当教室の研修の最大の特徴は、小児神経疾患の全ての領域をバランスよく学べることです。発達障害やてんかん、頭痛などのcommon diseaseを始め、先天奇形・染色体異常、周産期脳障害、先天代謝異常、神経筋疾患、けいれん重積や脳炎・脳症、脳血管障害などの救急疾患、内科的疾患の神経合併症など、小児神経科医に求められる全領域を経験できます。
当教室スタッフならびに同門の先生方は、それぞれ高い専門性を持っています。令和3年10月現在の学内の医局員は12名です(小児科専門医(10)、小児神経専門医(4)、てんかん専門医(3)、臨床遺伝専門医(1))。また、遺伝子診療科を併任しており、専任助教(小児科専門医、小児神経専門医、臨床遺専門医)と共に遺伝カウンセリングを実施していますので、遺伝カウンセリングへの陪席も可能です。その他、医療的ケア児の在宅外来やボトックス治療などにも参加できます。
日本筋ジストロフィー協会鳥取県支部、重症心身障害児(者)の会、および日本てんかん協会鳥取県支部とキャンプや勉強会を行っています。
当教室の伝統は、一人ひとりの子どもを丁寧に診療することです。神経診察から病巣を考察し診断へと結びつけます。最新・最良の治療法を提供することを目指します。IRUD未診断疾患イニシアチブの拠点病院であり、確定診断のついていない症例にはエキソーム解析を検討します。また、子どもの家族背景および地域資源を把握して、院内スタッフや地域の関係機関と共に協議し、子どもを包括的に支援します。
神経疾患の診療には多くの診療科や多職種との共同診療が必要です。特に発達障害児の指導と家族支援は医学部臨床心理相談センター(臨床心理士)と密に協力しながら行っています。その他、以下のような診療科・部門と日常的に共同診療しています。
○循環器や内分泌などの全身管理(小児科)
○脳腫瘍・水頭症の管理、バクロフェン髄注療法(脳神経外科)
○重度の先天性疾患、周産期脳障害の診療・発達支援、在宅移行支援
(小児在宅医療センター)
○発達障害児の二次障害の対応(精神科)
○神経筋疾患の周術期管理(脳神経外科、小児外科、整形外科、
泌尿器科、放射線科など)
○神経生理検査(医学部保健学科)
○画像診断(放射線科)など。
(#)障害児・者施設研修:発達障害の診療や療育、リハビリテーション(運動療法、言語療法、作業療法)、
筋ジストロフィーの呼吸・循環管理、重症心身障害児の医療的ケアおよび在宅支援、などを学びます。
2年コース
大学病院での小児神経専門医研修(1年半)および障害児・者施設研修(半年)(#)を標準とします。
期間や時期は相談の上決めます。
○3年以上在籍して診療や研究をすることも可能です。
○短期の研修も可能です。
(#)障害児・者施設研修:発達障害の診療や療育、リハビリテーション(運動療法、言語療法、作業療法)、
筋ジストロフィーの呼吸・循環管理、重症心身障害児の医療的ケアおよび在宅支援、などを学びます。
大学院コース
(博士課程)
障害児医療学あるいは脳神経医学に入学して研究することができます。
8時
13時
17時
月曜日
病棟医
カンファレンス
病棟業務
火曜日
全体カンファレンス・回診
病棟業務
画像・脳波カンファレンス・抄読会・リサーチカンファレンス
水曜日
病棟業務・外来予診・教授外来補佐
病棟業務
木曜日
病棟業務
金曜日
全体カンファレンス・
回診・教授外来予診・
教授外来補佐
病棟業務
週末申し送り・カンファレンス
近隣市町村の乳幼児健診が適宜入ります。
小児科との合同カンファランス
第4火曜日18時~18時半
大学小児科・近隣病院小児科との症例検討会
第4木曜日18時~19時
脳とこころの医療センター症例検討会
偶数月第3月曜日18時~19時
中枢神経懇話会(中枢神経診療・研究に携わる基礎講座、臨床講座)
奇数月第4月曜日18時~19時
積極的に小児神経学会、小児科学会、てんかん学会へ参加できます。
論文指導も行います。
滋賀医科大学 小児科学講座
