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アレルギー外来

—アレルギー性鼻炎に対する抗原特異的免疫療法(減感作療法)についてー

現在、花粉症を含めてアレルギー性鼻炎の患者数は2000万〜3000万人といわれ、国民的な病気の1つとなっています。アレルギー性鼻炎の治療法には色々ありますが、基本的な治療法として当科で行っている免疫療法についてお話します。

<アレルギー性鼻炎の発症のメカニズム>

喘息やアレルギー性鼻炎などのアトピー疾患を持つ、いわゆるアレルギー体質の方は、特定の物質(家塵、ダニ、花粉、ペットなど)に過敏な体質を持っています。アレルギー性鼻炎では、原因となる物質(抗原)が吸気に混じって鼻の中に入り込み、鼻の粘膜内に存在するIgEという蛋白質(免疫グロブリン)と結合することが引き金となって、同じく鼻粘膜内に存在する肥満細胞から化学伝達物質(ヒスタミンなど)が放出され、クシャミ、鼻水、鼻づまりの症状を生じます。

<アレルギー性鼻炎の治療法>

現在、遺伝子治療などアレルギー体質を根本的に治す治療法の研究が盛んに行われていますが、実際に臨床で用いられるまでには至っていません。今のところ、アレルギー性鼻炎の治療法としては、先に説明した発症のメカニズムの流れのどこかを遮断して、症状が現れるのを防ぐ方法が主流です。
①抗原からの回避:マスクなどで抗原が体内に侵入するのを防ぐ方法です。効果は期待できますが、これだけで症状を抑えることは困難です。
②薬物治療:肥満細胞から放出される化学伝達物質の中でヒスタミンは最も重要な物質の1つです。このヒスタミンに拮抗する薬が抗ヒスタミン薬であり、代表的な治療薬の1つです。その他にも沢山の種類の薬がありますが、症状が治まっても、基本的には治療効果は、長期間は持続しません。

<免疫療法>

免疫療法とは、簡単に言えば、原因となる抗原の抽出液を定期的に注射して、抗原に対して体を慣らしていく治療です。免疫療法の最大の特徴は、治療効果が持続的な点であり、体質改善に類似した治療法といえます。実際の方法を説明しますと、まず注射を開始する抽出液の濃度を決めます。発症の原因となる抗原の抽出液を注射するわけですから、過剰な量を注射すれば喘息や蕁麻疹などの全身的な副作用を生じます。開始濃度を決めたあと、徐々に量を増やし、さらに濃度を濃く、体を慣らしていきます。注射は皮内か皮下注射で、最初は週1回の頻度で注射をし、約半年で一定の濃度・量(維持量)に達します。次いで注射の間隔を徐々に開けて、治療開始後、約1年で1か月に1回の注射となります。1か月に1回の注射をどのくらい続けるべきか、決まりはありませんが、世界保健機構(WHO)の治療指針では少なくとも3年の継続が必要とされています。長期にわたる治療であり、全ての患者さんに行うことはできませんが、当科では小児の通年性のアレルギー性鼻炎の基本的治療として取り入れています。

<急速免疫療法>

治療開始濃度から維持量に達するまでの半年間の1週間に1度の通院治療を継続することが難しく、途中で止めてしまう患者さんも少なくありません。当科では、入院していただき1日に3〜4回注射をし、通常半年かかる維持量までの注射を約1週間で済ませてしまう急速免疫療法も行っています。現在まで100名以上の患者さんにこの治療法を行い、その有効性と安全性についても確認されています。

アレルギー性鼻炎は、自然に治ること(自然寛解)はあまり期待できません。小児喘息では上手に管理をすれば思春期を過ぎれば約8割の患者さんは自然寛解に向かいますが、小児のアレルギー性鼻炎では自然寛解は約2割といわれており、8割の人は成人になっても鼻の症状が続くことになります。このようなアレルギー性鼻炎の特徴からも免疫療法は優れた治療法の1つといえます。