診療科の紹介
診療科の紹介

IVR部門

IVR部門のご紹介です。

診療内容

血管撮影による画像診断と血管撮影の手技などを用いた低侵襲治療を行っています。対象とする疾患としては、肝臓癌などの悪性腫瘍や、外傷性出血などの緊急疾患、動脈硬化に伴う動脈閉塞、椎体の圧迫骨折、門脈圧亢進症に伴う食道・胃静脈瘤や難治性腹水など多岐にわたっています。

治療の低侵襲化の流れに沿って、様々な領域の治療を行っており、症例数も増加傾向にあります。日進月歩の領域であり、新しい治療も積極的に取り入れ、診療各科や患者様の要求に応えるべく研鑽を積んでおり、多くの診療領域において、中国・四国地方は勿論のこと全国的にも見ても高いレベルの診療を行っています(2022年度IVR件数全国14位、国立大学4位、中国四国1位:日本IVR学会HPより)。

特徴的診断・治療技術

下肢閉塞性動脈疾患に対する血管内治療

動脈硬化、長期血液透析などに伴う、間歇性跛行、下肢虚血、虚血性潰瘍疾患は増加傾向にある。これら末梢動脈疾患に対して当院では放射線科、心臓血管外科、形成外科、循環器内科、放射線技師、生理検査技師とともにカンファレンスを行い、治療方針を決定している。血管内治療については放射線科が主体となって治療を行っており、Drug coated balloon、stent-graft等の新たなデバイスも積極的に取り入れ、治療成績の向上に努めている。またHybrid手術室にて血栓内膜摘除やバイパス術と血管内治療を組み合わせたHybrid治療を心臓血管外科と共同で行い、また時には血行再建直後に形成外科によるデブリをその場で行うこともある。また研究面では自施設の治療成績のみならず、他施設共同研究にも積極的に参加し、至適治療法を解明できるように尽力している。

腹部ステントグラフト内挿術後のタイプⅡエンドリークに対するIVR:技術的側面と予後についての後方視的研究(多施設共同研究)

腹部ステントグラフト内挿術は有効な治療法であることが示されてきているが、一部は治療後に瘤径拡大を来す。特にタイプⅡエンドリーク(T2EL)による瘤径増大は治療の耐久性を損なうため、IVRにより瘤径増大を防ぐ試みがなされている。後方視的にT2ELに対するIVRの成功率、特に技術的側面が予後に与える影響を重要課題として検証する多施設共同研究が行われており、当院も研究実施機関の一つとして研究参加している。

保存的療法抵抗性の運動器難治性疼痛症状に対するイミペネム・シラスタチンを用いた経動脈的微細血管塞栓術(TAME)の有効性及び安全性を評価する臨床研究

適切な保存的加療が奏功しない肩、肘、膝、股関節等の運動器の慢性難治性疼痛では、異常な微細血管の増生とそれに伴走する神経が痛みシグナルの原因の一つと考えられている。この異常血管に対して短時間の塞栓効果を発揮するとされるイミペネム・シラスタチン(チエナム)を用いた経動脈的塞栓療法(TAME:transcatheter arterial micro-embolization)が慢性疼痛の緩和に有用との報告があり、当科でも疼痛緩和の有効性について臨床研究を行っている。

バスキュラープラグを用いた胃静脈瘤塞栓術に対する研究

孤立性胃静脈瘤に対するIVRとしてはバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)が一般的に行われ、2018年より保険収載となっているが、逆行性アプローチであるが故に難易度が高く、手技を完遂できない症例も経験される。2013年に韓国から発表されたPARTO(plug-assisted retrograde transvenous obliteration:バスキュラープラグを用いた胃静脈瘤塞栓術)はB-RTOの変法であるが、手技が簡便で結果も良好であり、当科でも取り入れている。B-RTOとの治療成績についての比較はほとんど行われておらず、研究課題として取り組んでいる。

食道気管瘻に対する食道ステント療法の基礎的検討

食道気管瘻に対する治療法として食道ステント留置術があるが、狭窄を伴わない瘻孔形成症例では治療が難渋する。現在、狭窄を伴わない食道気管瘻に対する食道ステント留置術の基礎的検討を行っている。

バルーン補助下コイル塞栓術(Balloon-assisted coil embolization: BACE)に対する研究

コイル塞栓術は出血時の止血術としてのみならず、血流改変術としても重要な治療法であるが、“狙った場所”に“短区間”で“密”に金属コイルを留置することが安全で確実な効果を得るための鍵となる。バルーンカテーテルを用いて血流を遮断しつつ、カテーテルのkick-back現象を制御できるBACEは、この理想的なコイル塞栓を容易にする。m-BACE(マイクロバルーンを用いたBACE)は血管の末梢枝で行うことができ、D-BACE(dual-BACE:バルーン・マイクロバルーン間で行うBACE)はlanding zoneが短い症例において効果を発揮する。これらの効果と安全性について基礎的および臨床的に研究している。

Compressing法を用いたバスキュラープラグ塞栓術に関する研究

バスキュラープラグは個体の永久塞栓物質の一つであるが、device長が長いため適応が制限される問題点がある。バスキュラープラグを圧縮留置する方法(Compressing法)を用いることによりlanding zoneが短い症例にも適応可能となるが、安全性は証明されておらず、基礎的、臨床的検討を行っている。

下部消化管動脈性出血に対するNBCAを用いた塞栓術に関する研究

液体永久塞栓物質であるN-butyle-2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた塞栓術(NBCA塞栓術)は液体の塞栓物質の一つであり、吻合枝も含めて塞栓できるため、止血率が高く、再出血率も低い。しかし、下部消化管では吻合枝が乏しく、安全性の面で危惧される側面がある。いかにNBCA塞栓術を行えば、安全に施行可能か検証している。

その他

門脈圧亢進症に伴う胃・食道静脈瘤に対する治療(B-RTO/PARTOの他、TIPS:経頸静脈的門脈大循環短絡術、PTO/PTS:経皮経肝的静脈塞栓術/硬化療法)、骨粗鬆症に伴う椎体の圧迫骨折に対する経皮的推体形成術(PVP)など先駆的治療を実施している。また、子宮筋腫及び前立腺肥大症に対する血管塞栓術(UAE、PAE)などについて、研究の実施ないし準備をしている。

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