文部科学省 課題解決型高度医療人材養成プログラム 重症児の在宅支援を担う医師等養成

活動報告

第7回インテンシブコース(11月18日)

〔プログラム〕
・グループワーク「重症児の在宅支援におけるリスクマネジメント」
・グループワーク「障がい児におけるマルトリートメント」

第7回インテンシブコースでは「重症児の在宅支援におけるリスクマネジメント」と「障がい児におけるマルトリートメント」の2つをテーマにディスカッションしました。
1つ目の「重症児の在宅支援におけるリスクマネジメント」についてのグループワークでは、自宅での突然死症例を通して多職種連携で行うリスクマネジメントについて検討し、児、家族、他職種に対しての関わり方および支援体制についてディスカッションしました。
2つ目の「障がい児におけるマルトリートメント」についてのグループワークでは、重症心身障害児におけるマルトリートメントをテーマに、児が適切な養育・ケアを受けるための支援についてディスカッションしました。

◆「重症児の在宅支援におけるリスクマネジメント」
アンケート集計結果
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グループワーク終了後の振り返りシートを、多職種連携コンピテンシーの協働的能力に沿って記載してもらいました。抜粋は以下の通りです。

<職種役割を全うする>
・児の病状観察、状態体調管理。母の育児面での精神的、身体的トータル面でのフォローと負担を軽減できる方法をチームで話す機会を持つタイミングを発信する。報告と相談。(看護師)
・家族状況は変化しうるものとして細やかに観察する。利用者や家族に信頼されるよう良い関係性が築けるように努める。(MSW)
・介護負担が軽減できることも頭に入れたポジショニング指導や他施設でもポジショニングができないかを他施設へ相談する。(PT)
・家族の発信する言葉の中にある見えない不安を見つけ出す。(歯科衛生士)

<自職種への内省>
・家族が24時間365日ケアしていることに気付かず過重な負担を強いていることがあったり、病院でOKなら家でも大丈夫など思い込みがある。(医師)
・ご家族の変化など気になるな・・・と思う程度でも、他職種へ相談する。ご家族、ご本人からのヘルプサインを見逃さないようにする(ST)
・当事者は、自分でケアができるという自信と無理かもしれないという不安の間で揺れ動いている。そこをフォローできるようになれたらと思う。(相談員)

<他職種への理解>
・母からの話を聞くことにより家庭状況の情報を持っていることが多いヘルパーさんや訪看さん、リハさん、他支援者での会議で、家族が困っていることを見出して各支援者のできることを見つけていく。(医師)
・今回のように自己抜去歴があるのであればDrに薬の調整をしてもらったり、Nsにカニューレの固定方法などのアドバイスをしてもらう。(PT)
・援助を受けることのできる職種や機関をもっと知る。(PT)

<関係性への働きかけ>
・医療的ケアが多い状態での退院なので本人の状態だけでなく、家族全体を見る視点で関係職種と協議することが必要。(医師)
・問題があればその根本になっているサポートシステムまで掘り下げて検討してゆかなくてはいけないので多職種の多面的な視点が必要。(看護師)
・特別支援学校、患児と日常生活に多く関わっている場所への状態を理解する働きかけの必要性が重要。(看護師)
・運動機能面やポジショニング方法での対象児の気切カニューレや呼吸器の自己抜去リスクや対応法を提案していく(PT)
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◆「障がい児におけるマルトリートメント」
アンケート集計結果
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グループワーク終了後の振り返りシートを、多職種連携コンピテンシーの協働的能力に沿って記載してもらいました。抜粋は以下の通りです。

<職種役割を全うする>
・児の身体面の異常、情緒面の変化(家族も同様)にいち早く気づける立場として看護職を遂行し、他職種への発信窓口となる。(看護師)
・相談、報告する中で、自分がどう関わるのか、地域との連携と主治医や緊急対応方法など早急に設置すること。必要であれば措置入院などの手続きに係わる。施設入所後の在宅受入れ体制を作る。(看護師)
・専門職ではない立場で親同士というつながりを持てるようにする。(相談員)

<自職種への内省>
・これまでの関係性から問題に気づきにくいことがあることを自覚する。思い込まない疑う視点も時には必要。(MSW)
・児の発達支援のことしか考えていなかった。(PT)
・どこまでは見守りサポート役でよくてどこまでは報告、緊急性があるのか、判断、理解できていなかった。(主治医やNsへ相談判断を急ぐこともある)(ST)

<他職種への理解>
・措置入院した後でも社会的な支援のため指導員、相談員など多くの職種がかかわること。(医師)
・要保護児童制度の流れと目的(早期対応、連携、意識啓発)を認識し広める必要(地域サービスにおいて)がある。(看護師)
・医療型障がい児の入所施設での外出や行事などで家族と関わりがもてるものがある。少しでも自宅へかえることへのつながりが持てることがあることが知れた。(介護士)

<関係性への働きかけ>
・地域への発信、両親の抱える問題への働きかけなど、診療以外に必要とされる職務は自分次第でいくらでもあることが多職種WSでわかった。(医師)
・マルトリートメントを疑ったら、他職種へ報告することと、事前にその情報をどこへ伝えるのかを決めておく。(看護師)
・介入していくなかで気づいたことは、早めに関わるスタッフで共有し対策していけるよう、支援員等に伝えていく。対象児、家族ともできるだけ無理なく過ごしていけるよう、関わり方や姿勢管理方法を伝え共有していく。(PT)
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