鳥取大学医学部感覚運動医学講座 耳鼻咽喉・頭頸部外科分野

診療内容・専門外来

耳科外来

診療内容

外耳・中耳・内耳・側頭骨・頭蓋底といった、耳周囲のあらゆる疾患に関する専門外来です。

対応疾患

  • 難聴
  • めまい
  • 末梢性顔面神経麻痺
  • 真珠腫性中耳炎
  • 慢性中耳炎
  • 鼓室硬化症
  • 耳硬化症
  • 癒着性中耳炎
  • 中耳奇形
  • 人工内耳
  • 人工中耳
  • 良性・悪性の側頭骨領域腫瘍
  • 先天性耳瘻孔

実施している主な検査

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  • 標準純音聴力検査、幼児聴力検査
  • 他覚的聴力検査(DPOAE、ABR、ASSR)
  • 耳鳴検査、ティンパノメトリー、耳管機能検査
  • 平衡機能検査、重心動揺検査、VOR
    人間の平衡感覚は、内耳(三半規管)の情報、視覚情報、体の位置感覚や筋緊張の程度など深部感覚の情報を、小脳や大脳といった中枢器官で処理し制御されます。
    ゆえに各々の部位に何らかの異常があれば、情報のバランスが崩れめまいとして表れます。
    また、内耳は聴覚器官も存在するため、疾患によってはめまいと難聴が相関することがあります。
    同じように見えるめまい・難聴も様々な原因から生じるため、 病態を把握する目的で一連の各種平衡機能検査・聴力検査・画像検査などが必要になり、当科では1泊2日の入院で聴覚・平衡系の様々な検査を実施・解析を行ない、所見を捉えて治療方針を策定することで、かかりつけ医に還元して近医での診療継続に寄与することを目指しています。
  • 電気生理検査(蝸電図検査、VEMP、NET、ENoG)
  • CT、MRI等画像検査

実施している主な手術

  • 鼓膜切開術、鼓膜換気チューブ挿入術
  • 鼓膜穿孔閉鎖術
  • 鼓膜形成術
  • 鼓室形成術
    年間手術件数は、60症例程度です。
    基本的には全身麻酔で手術し、通常平均6日前後という短期間の入院で積極的に聴力改善手術を行っています。
    殆どの患者さんが経過観察以外の術後通院加療不要・もしくは通院回数減少につながっており、聴力の改善も比較的良好な治療成績となっています。
    特色としては、耳介から採取した軟骨を薄くスライスして陥凹しにくい鼓膜や外耳道を作製し、真珠腫などの再発防止を行っています。
  • 経外耳道的内視鏡下耳科手術
  • アブミ骨手術
  • BAHA、人工中耳および人工内耳埋込術
    急性や慢性の感音難聴により生じた聴力低下が不可逆であった場合でも、残存する能力を最大限利用するために、補聴器や人工内耳といった人工聴覚器の適応判定を行っています。
    補聴器は地域の補聴器店へ診療情報提供を行なうなど連携しながら最適な聞こえが得られるよう調整をしています。
    また、近年発売となった軟骨伝導補聴器や貼付型骨導補聴器の導入も行なっています。
    また、人工内耳装用者のリハビリテーションや人工内耳メンテナンスの相談も受けております。
  • 側頭骨領域悪性腫瘍切除術
    耳の周囲の腫瘍性病変は、耳鼻咽喉科領域の腫瘍の中でも比較的少ないとされています。
    耳の周囲は表情を作る顔面神経・平衡感覚の神経・聴覚の神経などがあります。
    比較的複雑な構造をしていますが、なるべく温存できる機能は温存するように手術法を考えています。
    また、悪性腫瘍の場合には、手術前の画像検査を用いたナビゲーション手術を行うことで、安全で確実な手術を心掛けています。
  • 顔面神経減荷術
  • 外リンパ瘻閉鎖術
  • 耳瘻管摘出術

