鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 呼吸器・乳腺内分泌外科学分野

呼吸器外科

患者さんへ

鳥取大学医学部附属病院 呼吸器外科では、年間約250-300例の呼吸器外科手術を行っています。中心となるのは肺悪性腫瘍手術(肺がん、転移性腫瘍)ですが、その他にも気胸、血胸、膿胸、良性肺炎症性疾患、縦隔腫瘍、重症筋無力症、悪性胸膜中皮腫、胸膜腫瘍、胸壁腫瘍、横隔膜疾患、漏斗胸、手掌多汗症、胸部外傷など多岐にわたっており、山陰地区における最高レベルの呼吸器外科施設であることはもちろん、全国でも有数の施設として知られています。

特に、胸腔鏡手術、ロボット支援手術に代表される低侵襲外科手術はトップレベルで、本邦をリードしており、指導的立場にあります。当院は複数の最新鋭の手術用ロボットを所持しており、これを駆使して低侵襲手術を目指しています。

私たちは高いプロフェッショナル意識を持ち、皆さまに安全かつ安心の医療を提供して参ります。

 

外来担当医

呼吸器外科

直通電話 0859-38-6732 内線6732
令和7年4月1日現在
診療科名 区分 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
胸部外科診療科群
(主任診療科長)
田中 雄悟

呼吸器
外科
(科長)
田中 雄悟
初診 担当医
(呼吸器・胸部一般外科)
※事前連絡
必要
田中 雄悟
窪内 康晃
担当医
(呼吸器・胸部一般外科)
担当医
(呼吸器・胸部一般外科)
※事前連絡
必要
担当医
(呼吸器・胸部一般外科)
※事前連絡
必要
田中 雄悟
窪内 康晃
担当医
(呼吸器・胸部一般外科)
※事前連絡
必要
再診 担当医
(呼吸器・胸部一般外科)
田中 雄悟
窪内 康晃
松居 真司
藤原 和歌子
(呼吸器・胸部一般外科)
担当医
(呼吸器・胸部一般外科)
担当医
(呼吸器・胸部一般外科)
田中 雄悟
窪内 康晃
松居 真司
藤原 和歌子
(呼吸器・胸部一般外科)
専門外来 化学療法
セカンドオピニオン
化学療法

*火曜日:セカンドオピニオン外来    担当:田中雄悟

外来受付

受付場所外来棟3階
新来受付8:30~10:30
再来受付8:30~11:00
自動再来受付機は8:00から稼働します。
診療開始時間9:00~
休診日土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始(12月29日~1月3日)
お問い合わせTEL:0859-38-6732(外来直通)
診療科名:
呼吸器外科(科長) 田中 雄悟
乳腺内分泌外科(科長) 若原 誠

 

専門外来

1) 肺がん外来

肺がんは、早期発見と適切な治療が鍵となる重大な病気です。低侵襲のロボット支援手術や胸腔鏡手術から、気管支・血管形成術、胸壁合併切除などの拡大手術まで、患者さんと相談しながらエビデンスに基づいた最適な外科治療を提供しています。手術に際しては治療経過表(クリティカルパス)を用いた標準治療を行い、患者さんの生活の質を最大限に維持することを目指しています。

2) ロボット支援手術外来

呼吸器外科領域におけるロボット支援手術の適応は肺悪性腫瘍(肺がん、転移性肺腫瘍)、肺良性腫瘍、縦隔腫瘍、重症筋無力症であり、いずれも保険適応です。 当科にはロボット手術のプロクター(指導医)、執刀医が複数名在籍しており、肺がん手術症例の7~8割はロボット手術で実施しています。 詳細はロボット支援手術をご覧ください。

3) 手掌多汗症外来

手掌多汗症に対して3mmの細径スコープを用いた胸腔鏡下胸部交感神経遮断術を行います。
入院期間は原則2泊3日です。

4) がん化学療法外来

肺がんの術後補助化学療法や術後再発に対する化学療法を行っています。診療ガイドラインに沿った標準治療を実施しており、周術期治療の臨床試験も積極的に実施しています。また、新規薬剤の治験は呼吸器内科と連携しながら実施しています。

 

胸部一般外科

1) 胸壁・胸膜・横隔膜疾患に対する手術

胸壁疾患では、切除範囲によっては再建術が必要となります。人工物で再建を行うことが多いですが、自己組織での再建が必要な場合は形成外科との診療連携を行っています。
近年増加傾向にある胸膜中皮腫は、当院の呼吸器内科との連携で治療を行っています。診断目的の胸腔鏡下胸膜生検や治療を目的とした胸膜切除/肺剥皮術を行っており、周術期の抗がん剤治療は呼吸器内科で行っています。
また、横隔膜腫瘍や横隔膜交通症、横隔膜ヘルニアも手術対象疾患です。

2) 漏斗胸(ろうときょう)に対する手術

胸腔鏡を使用したペクタスバーによる胸骨挙上術を行っています。側胸部からのアプローチになるため、創部が小さく、正中創がないのが利点です。 ペクタスバーは2~3年の留置後に抜去します。

3) 手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)に対する手術

手掌多汗症はまだまだ知名度が低い疾患の一つですが、罹患数は予想以上に多く、悩みを抱えた患者さんが多くいらっしゃいます。特に思春期の方が多く、学校生活や職場で不自由を感じる方がいらっしゃいます。
手術の効果だけでなく、代償性発汗や再発リスクなどをしっかり説明した上で、適応を慎重に判断いたします。美容的配慮も鑑み、細径3mmのスコープを使用して胸腔鏡下胸部交感神経切断術を施行しています。
2泊3日の入院が原則で、これまで97%以上の症例で術後の発汗が停止しており、高い満足度を得ています。

 

