文部科学省 課題解決型高度医療人材養成プログラム 重症児の在宅支援を担う医師等養成

活動報告

第6回インテンシブコース(10月21日)

〔プログラム〕
・グループワーク「成人期:親亡き後の支援を考える」
・グループワーク「緩和ケア:本人と家族のQOL」

第6回インテンシブコースでは「成人期」と「緩和ケア」の2つをテーマにディスカッションしました。
1つ目の「成人期」についてのグループワークでは、成人期に入った重症心身障がい者をモデルとし、介護をする親も年齢を重ねていく中で、10年後、20年後の将来をどこでどう過ごすのか支援を考えました。
2つ目の「緩和ケア」についてのグループワークでは、余命1年と宣告された10歳の男児とその家族をモデルとし、本人及び家族の希望を叶えるために生活の場、支援内容を考えました。

◆「成人期:親亡き後の支援を考える」
アンケート集計結果
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グループワーク終了後の振り返りシートを、多職種連携コンピテンシーの協働的能力に沿って記載してもらいました。抜粋は以下の通りです。

<職種役割を全うする>
・重心で医療的ケアが必要な中で、成長され成人を迎えられたとしても、体重や体格の増加や症状の進行から、ケアの内容や方法が変わったり、増すことも考えられ看護のあり方を検討する必要がある。(看護師)
・体調管理、加齢に伴う体調の変化の観察。介護者の高齢化に合わせたケア方法の工夫サービス利用の検討。(看護師)
・医療的ケアを行うために、カフアシスト、吸入、吸引、体位変換等行うことを指導する。(看護師)
・側弯や排痰について、憎悪を予防、緩和していくために、環境設定やポジショニング方法を検討して他施設で実行できるように実際の生活状況を情報収集する。(PT)


<自職種への内省>
・成人になると、がん、心疾患など様々な病気を併発してくるので、それに対しどこまで治療をしていくかを熟考が必要。(医師)
・看護師として成長していく児の過程の中で、側弯や呼吸状態悪化といった症状が進行したり、一方で出来る事が増えてくるといった点を見極めて、ケアにあたる必要がある。(看護師)
・これまで自宅で行われていた療養生活に訪看が入ることの意味と必要性をよく考える。(看護師)
・本人も家族も年を重ねていくことをふまえた、環境調整、移動、介助方法を知っておく必要がある。(PT)
・胃ろうであっても肺炎の危険はあるので留意すること(ST)
・自発的な訴えが難しい為、小さな体調の変化や赤色がないかなどの全身の観察もしっかりする。(ST)


<他職種への理解>
・リハビリ職の方は側弯、拘縮の進行予防、福祉用具の提供、MSWの方は利用できる制度、サービスの提案をする。(看護師)
・リハ職さん達は「お楽しみ」支援もよりアクティブに軽やかに考えてくれる。外出による気分転換や「遊び」など(看護師)
・グループホームが生活の場になると様々なサービスが受けられることを知った。(看護師)
・ヘルパーも研修を受けることで医療的ケアが可能となる。(PT)


<関係性への働きかけ>
・親が病気や死亡などで急に保護者の役割ができなくなった場合の対応について、相談員さん等からも家族に認識して頂くよう働きかけていく。(医師)
・成人期になるにつれ、その親は高齢や老年、或いは死去ということも予想され、その人を取り巻く、行政サービスや福祉制度、ひいては後見人といった立場にまで踏み込む必要がある。(看護師)
・本人を中心としたサービスネットワークの構築に時間がかかることを理解し、早めにネットワーク作りに取り掛かる必要性がある。(看護師)
・自宅やホスピス、グループホーム等 どの生活の場にしても家族や本人の意思をベースに関係者との同じ共通目標や認識をもち、関わっていく必要があると思いました。(看護師)
・骨折リスクなどを考慮した介入方法の提案。(PT)
・ポジショニングの設定方法について他施設でもリハビリと同じように設定できるように情報を伝達する。(説明書など誰がみてもわかるようなもので伝えていく)(PT)
・親が元気な時にこそよりよい選択ができるよう親が行政、事業所に働きかけたい。(相談員)

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◆「緩和ケア:小児の緩和ケア」
アンケート集計結果
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グループワーク終了後の振り返りシートを、多職種連携コンピテンシーの協働的能力に沿って記載してもらいました。抜粋は以下の通りです。

<職種役割を全うする>
・終末期にある小児の心身面での特徴を理解する。患児やターミナル期にあるご家族の思いに寄り添う。医療面から患児の現在の様子を具体的に伝え、ご家族に理解していただく。(看護師)
・家族の心理的負担を軽減するグリーフケア。(看護師)
・患者、家族を含めた多職種で話し合う。治療、ケア、最後のときに過ごす場所、残された時間でどんなことをするのか、限りある時間を有意義に過ごすための計画。(看護師)
・良肢位保持を目指した可動域訓練、リラクセーション、ポジショニング。楽に過ごせる事が目的となる環境調整への提案(PT)
・注入前の口腔ケア、訪問リハで誤嚥性肺炎予防(ST)
・食事のお楽しみの提案(アイス、環境)(ST)


<自職種への内省>
・治療による副作用に対し最大限の対処をできるようにする。児の精神的な面も考えてあげる。(医師)
・患児や家族に寄り添う。児も家族も心身ともに不安定な状況であるため、その不安を表出できるような関係づくりを築く。家族会などフォーマル、インフォーマルな支援などの情報提供を行う。(看護師)
・本人、両親に目を向けがちであった。兄弟の事も考えていかないといけない。(PT)
・何のためのリハビリなのかを考えて実施することが必要(PT)
・食べることなど、変化していく病態にしっかり対応できるようにする。嚥下状態と呼吸状態の観察。(ST)


<他職種への理解>
・訪問介護でヘルパーさんができる内容が認識範囲より広い(医師)
・ターミナル期にある児の関わり方が、それぞれの職種であるので、まずはそれを理解する。そして今後の関わりの方向性を統一していく。(患児、ご家族それぞれ)(看護師)
・心理カウンセラー(和尚さん、牧師さん)の関わり(看護師)
・兄弟が不登校になった場合、専門医に相談することも可能(看護師)
・疼痛緩和に、リハビリの存在も有。(看護師)
・地域の学校から特支に転校することで訪問学級を利用することができる(PT)
・相談員:一緒にプランを作成/Ns:全身管理/訪問介護:排泄介助、吸引/保健師:相談役/学校:教育(PT)


<関係性への働きかけ>
・医療スタッフ(介護も含め)だけでなく、メイクアウィッシュのような団体さんへのアプローチも視野に入れておく。(医師)
・緩和ケアを必要とする児が自宅で過ごすことを考えた時、すぐに診療が可能な往診医や地域の薬剤師、介護士だけでなく、教員、友達に至るまで関わっていく。(看護師)
・多くの関係者が関わることも良い時もあれば家族だけの時間をしっかり持つことも大事、家族の反応をよく見て、関係者の関わりを時々見つめなおす。(看護師)
・姿勢の設定方法について家族だけでなく他職種と共通理解して自分の意思で動きたい時に動けるように誰もが座らせることが出来るようにする。(PT)
・体調の変化など連絡するが、ご家族やご本人の気持ちの変化なども他職種を共有できるようにする。(ST)

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