論文内容紹介:CCR7-independent transport of skin antigens occurs in the dermis

UPDATE : 2013-06-19

 皮膚は、生体の広い面積を占め、常に外界に接している、免疫防御の最前線にある最大の臓器であるという概念が近年提唱されています。今回の論文は、皮膚(および免疫機構全体)の恒常性維持に重要とされている“自己抗原”輸送に、従来報告されていたケモカイン受容体CCR7の制御によらない機構が存在することを示したものです。皮膚は、表皮と真皮の2層構造を取っていますが、この輸送は表皮ではなく真皮の免疫細胞で行われていました。今回の研究で、表皮と真皮で異なる自己抗原輸送のシステムを持つことで、CCR7のような重要な分子が欠損しても、自己抗原輸送は簡単には消失しないこと、また、表皮のシステムが不全でも、真皮のシステムが表皮の自己抗原を肩代わりして輸送してくれることも明らかになりました。

 自己抗原輸送の消失は、自己免疫疾患の発症に関係するといわれています。今後は、この輸送が免疫機能に及ぼす影響を、さらに実験で証明したいと考えています。

吉野先生論文内容紹介

掲載論文はこちらから。
(European Journal of Immunologyのサイト)

 

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