乳腺内分泌外科

診療内容

当科では乳腺疾患と、内分泌疾患(甲状腺・副甲状腺)を扱っています。

乳腺外科


1)乳癌

乳癌は日本人女性の中で最も多い癌で、年々増え続けています。当科でも毎年約100例の乳癌の手術を行っています。
そのうち乳房温存手術が半数以上を占めます。乳癌の診断は単に癌であるかどうかを診断するだけでなく、その性質、広がりなどを正確に診断する必要があります。
当院では乳癌を疑う患者さんに対して、マンモグラフィー、超音波、MR検査などを行い、正確な画像評価を行います。その後に乳癌組織を採取(生検)し、乳癌の特性(ホルモンレセプター、HER2タンパクの有無など)を含め詳細な病理診断を行います。進行癌の場合は抗癌剤治療を先行し、がんを小さくした後に手術を行うこともあります。乳癌の手術時はアイソトープ法と色素法を併用したセンチネルリンパ節生検を行い、必要でないリンパ節郭清の省略につとめています。

また形成外科医と合同で、乳房全摘後の乳房再建手術を積極的に行っています。
乳癌手術後は切除した乳癌組織を再度病理で詳しく調べ、病理診断の結果によって治療方針(薬物療法・放射線治療など)を術後病理検討会やキャンサーボードにおいて、乳腺外科医、乳癌専門病理医、がん薬物療法専門医、放射線治療医が合同で討議して決定し、決定内容を患者さんに詳しくご説明・相談いたします。

乳癌診療においては、チーム医療を大変重要視しており、上記の医師のみならず、乳腺認定看護師(2名)による患者さんへのトータルケア(リンパ浮腫ケアも行っています)、がん専門薬剤師、癌化学療法専門看護師による抗がん剤治療のサポート、リハビリ技師、歯科衛生士、社会福祉士その他多岐にわたる職種が乳癌患者さんに関わっていることが特徴です。
そのために毎週1回、乳癌キャンサーボードを多職種で行い、乳癌患者さん個々について皆で話し合い、それぞれにきめ細かい診療が行えるよう日々努めています。


2)乳腺良性疾患


  若年女性に多い線維腺腫などの乳腺良性腫瘍や乳腺炎なども、きめ細かく対応しています。
良性腫瘍の手術は主に局所麻酔で行い、創部を目立たなくさせるよう整容性も重視しています。乳腺炎については痛みの評価についてのパンフレットを作成し、患者さんにわかりやすく説明するシステムを作り運用しています。

甲状腺・副甲状腺外科


1)甲状腺癌

甲状腺癌については頭頸部外科と共同して治療を行っています。乳癌診療と同様、甲状腺癌でもチーム医療を重要視しており、毎月開催する甲状腺カンファレンスにおいて、頭頸部外科、内分泌代謝内科、放射線治療科医師と、診療内容を細かく討議し、エビデンスに基づいた診療を行っています。

2)甲状腺良性疾患、副甲状腺疾患

甲状腺機能亢進症、副甲状腺疾患については、特に内分泌代謝内科と連携して、薬物治療と手術の適応、タイミングを決定します。

3)縦隔内甲状腺腫

縦隔内に大きく進展する巨大縦隔甲状腺腫に対しては、縦隔操作に精通した胸部外科医でもあることの有利性を活用し、安全で確実な手術治療を行っています。

手術は小切開手術も含めて整容性と安全性を考慮するようにしています。