教室員受賞

教室員の受賞と新聞報道

2006年度 日本痛風核酸代謝学会賞受賞
「循環器疾患における高尿酸血症の病態と臓器障害」

鳥取大学・院医・機能再生医科学専攻
遺伝子再生医療学講座(再生医療学部門)
久留一郎

循環器疾患患者の骨格筋や心筋ではプリン体異化亢進し筋原性高hypoxanthine(HX)血症に引き続いて酸化ストレス、高尿酸血症およびアデニンヌクレオチドの枯渇が生じ心血管障害に寄与する仮説を以下に示す研究を基に提唱してきた。

1)循環器疾患に見られる筋原性高HX血症の病態:
運動耐応能の低下する疾患(甲状腺機能亢進症、ミトコンドリア筋症、インスリン依存性糖尿病、Fabry病、透析患者)では骨格筋が運動中に嫌気性代謝閾値を超え乳酸の産生過剰を伴って筋原性高HX血症が生じる事を示した。またHGPRTase欠損痛風ではサルベージ回路障害が、糖原病ではグリコーゲン分解の阻害が筋原性高HX血症を生じる。そこで循環器疾患患者のプリン分解機序を検討すると、心不全ならびに高血圧ではプリン分解を起こす閾値が低下し日常労作程度の運動で乳酸上昇を伴い骨格筋の相対的ATP供給障害による高HX血症を生じる。特に高血圧症ではNO産生障害やa受容体ならびにCaチャンネルの活性化が筋原性高HX血症を生じ血清尿酸値を上昇させる。この分子機序として筋型AMP deaminase1が機能的ドメインを介して細胞内のATPの低下を感受し細胞質からミオシン重鎖に移動し結合して活性化することで生じる。

2)循環器疾患に見られる高HX血症と血管障害:
高血圧患者では筋原性高HX血症の程度に従って運動中の血圧・心拍数と血清尿酸値が増加し、この高HX血症はアデノシン産生と逆相関を示した。以上より筋原性機序で生じた尿酸およびHXが尿酸に変換するときに生じる酸化ストレスが血管内皮障害を来たし血管のtoneを上昇させ、さらに筋原性高尿酸血症に合併する筋のアデノシン産生低下がこれを助長して運動時の血圧上昇反応に関連すると考えられた。

3)ヒト心房筋でのプリンヌクレオチドの枯渇:
筋原性高HX血症は心筋でのアデニンヌクレオチドの枯渇に関連する。心房細動心筋ではミトコンドリアDNA欠失に関連した嫌気性代謝の亢進とAMPD2,3の活性化を介してATP産生低下とプリン分解が生じアデニンヌクレオチドの枯渇を来している事が判明した。以上よりミトコンドリア機能が低下する循環器疾患ではAMP deaminaseを活性化し筋原性高HX血症が生じ高尿酸血症のみならず酸化ストレスを介して血管障害や筋のアデニンヌクレオチドの枯渇を引き起こす可能性がある。

4)尿酸による新しい血管障害機序の提唱:
高尿酸血症ならびに低尿酸血症はそれぞれ異なった機序で血管障害を起こしえる。高尿酸血症は実験的には血管内膜肥厚と血管平滑筋増加による血管内向きリモデリングを来たし臨床的には血管内皮機能障害を惹起する。URAT1欠損に合併する低尿酸血症は酸化ストレスの相対的増加に伴う血管攣縮を惹起することで血管を傷害する。

受賞

平成18年11月25日(土曜日)に山口大学大学院器官病態外科教授 濱野公一会長の主催で開催されました第89回日本循環器学会中国地方会(宇部全日空ホテル)で厳正な審査の結果、鳥取大学大学院医学系研究科機能再生医科学専攻 再生医療学部門 松浦 隆先生が今年度のYIA(Young Investigator Award)賞に選ばれ表彰されました。おめでとう御座います。

受賞演題は“血管新生治療における肝細胞増殖因子遺伝子および骨髄由来血管内皮前駆細胞移植治療の比較と併用効果の検討”です。今後の松浦先生の活躍に期待します。

これを機会に若い先生方は臨床研究・基礎研究をYIA賞に応募してみてはいかがですか?審査員8名が採点して総合点で決めるとう厳正な審査法です。

ナニ マハラニさん優秀賞

 

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2011/10/14

李先生山陰中央新報に

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2011/09/30

李先生新日本海新聞に紹介

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2011/01/30

読売新聞に紹介されました

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投稿日 2011/01/30 94)新聞紹介記事 |  

久留記

Update : 2014-09-26