免疫学分野

Division of Immunology

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分野の特色

 ウイルスや細菌などの病原体に感染したとき、私たちは免疫システムを使って病原体と戦うだけでなく、病原体自身を記憶することができます。同じ種類の病原体に再び感染したときは症状なく病原体を速やかに排除できるようになります。当研究室では、この記憶の形成や維持における分子メカニズムを明らかにすることを主な目的としています。この分子メカニズムが解明されれば、記憶を制御できるようになり、ワクチンの効果を増強させたり、自己免疫疾患やアレルギー疾患のように自己や無害なものに対する間違えた記憶を喪失させたりすることができます。その方法こそが自己免疫疾患やアレルギー疾患を完治させる唯一の手段であると考えています。この分野は、臨床応用を常に考えながら、基礎研究をじっくり進めていきます。 

分野での主要な研究テーマとその取り組みについての説明

 

 私たちの目的は「免疫記憶」を制御し、以下の2つの臨床応用を考えています。

1.免疫記憶を増強させ、過剰な炎症を起こさない理想のワクチンを作る
2.免疫記憶を喪失させ、自己免疫疾患やアレルギー疾患を完治させる

概要(研究室一覧)_免疫学01

 

 免疫記憶を制御するためには、免疫記憶の分子メカニズムをよく知る必要があります。免疫記憶は4つの記憶細胞が主に担っています。その中で現在、特に抗体免疫に関与している記憶ヘルパーT細胞と記憶(長寿命)プラズマ細胞に焦点を当てて研究を行っています。これらの記憶細胞を増やしたり減らしたりすることで、免疫記憶を制御することができます。

1.記憶ヘルパーT細胞
 多くの記憶ヘルパーT細胞は骨髄に貯えられていることを発見し、その形成や維持に関わる分子メカニズムを明らかにしている。
2.記憶(長寿命)プラズマ細胞
 記憶プラズマ細胞は骨髄のあるストローマ細胞に接着して維持されていることを発見し、最近サルモネラの研究より、IgGを産生するプラズマ細胞がラミニンβ1によって特異的に維持されていることを明らかにした。

概要(研究室一覧)_免疫学02
 左図は記憶ヘルパーT細胞が感染(免疫)から2ヵ月後には主に骨髄に定着することを示し、右図はIgGを産生する記憶プラズマ細胞が骨髄のCXCL12とラミニンβ1を産生するストローマ細胞上で維持されていることを示している。

【主要論文】
1. Takaya A et al. Front Immunol 10:3155, 2020.
2. Sarkander J et al. Front Immunol 10:3113, 2020.
3. Männe C et al. Proc Natl Acad Sci USA 116:7425-7430, 2019.
4. Sarkander J et al. Clin Transl Immunol 5:e120, 2016.
5. Hayashizaki K et al. Sci Immunol 1:eaaf9154, 2016.
6. Hojyo S et al. Front Immunol 7:26, 2016.
7. Hanazawa A et al. Front Immunol 4:183, 2013.
8. Hanazawa A et al. Immunol Cell Biol 91:524-531, 2013.
9. Tokoyoda K et al. Cell Mol Life Sci 69:1609-1613, 2012.
10. Shinoda K et al. Proc Natl Acad Sci USA 109:7409-7414, 2012.
11. Tokoyoda K et al. Nat Rev Immunol 10:193-200, 2010.
12. Tokoyoda K et al. Eur J Immunol 39:2095-2099, 2009.
13. Tokoyoda K et al. Immunity 30:721-730, 2009.
14. Tokoyoda K et al. Immunity 20:707-718, 2004.
15. Tokoyoda K et al. Int Immunol 16:643-653, 2004.

スタッフ

教授  常世田好司 tokoyoda@tottori-u.ac.jp
准教授 吉野三也 myoshi@tottori-u.ac.jp
助教  村田暁彦 muratako@tottori-u.ac.jp

 電話番号

TEL 0859-38-6221

関連リンク

 研究室ホームページ https://www.med.tottori-u.ac.jp/immunol/