底田 辰之 先生私は滋賀医大小児科に入局していますが、1年間小児神経の勉強させていただくために米子にきました。病棟での主治医業務が主な仕事ですが、週2回の教授回診前のカンファレンスの他に、脳波や画像のカンファレンス、脳神経小児科の諸先輩方のありがたい講義など、小児神経を集中して勉強するには最適な環境が整っています。小児科や小児外科、脳外科など他科との連携も良く、神経疾患の患者さんに対する治療はほぼ病院内で完結します。
脳神経小児科にこられる患者さんは、熱性痙攣から急性脳炎・脳症、稀な代謝性疾患まで非常に幅広く、外勤先では5歳児健診も経験することができました。また、仕事が充実している一方、大自然に囲まれた米子では山陰地方の味覚を存分に楽しむことができます。豊富な海の幸、大山地鶏に舌鼓を打ち、同じ志を持つ仲間達とお酒を飲み語らったことも最高の思い出になりました。小児神経に興味がある医師、学生のみなさん、ぜひ短い期間でも脳神経小児科での日々を体験してみてはいかがでしょうか。
生長会 府中病院 小児科 部長
今田 理恵 先生略歴のとおり、医師になりすぐに脳神経小児科(当時竹下研三教授)入局しましたが、私が脳神経小児科で過ごした月日は決して長くはありません。その後大阪市立大学小児科(当時山野恒一教授)に入局、現在小児神経からはやや遠のいて一般小児科・新生児医療に携わっている私ですが、私の医師の原点は脳神経小児科にあると確信します。障害を抱えている子どもたち、その母親やご家族をいたわる「思いやりの心」、エビデンスに基づいた診断・治療をどこまでも追及する「謙虚で真摯な姿勢」を脳神経小児科で教えていただきました。
そして地元米子のアピールですが、空気も水も美味しく、魚は旨い、米は旨い、夏は海、冬は大山でスキー、蟹も食べ放題、こんな素晴らしい環境が関西からほんの3時間のところにあるのです。最高の小児神経指導者と最高の環境を兼ね備えた施設は、鳥取大学脳神経小児科以外にはありえません!全国の小児神経を志す若い先生方、もしくはやや年をとった先生方も、ぜひ脳小へお越し下さい!心温かい教授と諸先生方が待ってますよ!
広島市立舟入市民病院 小児科 部長
藤井 裕士 先生H19年(卒後7年目)より3年間鳥取大学脳神経小児科でお世話になり、その経験を元に小児神経専門医、てんかん専門医、臨床遺伝専門医の資格を取得することができました。現在は広島大学病院小児科で、広島大学病院てんかんセンターや遺伝診療部とも連携取りながら小児神経・てんかん・遺伝診療にも従事しております。脳小では定期的な病棟・画像・脳波カンファレンス、抄読会・症例検討会・研究会などの他、
小児神経外来や発達外来、遺伝カウンセリングなど行わせていただき、小児神経診療の基礎から、遺伝やてんかん、発達障害など幅広く小児神経診療に関わる分野を経験することができました。また臨床や研究面の向上はもちろん、脳小出身の優秀な同門の先生方とのつながりも構築することができ非常に充実した3年間でした。
京都大学医学部附属病院 小児科
横山 淳史 先生僕は、小児科専門医取得後の2年間、臨床研修させていただき、さらに、大学院生として3年間お世話になりました。臨床の場では、幅広い小児神経の疾患をたくさん経験できただけでなく、患者や家族の方々とじっくり付き合うことで、多くの大事な事を学ばせていただきました。また、年齢の近い優秀な同僚達と仲良く切磋琢磨することでも、より成長できたと感じています。また、大学院にも進ませていただき、研究だけでなく、神経病理の立場から病態を考える目を養うことができました。
熊本大学医学部附属病院小児科
百崎 謙 先生平成21年4月より2年間、脳神経小児科でお世話になりました熊本大学小児科の百崎です。
沖縄で6年間小児科一般診療を継続する中、全国の複数の小児神経の研修病院を見学の上、鳥取大学脳神経小児科に決めました。
その理由は、高い専門性のみならず、地域で永くフォローするという強い主治医感を皆が持っているということでした。つまり、研修内容がそのまま地元に戻って、実践できると感じたからです。小児神経領域の疾患は、診断できる機会も増えてきましたが、長期治療及びケアが必要な場合が多く、本人も家族も長期的に社会的・心理的にもサポートはやはり非常に重要です。患者さんやご家族の皆さんにも、多くのことを教わりました。
