鳥取大学医学部感覚運動医学講座 耳鼻咽喉・頭頸部外科分野

診療内容・専門外来

頭頸部腫瘍

頭頸部腫瘍外来

診療内容

「頭頸部」とは、鎖骨より上にある脳と眼球を除いた部位の総称です。
当外来では、頭頸部に生じた、主に悪性腫瘍の診断、治療を行っています。
頭頸部は、食べる、話す、聞く、嗅ぐなど、生活に欠かせない重要な機能を持つ臓器の集合体ですので、根治性と機能温存を両立することを目指しています。
また、患者さん個々人で異なる社会的、精神的な背景など、様々な要素を満足できるよう心掛けています。

対象疾患

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  • 口腔癌
    口の中の癌では、舌にできるもの多いです。
    喫煙や飲酒の他、歯や義歯による慢性的な刺激も発がんの原因として知られています。
    はじめは口内炎に似ているため、なかなか治らない口内炎には注意が必要です。
  • 咽頭癌
    腫瘍のできる場所により、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌に分けられます。
    喫煙、飲酒が主な原因ですが、ウイルスが原因のものが注目されています。
    はじめは無症状のため、進行して飲み込みにくさや首のしこりを生じてから気付かれる場合が多いです。
  • 喉頭癌
    声帯およびその近くにできる癌です。
    喫煙、飲酒が原因として知られています。声のかすれが治らない場合には、喉頭癌を疑います。
  • 鼻・副鼻腔癌
    鼻の中、副鼻腔に生じる癌です。世界的には珍しい癌ですが、日本人では多い傾向にあります。
    いわゆる蓄膿症として知られる慢性副鼻腔炎が原因となります。
    はじめは無症状であり、進行すると出てくる鼻づまり、鼻血、頬の腫れや痛みなどが気付かれるきっかけとなります。
  • 唾液腺癌
    唾を作る臓器にできる比較的珍しい癌です。
    おたふくかぜの際に腫れる耳下腺に生じるものが最多です。
    唾液腺の良性腫瘍の中には長年の時間を経て悪性化するものがあります。
    痛み、顔の動かしにくさなどを生じます。
  • 悪性リンパ腫
    免疫細胞の一つであるリンパ球が異常に増殖する疾患です。
    発熱や体重減少の他、首のしこり(リンパ節腫脹)を生じます。

手術

治療の大きな柱は、現代においてもやはり手術となっています。
なかでも、機能面に配慮した患者さんへの負担の少ない手術である、「低侵襲手術」に注力しています。

  • 口腔悪性腫瘍手術
    口腔癌の治療は手術による切除が基本となります。
    口の中から病変を切除する手術から、近接臓器の合併切除と再建を必要とする拡大切除まで幅広く行っています。
  • 経口的ロボット支援手術

    ロボットを用いた精度の高い手術で、口の中から咽頭や喉頭の癌を切除します。
    対象疾患は、中咽頭癌、下咽頭癌、声門上癌です。

    詳しくは鳥取大学医学部附属病院低侵襲外科センターのページをご覧ください。

  • 鏡視下咽頭及び喉頭悪性腫瘍手術
    ロボットを用いないで行う、口の中から咽頭や喉頭の癌を切除する方法です。
    ロボット支援手術で用いる機器では到達が難しい部位に対して行う手術です。
  • 咽頭及び喉頭悪性腫瘍手術
    進行癌に対しては喉頭全摘術を含む拡大切除が行われます。
    機能温存のため、形成外科や消化器外科と協力した再建術を行っています。
  • 鼻副鼻腔悪性腫瘍手術
    審美的配慮、機能温存のため、早期癌に対しては鼻内から行う内視鏡手術を積極的に行っています。
    進行癌に対しては、上顎部分切除術、上顎全摘術、拡大上顎全摘術、頭蓋底手術を疾患の進行度に応じて行います。
  • 耳下腺悪性腫瘍手術
    唾液腺癌、なかでも耳下腺癌に対しては、顔を動かす顔面神経をできる限り温存した手術を行います。
    腫瘍切除に伴い顔面神経の切断が避けられない場合は、神経の再建術を積極的に実施しています。
  • 頸部郭清術
    頸部リンパ節への転移を取り除く手術です。
    転移を生じているまたは転移を生じると予想される領域のリンパ節を一塊に切除します。
    頸部には様々な重要臓器(血管、神経など)がありますので、それらを可能な限り温存します。

治療

  • 放射線治療
    頭頸部癌に対する根治治療のもう一つの柱です。
    当院の放射線治療科医師と協力して治療を行っています。
    患者さんへの負担の少ない強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy; IMRT)を導入しています。
    単独またはがん薬物療法と組み合わせて治療を行います。
  • がん薬物療法
    当科の化学療法外来で治療を行っています。
    現在では、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬、殺細胞性抗がん剤といった複数の治療薬剤を、単剤または組み合わせて治療していきます。
    患者さん個々人の価値観を尊重した上で、できる限り毒性をコントロールしつつ、生活の質(Quality of life; QOL)を重視した治療を行っています。
  • 頭頸部アルミノックス治療(頭頸部光免疫療法)
    光感受性薬剤(アキャルックス®)とレーザー光照射を組み合わせた新しい治療です。
    2021年より保険適応となり、山陰で唯一の治療実施施設として治療を開始しています。
    手術切除、放射線治療、がん薬物療法などの標準治療の適応とならない方を対象としています。

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