タンパク質構造の「動き」に注目した医工学連携研究
タンパク質の多様な「立体構造」に注目し,その構造を操る事で病気の予防や治療を可能にする研究を進めています
タンパク質は生物の中で化学反応を触媒し、情報伝達に関与し、運動エネルギーを生み出すなどの多種多彩な働きを見せますが、
これらの働きはタンパク質の基本構造である20種類のアミノ酸から作られる「ポリペプチド鎖」が水中で形成する様々な「形」(立体構造)によって支えられています。
タンパク質の立体構造は、環境の様々な刺激に応じて機能を調節する際に絶えずダイナミックに変化しています。
タンパク質の立体構造が変化し続けることは機能の維持とその調節に非常に重要です。
また、最新の研究では「あえて立体構造を作らない」タンパク質、「天然変性タンパク質」が細胞内に存在すること、
生物にとってそれら天然変性タンパク質は高度な機能の実現と複雑な機能の調節に必要不可欠であることも次第に明らかになりつつあります。
そして、タンパク質の構造が損なわれると「線維」と呼ばれる特徴的な沈殿が生まれ、この線維が時には難治性の疾患発症の原因にもなることが次第に明らかになってきました。
一本の「ポリペプチド鎖」が作る多様な構造とその変化が様々な生命現象や疾患と密接に関連しているというのが最近の認識です。
我々の研究室では、このようなタンパク質の多様な形が変化する様子に焦点を当て、
環境に応じたタンパク質の構造変化の仕組みを紐解き、そのタンパク質の機能との関係を明らかにする研究、
そしてタンパク質の構造ダイナミズムが生物内で保たれるように裏で支えている「分子シャペロン(介添え役)」という特殊なタンパク質の存在に注目し、
その働きを理解する研究を進めています。
最近の研究では、ヒトにある天然変性タンパク質の一種、αシヌクレインがパーキンソン病などの神経変性疾患を引き起こす機序を明らかにする研究や、
病原性大腸菌にあって大腸菌を保護する分子シャペロンHdeAが見せる多様な構造に注目し、その構造を薬などで操り病原性大腸菌を駆除する方法を探るという、
創薬につながりそうな研究も進めています。

論文一覧
2024年
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RNA G-quadruplexes form scaffolds that promote neuropathological α-synuclein aggregation
Kazuya Matsuo, Sefan Asamitsu, Kohei Maeda, Hiroyoshi Suzuki, Kosuke Kawakubo, Ginji Komiya, Kenta Kudo, Yusuke Sakai, Karin Hori, Susumu Ikenoshita, Shingo Usuki, Shiori Funahashi, Hideki Oizumi, Atsushi Takeda, Yasushi Kawata, Tomohiro Mizobata, Norifumi Shioda, Yasushi Yabuki
Cell
2024-10
DOI:
10.1016/j.cell.2024.09.03710.1101/2023.07.10.548322
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RNA G-quadruplexes and calcium ions synergistically induce Tau phase transitionin vitro
Yasushi Yabuki, Kazuya Matsuo, Ginji Komiya, Kenta Kudo, Karin Hori, Susumu Ikenoshita, Yasushi Kawata, Tomohiro Mizobata, Norifumi Shioda
2024-03-03
DOI:
10.1101/2024.03.01.582861
2023年
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Effects of the Polyphenols Delphinidin and Rosmarinic Acid on the Inducible Intra-cellular Aggregation of Alpha-Synuclein in Model Neuron Cells
Hanae Yamamoto, Rio Matsumura, Miho Nakashima, Mayuka Adachi, Kenjirou Ogawa, Kunihiro Hongo, Tomohiro Mizobata, Yasushi Kawata
Applied Biochemistry and Biotechnology
2023-01-19
DOI:
10.1007/s12010-023-04362-8