又、他科との連携、神経生理検査や神経放射線の専門家、臨床心理系大学院の臨床心理士スタッフとのディスカッション等も豊富で、チーム医療もスムーズです。又、一度会えば、皆兄弟(同門)というあたたかい雰囲気も大きな魅力です。現在、私は熊本大学大学院小児科で、基礎研究を行っていますが、脳神経小児科の先生方の病態に対する深い理解に刺激を受け、もっと多くを学びたいと考え、進路を決めました。小児神経学の醍醐味を経験し、小児神経科医としての姿勢を磨くのに、最適な場所です。米子は人も素晴らしく、子育てにもオススメ(実体験より)です!少しでも興味のある方は、秋の米子セミナーはもちろんのこと、病棟回診や外来見学等もあわせて行かれるとその良さがより実感できると思います。
兵庫県立こども病院 神経内科
豊嶋 大作 先生私は医師になって6年目のときに念願の小児神経の勉強を始めようとした際、急遽3ヶ月だけ大学間の後期研修医交換制度に則って鳥取大学脳神経小児科へ勉強する機会を得ました。脳波も読めず、全くの白紙の状態で鳥取の地へ踏み込みました。回診前カンファレンスでは専門用語が飛び交い、初学の私はついていくのがやっとでしたが、大野元教授、前垣現教授をはじめスタッフ一同が暖かく迎え入れてくれました。過去歴代の先生のカルテを引き継いだ病歴の長い患者さんなどを担当すると何とも言えない歴史の重みを感じました。また、医師だけでなく、生理検査技師、リハビリスタッフ、臨床心理士も非常に教育熱心で、初学者の私たちのために時間を割いて講義をしてくださったり、丁寧に質問に答えてくださったりして、毎日が米子セミナー状態であり、病院全体が教えてあげよう、
という雰囲気を持っている印象を受けました。また、疾患に関してもてんかんだけに偏らず、たった3ヶ月だけでも発達障害、心因発作、白質変性症、先天代謝異常症、重症心身障害者、睡眠障害、神経筋疾患などバラエティに富む患者を担当し、非常に勉強になりました。ここで2年間みっちり研修できればほぼ全ての小児神経疾患を診ることができるのではないかと思われます。これだけバランスよく小児神経をみっちり研修できる施設は他にないと思います。自信をもって後輩たちにおすすめできる研修施設だと思います。
鳥取県立総合療育センター 医長
佐伯 有祐 先生脳神経小児科では発達障害やてんかんといった小児神経において一般的な疾患に加え、現在治療方の見つかっていない疾患や、そもそも原因も特定されていない疾患で悩んでおられる子どもたちを診療します。全身を丁寧に診察し、様々な検査から疾患を考えていきます。
カンファレンスもしっかり行われており、一人の患者さんをとてもしっかりと診ることができます。
少しでも小児神経の領域に興味ある先生方、学生のみなさん、一緒に頑張っていきましょう。
土浦協同病院 小児科 部長
白井 謙太朗 先生2年間の研修で脳波や電気生理検査の基礎を教わり、ケミカルシャペロン療法など時代の先端をゆく医療にも関わらせてもらうことができました。脳症など急性期疾患から先天代謝異常症まで小児神経専門医に必要な幅広い疾患を豊富に経験できました。
前垣先生を筆頭にどの先生も非常に熱心に暖かく指導してくださり、研修後の今も治療や診断について相談をさせていただいています。多くの貴重な学びと出会いがあり自分にとって何にもかえがたい2年間でした。
1年を通し山陰の自然は本当に雄大です。冬はスキーを、夏は海を、春や秋は山登りを楽しめます。病院から見る中海の夕陽や米子の街を見下ろす大山の姿もまた非常に印象的でした。じっくり神経を学ぶのにとても良い場所だと思います。ぜひ一度脳神経小児科に足を運んでみて下さい。
香川県立保健医療大学
保健医療学部
臨床検査学科 講師
脳神経小児科は専門的な知識を持っている方がたくさんおられます。そんな中でみなさんと切磋琢磨し、己を磨いてその技術を患者様にフィードバックできる最高の環境だと思います。
国立病院機構 松江医療センター
松村 渉 先生私は初期研修終了後に脳神経小児科へ入局させていただきました。