実施している主な治療

  • ステロイド漸減治療
    末梢性顔面神経麻痺の治療は、発症後早期にステロイド漸減療法を行うことが有効とされており、これに準じた治療法を行っています。
    陳旧性となった麻痺に対しては顔面神経減荷術、スーパーライザー照射などの補助療法、および顔面マッサージやミラーバイオフィードバックの指導も施行しています。
  • 高気圧酸素治療
    高気圧酸素治療とは、潜水艦のようなタンクに入ってもらい、圧力を通常の2倍以上して、その中でマスクで酸素を吸ってもらう治療です。
    高い圧力をかけることで、通常の10~20倍の酸素を体の中に取り込むことができます。
    高い圧力による物理的な効果と、体の中により多くの酸素を取り込む生理的な効果を利用する治療法で、悪性外耳道炎といった重症感染症や急性感音難聴に適応があります。
    当院の高気圧酸素治療装置は、1人用のカプセルタイプと最大20名が同時に入ることができる国内最大級の装置があり、閉所恐怖のある方にも受け入れられやすくなっています。
    現在は、新型コロナ感染対策のため、1回あたり4名に制限しています。
    また、装置内の換気は十分に行っています。
  • 補聴器導入、人工中耳および人工内耳調整
    希望に応じて人工中耳手術も施行可能です。
    人工内耳手術は平成15年度より実施しています。
    先天性難聴の患者さんでも聴覚・言語が獲得できる症例もあります。
    また、成人例では、補聴器で充分な会話が不可能な患者さんに施行しています。
    条件が整えば、人工内耳によるコミュニケーション手段を用いて社会復帰されています。
    人工内耳は、すべての患者さんで聴力を回復できるわけではありませんが、今までになかった画期的な治療方法です。
    徐々に人工内耳手術を受けられる患者さんが増えており、現在当院では100例を超えました。
  • 中耳加圧治療

 

幼児難聴外来

難聴は目に見えないので気づかれにくいですが、生まれつききこえない・きこえにくい赤ちゃんが1000人に1人くらい出生しているといわれています。
両側の耳がきこえないと言葉が遅れますが、子供の言葉の発達は個人差がありますし、発達遅滞や自閉症などで言葉が遅れることもあるため、難聴がその原因であるのになかなか正しく診断されない場合もあります。
難聴がある場合、早く発見して適切な援助をしてあげることが赤ちゃんの言葉と心の成長のためにとても大切です。
この適切な時期は生後6か月以内といわれ、こういった早期に適切な援助を受ければ、難聴による言葉の遅れは殆ど生じないといわれています。

当科は新生児聴覚スクリーニング精査機関であり、新生児・幼児への脳波・聴力検査・遊戯聴力検査を行えますので、適切な援助を受けるための手助けとなりたいと考えています。
高度難聴児に対しては人工内耳埋込手術と術後のリハビリを行っています。
また遺伝子解析の手法を用いた難聴の原因解明についても、当院遺伝子診療科と連携して行っています。
また、生まれつきではない小児難聴の早期発見や言語訓練、経過観察を地域のろう学校や難聴児支援施設と連携して行っています。
以下のチェックリストに当てはまらないことがあり、きこえに心配があるときは是非ご相談ください。

家庭でできる耳のきこえと言葉の発達のチェックリスト(*)

生後3ヶ月頃
  • ( )大きな音に驚く
  • ( )大きな音で目を覚ます
  • ( )音がする方を向く
  • ( )泣いているときに、声をかけると泣きやむ
  • ( )あやすと笑う
  • ( )話しかけると、「アー」「ウー」などと声を出す
生後6ヶ月頃
  • ( )音がする方を向く
  • ( )音が出るおもちゃを好む
  • ( )両親など、よく知っている人の声を聞きわける
  • ( )声を出して笑う
  • ( )「キャッキャッ」と声を出してよろこぶ
  • ( )人に向かって声を出す
生後9ヶ月頃
  • ( )名前を呼ぶとふりむく
  • ( )「イナイイナイバー」の遊びをよろこぶ
  • ( )叱った声「ダメッ!」「コラ!」などというと、手を引っ込めたり、泣き出したりする
  • ( )おもちゃに向かって声を出す
  • ( )「マ」「パ」「バ」などの音を出す
  • ( )「チャ」「ダダ」などの音を出す
生後12ヶ月頃
  • ( )「ちょうだい」「ねんね」「いらっしゃい」などのことばを理解する
  • ( )「バイバイ」のことばに反応して手を振ったりする
  • ( )大人のことばをまねようとする
  • ( )意味のある言葉ではないが、さかんにおしゃべりする
  • ( )意味のある言葉を1つか2つ言える(食べ物のことを「マンマ」、おかあさんを「ママ」など)
  • ( )単語の一部をまねして言う
1才6ヶ月頃
  • ( )絵本を読んでもらいたがる
  • ( )絵本を見て知っているものを指す
  • ( )簡単ないいつけがわかる(「その本を取って」「このゴミを捨てて」など)
  • ( )意味がある言葉を1つか2つ言える
  • ( )意味がある言葉を3つ以上言える
  • ( )絵本を見て知っているものの名前を言う
(*)田中美郷,進藤美津子,小林はるよ,他: 乳児の聴覚発達検査とその臨床および難聴児早期スクリーニングへの応用。Audiology Japan 21 : 52―73,1978 を改変

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