肺外科

1) 肺癌に対する低侵襲手術

ロボット支援手術から胸腔鏡下手術まで、さまざまな形で低侵襲手術の実現を目指しています。低肺機能患者から80歳を超える超高齢者まで、低侵襲手術は可能です。
特に、肺切除量を減じた縮小手術に力を入れており、肺がんの進行度に応じて胸腔鏡下肺部分切除、肺区域切除+リンパ節郭清、肺葉切除+リンパ節郭清などの術式を選択しています。
ロボット支援手術、胸腔鏡下手術は小さな傷、少ない痛み、早い回復が特徴で、当科の得意分野です。低侵襲手術は早期肺がんばかりでなく、リンパ節転移のある肺がんや大きな腫瘍の肺がんにも適応しており、患者さんの早期回復を目指した手術を行っています。

2) 肺がんに対するロボット支援手術

当院では2010年8月に内視鏡手術支援ロボット(ダビンチ)を導入し、2011年1月より肺がんに対するロボット支援手術を開始し、本邦でトップクラスの症例数を経験しています。また、2024年12月には国産ロボットのhinotoriを用いた肺がんへの肺葉切除を中四国で初めて実施しました。
適応は早期肺がんばかりでなく、リンパ節転移のあるような進行肺がんでもチームでカンファレンスを行い、適応となる場合もあります。

3) 進行肺がんに対する治療

進行肺がんに対しては、手術治療のみならず、周術期治療(抗がん剤、放射線治療、免疫治療)が必要となることが多いです。呼吸器内科、放射線治療科、病理診断科と連携しながら治療方針を考え、最終的には患者さんとその家族としっかり相談した上で治療方針を決定しています。 進行肺がんの場合、浸潤臓器の合併切除などの拡大手術を必要とすることが多いですが、前述の周術期治療を行うことで低侵襲手術が可能になったり、切除範囲の縮小が得られたり、完全切除率が上昇します。
心大血管の合併切除が必要な場合には心臓血管外科、胸壁合併切除の場合には整形外科や形成外科と協力して手術を行っています。
肺門部の肺がんに対しては、気管支形成術や血管形成術も積極的に行っており、肺機能を温存しつつ、根治性の高い手術を行うように努めています。

4) 転移性肺腫瘍に対する手術

転移性肺腫瘍は、原発巣の診療科と連携しながら適応を決めています。
一般的には、原発巣がコントロールされていること、他臓器転移がないこと、肺転移個数が限られている場合が良い適応となります。ロボット支援手術や胸腔鏡下手術も適応となります。
また、診断目的の手術を行う場合もあります。転移性肺腫瘍に対する抗がん剤治療も重要ですが、手術は集学的治療の一環として積極的に行う方針にしています。

5) 気胸、血胸、胸膜炎、膿胸、良性肺腫瘍、良性肺疾患に対する治療

良性の肺疾患は在院日数を短縮による早期社会復帰が原則であり、低侵襲である胸腔鏡手術による患者負担の軽減を主眼においています。 また良性肺腫瘍に対して区域切除や肺葉切除が必要になる場合はロボット支援手術も保険適応となっていますので、積極的にロボット手術を実施しています。
気胸、血胸は24時間の救急対応をしており、手術適応があれば、臨時の急患対応で胸腔鏡手術を行い、早期退院が可能です。
また、胸膜炎や膿胸も救急で胸腔ドレナージあるいは胸腔鏡手術を行い対応しています。

6) 巨大肺嚢胞、慢性肺気腫に対する治療

低肺機能である巨大肺嚢胞や慢性肺気腫患者には適応を慎重に判断しながら、胸腔鏡下巨大嚢胞切除術や肺容量減少手術を行い、肺機能の回復やQOL改善を目指しています。

7) 縦隔腫瘍に対する手術

縦隔腫瘍は多彩であり、悪性度、発生部位や大きさに応じて、ロボットや胸腔鏡を積極的に使用して手術を行っています。ただし、周囲臓器や大血管への浸潤が疑われる場合は、開胸や胸骨正中切開で隣接臓器合併切除を行います。
手術頻度の多い前縦隔腫瘍は、ロボット支援手術の良い適応です。これまで胸骨正中切開が必要だった巨大腫瘍でも、自由自在に動くロボット鉗子と手振れのない正確な操作により、低侵襲手術で実施できることが多くなりました。

8) 重症筋無力症に対する手術

重症筋無力症は、拡大胸腺摘出術の適応があり、しばしば胸腺腫を合併することから、手術が重要な疾患です。当科では、低侵襲手術であるロボット支援手術を積極的に行っており、2011年1月に本邦初となる重症筋無力症に対するロボット支援拡大胸腺摘出術を実施しました。欧米ではすでに1000例以上の実績があり、ロボット支援手術を行った場合は重症筋無力症の寛解率が良いというデータもあります。
重症筋無力症の手術では、術後に一過性の症状増悪(クリーゼ)を引き起こすことがあります。そのため、術前に脳神経内科と連携しながら術前治療を行ってから手術に臨むことが多いです。また、術後は集中治療管理が必要となるため、集中治療科と連携して術後管理を行います。

 

ロボット手術

 

 

 

 

 

 

胸腔鏡下手術

内視鏡外科専用手術室 整然と管理されています

高解像度モニターで観察しながら手術を進めます

胸腔鏡下手術(4ポート方式)の創部:カメラ・術者の右手と左手・助手用に4か所の穴を開けます

開胸手術後の創部より小さいことがわかります

 

開胸手術

病巣を目で見て手で触れられる開胸手術は、進行肺癌などに対して効果的な術式です

開胸手術(後側方切開)の創部:肋骨にそって約20cmほどの傷あとです

 

手術実績

手術件数の推移


内視鏡外科手術件数の推移