高い理想や目標があったわけではなかったのですが、オーベンの先生に医学的な面はもちろんのこと、
児がどのように生活していくのかを見据えながら診療していくことを教えていただき、非常に感銘を受けたことをよく覚えています。
飲み屋街も近いので楽しいです。
社会福祉法人
広島県リハビリテーション協会 ときわ呉
市中病院での小児科後期研修終了後、卒後6年目より2年間、脳神経小児科で研修させて頂きました。私は医局には属しておらず、個人として研修をお願いしましたが温かく迎えてもらえました。1年目は大学で小児神経一般を幅広く学びました。脳波の付け方から教えて頂き、てんかん、代謝疾患、発達障害まで万遍なく経験できました。また、学会発表や論文執筆も基礎から丁寧な指導を受けることができるので、私のように小児神経を学び始めの者には最適な場所だと思います。
2年目は関連病院の松江医療センターで9か月間、重症心身障害児や筋ジストロフィーなどの筋疾患を勉強させて頂きました。 脳小には毎年、医局や地域に関わらず全国から多くの先生方が学びに来られます。志の高い、個性に溢れた方ばかりで、お互い刺激しあいながら学べたことはさらに研修を充実したものにしてくれました。脳神経小児科で研修したことで出来た人脈は今でもかけがえのない財産になっています。小児神経に興味がある皆さま、米子での研修をお勧めします。
和歌山県立医科大学附属病院小児科 助教
前田 真範 先生和歌山県立医科大学附属病院小児科に所属しております卒後9年目の前田真範と申します。脳神経小児科での研修は1年と短かったのですが、個々の症例を徹底的に追求していく下地はできたと感じております。抱いた疑問や違和感を決してスルーせず常に調査対象とする姿勢は、和歌山へ戻ってからも普遍的に活用できると思いました。小児神経領域は教室間の互助によって成り立っていると体感できたことも大きいです。性根の半分が及び腰で構成されている私にとり他院の専門家に突然メールでコンサルトするなどハードルの高い行為でしたが、虎の威を借るが如く鳥大脳小の看板を抱えながら何件もコンサルトしていたらすっかり順応してしまいました。希少疾患で溢れかえったこの領域、積極的に専門家の意見を求めてもよいのだと、良い意味で肩の力が抜けたような心地が致します。
我が子のこともあって前垣先生へはけいれん重積への関心をお伝えしていたのですが、その後熱性けいれんとけいれん重積型脳症(AESD)の鑑別を研究テーマとしてご提案いただきました。岡西先生のご指導のもと、研究の構想からデータの収集、解析、英語論文執筆まで取り組むことができたのは望外の喜びでした。2021年9月現在でアクセプトまでもう一息。ここまで来られたのも先生方のご尽力あってこそです。現在も鳥大脳小のOBとして扱っていただけているのは大変嬉しいです。刺激を受けロールモデルとすら感じた先生方と、これからも折に触れ協働できるという安心感が最大のお土産の1つかもしれません。研修させていただき誠にありがとうございました。
京都府立医科大学附属病院 小児科
宮本 洋輔 先生私は市中病院での小児科後期研修の後、卒後6年目から2年間、脳神経小児科にお世話になりました。 脳小では主に病棟主治医の仕事を行い、難治性てんかん、筋疾患、周産期脳障害の症例から、瀬川病、Gaucher病などの希少疾患に至るまで、様々な症例を経験できました。一人ひとりをしっかり診るというスタンスで、患者さんから多くのことを学ばせていただきました。脳波や神経伝導検査、MRIの解釈や治療方針の立て方ももちろん勉強になりましたが、丁寧な問診と診察から病巣や病態を想定することにも重きを置くことが科全体に浸透している点に大変感銘を受けました。また、学会や論文発表の機会もいただき、充実した研修生活が送れました。
脳小には志の高い小児神経科医が多く集まり、そういった先生方と一緒に仕事ができ、時には将来の目標について語り合えたことは、自分にとって大きな財産となりました。脳神経小児科は、小児神経科医を目指す若い医師のみなさんに自信を持っておすすめできる研修施設です。