診療案内

泌尿生殖器疾患

停留精巣

 精巣は、お母さんのお腹の中にいる間は赤ちゃんのお腹の中で育ち、生まれる直前から生後数か月の間に陰嚢内に降りて来るのが一般的です。精巣が陰嚢内に届かずに停留してしまった状態が「停留精巣」です。精巣の生殖細胞が成熟するためには、温度の低い陰嚢内にあることが望ましいので、停留精巣は不妊症の原因になり得ます。また、精巣の腫瘍が発生する可能性も少し高くなると言われています。なので、精巣がなかなか陰嚢に降りて来ない時には手術が推奨されます。経過観察が可能な「移動性精巣」と見分ける必要もあるため、小児外科や泌尿器科のある専門施設での診察が必要になります。

 

先天性膀胱尿管逆流

腎臓で作られた尿は、尿管という管を通って膀胱に貯められてから排泄されます。この尿管と膀胱とのつなぎ目の部分に形や位置のずれがあって、うまく力がかからない状態になっていると尿の逆流を生じます。それが先天性膀胱尿管逆流です。軽いものなら成長に伴って逆流が消えていくことも多いですが、逆流が繰り返している状態で膀胱炎を起こすと、逆流に乗って腎臓まで感染してしまうことがあり、全身的な重症感染に及んでしまうこともあります。腎臓にダメージが重なり続けると腎機能障害に至ることもあります。

なので、自然に消えにくい強さの逆流だったり、発熱を伴う感染を繰り返したりする場合には手術が必要と判断されます。最初の診断は小児科で行われることがほとんどですが、手術の必要性を判断する際には小児外科や泌尿器科がある専門施設での診療が必要になります。

 

水腎症

腎臓で作られた尿は、尿管という管を通って膀胱に貯められてから排泄されます。その尿管のどこかに極端に狭い部分があると、その上流に尿が充満して膨れてしまうことがあり、それを水腎症と呼びます。小児に多く見られる生まれつきの水腎症は、尿管の始まりの部分(腎盂尿管移行部)と尿管の終わりの部分(尿管膀胱移行部)に多いです。前者では腎臓の近くだけが膨れる水腎症になり、後者では尿管も膨れて水腎水尿管症(または巨大尿管症)という状態になります。軽度のものは自然に治ることもあり、治りきらなくても症状が出なかったり腎機能に影響しなかったりするので、定期検査だけで終わることもあります。逆に重度のものでは、腹痛・腰痛、強い吐き気、感染症などを生じることがあり、気づかないうちに腎機能障害が進むこともあるため、手術が必要になることがあります。

 成人に近い年齢では泌尿器科で診療されることが多いですが、低年齢のお子さんでは小児科や小児外科で診療される例が多いです。年頃によっては複数の診療科が連携して診療することもあります。

 

尿道下裂

尿道下裂は、尿道が亀頭の先端まで形成されておらず、もっと手前で陰茎や陰嚢の裏側に尿の出口がある状態になる疾患です。同時に、陰茎が下向きに大きく曲がっていることもあります。生まれつきのものですが原因は不明です。出口がどの辺りにあるかによって症状に差はありますが、立位での排尿が難しくなったり、将来的に性交渉の妨げになったりすることもあるため、症状の程度によっては手術をお勧めすることになります。手術の必要性についての判断は尿道下裂を見慣れている小児外科や泌尿器科で判断することになります。



鳥取大学医学部
器官制御外科学講座
消化器外科・小児外科
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