鳥取大学医学部感覚運動医学講座 耳鼻咽喉・頭頸部外科分野

教室紹介

当科の現状と今後の展望

当科は、鳥取大学附属病院の理念である地域と歩む高度医療の実践のもと、高度で専門性の高い医療の提供を心がけています。

サブスペシャリティー領域における
専門性の高い診療の提供

当診療科は、様々な専門領域を有しており、基本領域である日本耳鼻咽喉科頭頸部外科の専門医を取得した上で、サブスペシャリティーとして様々な専門医や認定医を取得することが可能となっております。

教室員がそれぞれの担当した分野においてレベルアップし、サブスペシャリティーの専門医を積極的に取得した上で、専門性の高い医療の提供を行っています。

当科の医師が取得している専門医・認定医の資格としては、頭頸部癌専門医、内分泌外科専門医、気管食道科専門医、睡眠時無呼吸専門医、アレルギー専門医、嚥下相談医、補聴器認定医、めまい認定医であり、認定施設としては、アレルギー専門医教育研修施設、日本睡眠学会専門医療機関(A型)、日本内分泌外科学会認定施設、日本頭頸部癌指定研修施設、耳鼻咽喉科・頭頸部外科におけるロボット支援手術実施施設、日本気管食道科学会研修施設、鼻科手術認定研修施設、甲状腺内視鏡手術認定施設、喉頭形成手術認定施設など多岐にわたります。

これにより、外来診療や検査に加えて、施行できる施設が少ない頭頸部癌手術、嚥下手術、音声手術、側頭骨手術、人工内耳手術などが可能となっており、これらは当科の特徴と考えています。

また、今後も多くの若手医師に専門医となるための研修を行うことが可能となり、次の世代を脈々と要請できる体制となっています。

 

 

各領域の診療について、説明させていただきます。

頭頸部癌診療

頭頸部癌手術は複数の診療科やコメディカルスタッフとの連携が欠かせない治療であるため、頭頸部癌進行癌に対してはチーム医療システムを構築し、診療にあたっています。
我々は、早期癌に対しては後述いたします低侵襲手術、進行癌に対しては再建手術を伴う拡大切除や頭蓋底手術など全ての手術や抗がん剤治療そしてIMRTによる放射線治療など頭頸部癌に対する全ての治療に対応しています。
また、転移再発症例に対する光免疫療法(イルミノックス治療)を開始する予定としています。
これにより、今まで治療が困難であったがんの再発を認めた患者へ福音となることが期待されています。
 

 

低侵襲手術

頭頸部癌治療の中でも、経口的鏡視下手術や甲状腺内視鏡手術などの低侵襲手術は、中四国地方でも施行可能施設が少なく、特にロボット支援手術は、指導的施設として活動しており、当科の特徴と考えています。
咽喉頭癌に対する経口的鏡視下手術(ロボット手術)は、嚥下機能を温存した上で、癌を根治することが可能な治療であり、高齢者が多いこの地域において、大変有用な治療と考えています。
甲状腺内視鏡手術は、頸部への切開を行わず腫瘍を摘出することが可能なため、審美的に非常に優れた治療として、特に若い世代の方に対して、行っています。
 

 

嚥下手術治療

嚥下治療に関しては、専門的な手術治療が可能な施設は全国的にも限られています。
神経筋疾患や脳梗塞などの原因により、経口摂取困難が生じている患者や誤嚥性肺炎で苦しんでおられる患者の中で、リハビリでは効果が不十分な患者に対して、専門的な検査を行なった上で、安全な経口摂取を再獲得していただくことを目指し、嚥下改善手術や誤嚥防止術などのすべての嚥下手術を行っています。
嚥下障害に対する手術において、嚥下機能評価による手術適応や術式の判断も重要と考え、多職種での嚥下機能評価を行い、チームとして手術適応を検討するようにしています。
 

 

音声治療

音声治療も同様に、専門的な手術治療が可能な施設は限定されています。
当科は、声帯麻痺などの様々な原因で生じる音声障害に対して、専門的な診断とその診断に基づき全ての音声手術に対応しています。
さらに、喉頭形成手術認定施設として、痙攣性発声障害に対するボトックス治療と喉頭形成手術を行っています。
 

 

超音波診療

適切な治療を提供するためには、詳細な評価が必要と考えています。
そのため、当科では甲状腺腫瘍を含む頭頸部腫瘍に対して頸部超音波検査を用いることで、形態的な診断のみではなく、エラストグラフィーや血流評価による質的評価を行い、ほかの検査モダリティーより詳細な診断を行うことで、治療成績を向上させてきました。
さらに、エタノール注入療法など治療への応用も行っています。
 

 

小児難聴診療

聴力低下や言葉の遅れなどで発見された小児に対して、言語聴覚士や地域の養育機関と連携しながら、聴覚活用の使用や人工内耳埋め込み術を行っています。
小児難聴診療に対応できる施設は少ないため、当科が行政とも連携しながらその役割を担っていきたいと考えています。
 

 

睡眠時無呼吸診療

当科では、検査のための入院病床、日本睡眠学会専門医、日本睡眠学会認定検査技師を有しており、日本睡眠学会専門医療機関A型施設に認定されています。
認定検査技師の安全制度管理下に終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を行い、睡眠関連呼級障害の他、PSGが必要となる睡眠障害の診断、反復睡眠潜時試験(MSLT)などを行っています。
さらにCPAP治療では普段の管理指導に加え、うまく使えない方などに対して、終夜のタイトレーション、マスクフィッティング、生活指導などを行い治療の継続に取り組んでいます。
また、適応に応じて手術治療を行っています。
 

 

鼻科診療

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎に対する内視鏡下経鼻手術を行うことに加え、涙道狭窄症や下垂体腫瘍に対して眼科や脳神経外科と合同での手術治療も行っています。
その他、外来治療としては、アレルギー性鼻炎に対する新たな治療である舌下免疫療法や鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎や花粉症の重症例に対して生物学的製剤による治療を行なっています。
アレルギー拠点病院として当科も参画していますので、近隣の先生方と、引き続き連携をとらせて頂きたいと考えています。
 

 

医療機器開発

我々の医学的知見をもって社会に貢献していくため、医療機器開発に取り組んでいます。
特許を取得した上で、企業と連携し、商品化を行い、実地医療に貢献しています。
上部消化管内視鏡検査の際に咽頭を拡張させ、検査時の苦痛の原因である咽頭反射を軽減させることを可能とした製品であるギャグレスマウスピース、また、喉頭摘出後の音声再獲得のためのシャントを簡便に挿入することを可能とした機器など、すでに、製品化され、実際の臨床現場で利用されています。
現在多くの進行中の案件を抱えており、未来の患者のために引き続き取り組んでいきたいと考えています。
 

 

最後に

当科に関連する全ての領域に対して、それぞれの医師が、高度なレベルの治療を提供していくことに努めてきました。
しかし、今後さらに時代の流れとともに変化していく医療に、いち早く対応できるよう、個々がさらにレベルアップして、多くの地域からお越しいただく患者に対して、最善で最高の医療を提供できるよう、一丸となって引き続き精進していただきたいと考えております。
このためには、地域でご診療にあたっておられる先生方との連携が欠かせないと考えております。
今後とも更なるご支援ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
 

 

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