骨肉腫の肺転移を抑制するRNAの同定に成功

UPDATE : 2017-05-22

骨肉腫の肺転移を抑制するRNAの同定に成功

鳥取大学大学院医学系研究科遺伝子機能工学の尾﨑充彦助教のグループは、国立がん研究センターの落谷孝広博士との共同研究により、骨原発のがんである骨肉腫の肺転移を抑制する遺伝子「miR-143(マイクロRNA-143)」を同定し、米科学誌Molecular Therapyに掲載されました(オンライン電子版:アメリカ日時3月22日掲載、http://www.nature.com/mt/index.html)。
マイクロRNAは、22塩基程度の小さなRNA分子で、1つのマイクロRNAが複数の遺伝子の機能を阻害することで、細胞増殖や生理活性物質の分泌など様々な細胞の機能を制御しています。今回同定したmiR-143をヒト骨肉腫細胞へ導入したところ、がん細胞の浸潤能が抑制され、さらに骨肉腫の肺転移モデル動物へmiR-143を全身投与することにより、肺転移が抑制されることを明らかにしました(図)。骨肉腫は、その発症患者の約6割が10代であり、外科手術および化学療法により原発巣に対する治療をおこないますが、3-4割の患者で数年以内に肺転移を生じ、極めて予後不良となります。
現在のがん治療においては、早期診断と治療法の進歩による治癒率向上の反面、転移がんの克服が大きな課題となっています。本研究結果が、新たな「がん転移を予防する新しい治療法や診断法の開発」につながると期待されます。

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