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トップ > トピックス > ヒト薬物代謝予測のためのヒト型UGT2, CYP3A染色体導入ラットの作製に成功

―安全性予測の向上、医薬品開発のスピードアップと成功確率向上に期待―

鳥取大学染色体工学研究センター・大学院医学系研究科機能再生医科学専攻遺伝子機能工学部門 准教授である香月康宏が率いるグループが、ヒトにおける薬物代謝や安全性を予測するために、鳥取大学発の人工染色体技術を用いてヒトの薬物代謝酵素の遺伝子群を導入した「ヒト型ラット」の作製に成功し、「PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF THE UNITED STATES OF AMERICA」(電子版)に論文掲載されました。 これを受けて、平成31年2月6日(水)に香月康宏准教授が出席し、記者説明会を行いました。

香月准教授らのグループは新たに開発した人工染色体技術を用いて、従来の遺伝子導入技術では導入できなかった、重要な薬物代謝酵素であるヒトCYP3AクラスターならびにヒトUGT2クラスターの遺伝子のラットへの導入に世界で初めて成功しました。さらにゲノム編集技術を利用して、もともと存在するラットのCYP3A遺伝子やUGT2クラスターを破壊することで、完全なヒト型CYP3A/UGT2ラットの作製に成功しました。

本研究開発によって、ヒトに対する安全性予測が向上すると共に、医薬品開発のスピードアップと成功確率向上に大きく貢献できるものと考えられます。
さらに、人工染色体技術とゲノム編集技術によるヒト型ラットの作製技術は、医薬品開発のための抗体産生ラットや疾患モデルラットの作製にも有用な技術になると期待されます。

なお、本研究はAMED創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業、日本学術振興会科学研究費助成事業(基盤研究(B))などの支援を受けて行われました。

【論文タイトル】
Humanized UGT2 and CYP3A transchromosomic rats for improved prediction of human drug metabolism(和訳:ヒト薬物代謝予測のためのヒト型UGT2, CYP3A染色体導入ラットの作製)

【著者】
Yasuhiro Kazuki, Kaoru Kobayashi, Masumi Hirabayashi, Satoshi Abe, Naoyo Kajitani, Kanako Kazuki, Shoko Takehara, Masato Takiguchi, Daisuke Satoh, Jiro Kuze,
Tetsushi Sakuma, Takehito Kaneko, Tomoji Mashimo, Minori Osamura, Mari Hashimoto,Riko Wakatsuki, Rika Hirashima, Ryoichi Fujiwara, Tsuneo Deguchi, Atsushi Kurihara,
Yasuko Tsukazaki, Naoto Senda, Takashi Yamamoto, Nico Scheer, and Mitsuo Oshimura

https://www.med.tottori-u.ac.jp/news/25401.html より

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