私ども心臓血管外科は、心臓、大動脈の疾患、末梢動脈疾患、および静脈疾患の外科診療を中心に行なっております。現在のスタッフは 10名(教授1、講師 1、学内講師2、助教 4、医員 2)であります。
心臓血管外科診療において私の目指すものは、一言でいえば、クオリティーの高い手術であります。心臓・大血管の外科手術は、従来は、危険の大きい手術という印象だったと思います。しかし、最近では手術の方法や人工心肺などの補助手段が発達して、安心して受けていただける手術になりつつあります。
また、小切開心臓手術、手術支援ロボット ダビンチ支援下の手術、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI手術)など、最先端の手術手技を取り入れ、個々の患者さまの状態に応じて、最も負担が少なく、安全で、かつ術後の生活の質(QOL)が高い術式を選択していきたいと考えております。
一方、近年、人口の高齢化、生活習慣の欧米化に伴って、心臓血管外科手術を受けられる方も、80歳以上のご高齢であったり、糖尿病をお持ちだったり、脳卒中の既往が合ったり、慢性透析を受けられておられたりする方々も増加しております。他の病院の心臓血管外科の先生の中には、高齢の方や合併症をお持ちの方の手術はしり込みされる先生もいらっしゃるかもしれませんが、私どもはどのような重症の患者さまでも、手術することが患者さまにとって有益である限りお引き受けさせていただきます。
研究面では、今後増加すると思われる重症患者に対する治療を念頭に、補助人工心臓を用いた治療や細胞移植などの重症心不全に対する新しい治療法の研究や、大動脈瘤や末梢動脈疾患の遺伝子治療など、臨床に即した研究を中心におこなってゆきたいと考えております。
また最近、若手医師の外科離れが叫ばれておりますが、外科のおもしろさ、やりがいといったものを伝えて、地域に貢献でき、また世界にも羽ばたけるような優秀な人材を育てるようにしたいと考えております。