鳥取大学医学部感覚運動医学講座 耳鼻咽喉・頭頸部外科分野

診療内容・専門外来

甲状腺

甲状腺外来

甲状腺は喉仏の下にある臓器で、甲状腺ホルモンを作り、体内に放出しています。
当科では主に甲状腺にできた腫瘤や内科的治療が困難な甲状腺機能異常症に対する治療を行っています。

甲状腺良性疾患

診療内容

甲状腺に生じる腫瘍やその他の腫瘤、甲状腺ホルモンの異常をきたす疾患のうち内科的治療の効果が乏しいものなど手術加療が必要な疾患を診療対象としています。
通常の手術に加え、創の目立ちにくい内視鏡手術も行っています。

対象疾患

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  • 濾胞腺腫
    良性に分類される腫瘍です。
    治療を要さないことが多いですが、大きい場合や他の臓器を圧迫している場合、悪性の可能性が疑われる場合に手術を行います。
  • 腺腫様甲状腺腫
    甲状腺にできるしこりのひとつです。
    腫瘍とは異なり、正常な細胞が部分的に増殖することで生じます。
    治療を要さないことがほとんどですが、濾胞腺腫と同様に他の臓器を圧迫している場合や、悪性の可能性が疑われる場合には手術を行うことがあります。
  • 甲状腺のう胞
    甲状腺内に液体が貯留した状態です。
    基本的に治療は要しませんが、大きい場合には穿刺による排液や経皮的エタノール注入療法による治療を行う場合があります。
  • バセドウ病
    自身の甲状腺を攻撃する物質(自己抗体)が体内で生成され、刺激により甲状腺機能が高くなる病気です。
    一般的には内科的治療が行われますが、治療効果が乏しい場合には手術の適応となります。
など

当科で行っている手術

  • 甲状腺部分切除術
    腫瘍を含めて甲状腺を半分切除する術式です。
    大きさや部位にもよりますが、甲状腺濾胞腺腫や腺腫様甲状腺腫などの良性結節に対して施行する術式です。
  • 甲状腺全摘術
    甲状腺を一塊に摘出する術式です。
    バセドウ病などに対して施行します。
  • 内視鏡下甲状腺片葉切除術
    手術用のカメラ(内視鏡)を用いて行う手術です。
    通常の手術に比べ、創が目立ちにくいという利点があります。
    良性の腫瘤に対して行いますが、大きさや部位により適応を判断します。

甲状腺悪性腫瘍

診療内容

異常な細胞が増殖し、周囲組織を破壊したり(浸潤)、離れた臓器に病変をつくる(転移)状態を、悪性腫瘍(癌)といいます。
手術を中心とした治療を行い、病勢に合わせて放射性ヨード内用療法や分子標的薬による治療を行っています。
甲状腺は声帯の動きを調節する神経(反回神経)に近く、進行した悪性腫瘍では声帯の動きが悪くなり、声がかすれることがあります。その場合でも喉頭・音声外来と連携して音声の改善を図り、患者さんのQOLの向上に努めています。

対象疾患

  • 甲状腺乳頭癌
    甲状腺悪性腫瘍の中で最も頻度の高い腫瘍です。
    濾胞癌と共に分化癌に分類されます。
    進行は遅いことが多く、予後は良好とされます。
  • 甲状腺濾胞癌
    甲状腺悪性腫瘍の中で乳頭癌に次いで頻度の高い腫瘍です。
    良性疾患である濾胞腺腫との区別が難しい場合があり、摘出後に濾胞癌と診断される場合もあります。
    乳頭癌と同様に進行は遅く、予後は良好です。
  • 甲状腺髄様癌
    甲状腺悪性腫瘍の1%程度と言われています。
    家族性と非家族性があり、家族性の場合は他の臓器にも病変を認める場合があるため、注意が必要です。
  • 甲状腺未分化癌
    甲状腺悪性腫瘍の1%程度とされています。
    甲状腺癌は進行が遅いものが大半ですが、未分化癌は進行が極めて早いことが特徴です。
    発見時には既に進行していることも多く、有効な治療はほとんどありません。
  • 甲状腺低分化癌
    甲状腺乳頭癌や濾胞癌(分化癌)と未分化癌の中間的な特徴を有します。
    分化癌と比較して転移や再発をきたしやすいと報告されています。
  • 甲状腺悪性リンパ腫
    甲状腺悪性腫瘍の1%程度です。
    慢性甲状腺炎の経過中に生じることが多いとされています。
    進行度に応じて手術、放射線、抗がん剤のいずれかもしくは組み合わせた治療を行います。
    血液内科と連携し診療にあたります。

当科で行っている手術

  • 甲状腺悪性腫瘍手術
    腫瘍の大きさ、進展範囲に応じて切除範囲を決定します。
    進行した甲状腺癌では周囲組織の合併切除が必要となる場合もあります。
    一般に甲状腺周囲のリンパ節(中央区域リンパ節)も同時に切除します。
  • 頸部郭清術
    頸部の外側の範囲(外則区域)にリンパ節転移を認める場合には、転移したリンパ節を一塊にして切除(郭清)します。
    甲状腺の切除と同時に行う場合以外に、頸部リンパ節に再発を生じた場合にも施行することがあります。

当科で行っている治療

  • 放射性ヨウ素内用療法
    甲状腺癌のうち、乳頭癌や濾胞癌は分化癌と言われ、甲状腺のもつヨウ素を取り込む性質を持っている場合があります。
    放射性ヨウ素内用療法はその性質を利用し、放射性ヨウ素の入ったカプセルを内服することで、残存した癌病変に選択的に取り込まれ、その癌細胞のみを破壊する治療です。
    治療は放射線治療科と連携し行います。
    治療効果が得られない場合には以下の分子標的薬治療を検討します。
  • 分子標的薬治療
    一般に甲状腺癌は抗がん剤の効果が乏しいとされています。
    分子標的薬はいわゆる抗がん剤とは異なり、癌細胞に出現する特定の分子に作用して癌の増殖を抑制することが可能です。
    甲状腺癌で用いられる分子標的薬にはレンバチニブ(レンビマ®)、ソラフェニブ(ネクサバール®)、バンデタニブ(カプレルサ®)などがあります。


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