理の解明
視覚情報は、色や形、運動など様々な性質について分析的に処理され、各々のニューロンはある特徴に選択的な活動を示します。多数のニューロン間の相互作用を解析することで、様々な特徴を最終的に1つのイメージに統合する仕組みの解明を目指します。


中村准教授担当分野HP
 我々は、ウイルスを用いて生命現象の解明や最先端医療を支える技術の創生に焦点を当て、遺伝子・再生治療薬、及び癌標的治療薬の研究開発を目指しています。 

Fig.1 png

図1:膜融合の制御と遺伝子・再生治療薬への応用
Fig.2 膜融合図
 麻疹ウイルスの感染は、H蛋白の細胞レセプター(CD46又はSLAM)への吸着と、それに伴うF蛋白の膜融合によって成立する。H蛋白のレセプターと相互作用するアミノ酸を同定・排除し、かつ新しいトロピズムを加えることによって、膜融合の制御に成功した。
(Nakamura et al., Nature Biotechnology 22: 331-336, 2004 Nakamura et al., Nature Biotechnology 23: 209-214, 2005参照)

図2:ワクシニアウイルスの増殖・病原性の制御と癌標的治療薬への応用
Fig.3 svFig4. MVV
 マイクロRNA(miRNA)制御機構による遺伝子発現調節と同調させることによって、ウイルス病原性に関わる膜蛋白B5Rを、癌細胞では発現させる(=ウイルスは増殖する)が、正常細胞ではB5Rを発現させない(=ウイルスは増殖しない)miRNA制御ウイルスを作製した。ヒト膵臓癌細胞の皮下腫瘍マウスモデルにおいて、miRNA制御ウイルス()は、腫瘍(矢印)でのみ増殖し、腫瘍の標的破壊に伴って消失した。生理食塩水()は治療効果がなく、無制御ウイルス()は腫瘍を破壊したが正常組織でも増殖し、その毒性でマウスは死亡した。
Hikichi et al., Molecular Therapy 19, 1107-1115, 2011参照)
HP作成担当者名
畠義郎 mailto:yhata@med.tottori-u.ac.jp