鳥取大学医学部

■生命科学科および生命科学専攻についてのQ&A-3■

●A3

Q7受験雑誌などでは鳥取大学の医学部生命科学科は理学部の分類になっていますが、他の理学部の生物学科と比べて、学ぶ内容にはどのような違いがありますか?医学に関係したことだけを学ぶのですか?
A

 医学部生命科学科と理学部、工学部生命科学科との違いは、私達の生命科学科が医学部に設置されている点です。そのために、医学の基礎知識を医学科の先生が授業しますし、我々も医者の卵に生命科学の授業をします。科目によっては、医学科の学生と生命科学科の合同授業もあり、医者をめざす学生と生命科学を目指す学生が同じ講義を勉強することになります。また、鳥取大学医学部には保健学科もあり、看護師や検査技師をめざす学生との共通科目もあります。これらのことは生命科学科のめざす目標の一つが、明らかに人の健康を考える学科であるといえます。現在の医療は医者一人で治療ができる時代ではなくなってきました。それぞれがチームワークを組んで、はじめて難病に立ち向かえるのです。医者でもない検査技師でもない生命科学者は病気の基本的なしくみを分子レベルで解明し、新しい治療技術に結びつける研究開発をめざしていると思います。この点が他学部の生命科学科と大きく違う点だと思います。

 現在の医学における基礎研究は、全てが人体でなされている訳ではなく、いろんな動物実験の上に新しい技術が支えられています。事実、生命科学科でも、ヒトの癌細胞を用いた研究の他に、マウスやラットを実験に利用する他、ニワトリの細胞(相同組換えの頻度が高いため)やニワトリの卵(血管新生が観察される)やネコ(両眼視ができる唯一の小動物)、ホヤ、カエルを使った研究など様々です。他の生物で得られた基礎的な知識は、当然ヒトにもあてはまることが多いからです。



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Q8教員免許は取れないのですか?A 生命科学科の卒業生の多く8−9割くらいは大学院に進学します。4年で卒業する人の多くは、製薬会社に就職しますが、大学院修了者は、製薬会社の研究所をはじめ、理研など公共機関の研究所や大学、外国の研究所などに行っています。残念ながら生命科学科の卒業生には医学科や保健学科のような資格はありませんし、現在教育関係の学部が 100km ほど離れた鳥取市にあるため、教員免許も取ることはできません。確かに資格を持つと就職に便利という安心感はあると思いますが、無くても結構いろんな分野で先輩達は活躍しています。といっても、先輩達の中にいろんな資格にチャレンジしている人がいます。放射線取り扱い主任者や技術士補、上級バイオテクニッシャンなどなどです。衛生検査技師資格が取れるかは現在検討中です。科目の読み替えをどの程度できるか検討されています。



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Q9生物を履修していなくても入学後に支障はないのでしょうか?A 結論から申し上げると、二つの理由で支障は全くないと言えるでしょう。
最初の理由としては、入学後の授業は生物を履修していない人も想定して授業が進められます。
 心理学や憲法学など他の基礎科目を例にとると、これらは高校では授業がありませんが皆が問題なく学べるのと同じです。もちろん最初は分からない点もあるでしょうが、適切な参考文献も紹介しつつ授業を進めます。逆に、生物を履修した人にとっても、大学での授業を聞いて高校の教科書に書いてあることはそういうことだったのか、という経験をすることでしょう。
我々は大学院では自主的に研究を進めていける研究者を養成しますが、その前の学部の段階では正しい勉強法を身につけてもらい、自主的に勉強を進めていける学生を養成します。
 ひとたびその方法を習得すれば、短期間でその心配が杞憂であることに気づくことでしょう。実際に高校生物未履修で入学する学生も少なくありませんし、入学後の勉学においては高工事の生物履修、未履修の差は認められませんので、くれぐれもご安心ください。

 もうひとつの理由は、生命科学は驚異的な速度で日々進歩しています。
現在書かれていることの中には、20年前にはまったく書かれていなかったことも多くあります。それでも残念ながら、高校の教科書では、最先端の研究の現場で行われていることまでは述べられていません。つまり入学後、本当に勉強しないといけないことはたくさんあり、高校の生物でカバーできるのはほんのわずかな部分と言わざるを得ません。
 大学院も含めれば4年以上に及ぶ教育・研究過程では、高校での生物未履修は大きな問題とは成りえないこと、大学入学後の勉学においてはそれよりも大切なことがあることがご理解いただけると思います。





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