放射線治療科教授 ご挨拶
近年めざましく目覚ましく進歩を遂げる放射線治療

教授 吉田 賢史
日本におけるがんによる死亡率は非常に高く、心疾患や脳血管疾患を抑えて圧倒的一位となっています。
がん治療はいくつかの分野に分かれますが最も大きな枠組みが、外科的治療、化学療法、そして放射線治療です。
いずれもがんを根治に導くものとして欠かすことが出来ないものであり、近年目覚ましい進歩を遂げています。
もちろん放射線治療も日々進歩を遂げており、その発展は他の分野に劣らないものであります。
悪性腫瘍の根治に貢献
放射線治療の目的は様々ですが、最も重要なことは悪性腫瘍の根治に貢献することです。そして副作用を出来るだけ少なく、安全に放射線で局所制御するということを我々は常に目指してきました。その中で発展してきたのが、強度変調放射線治療(IMRT)です。IMRTというのは、放射線のビームの強度に強弱をつけることにより、不必要な部位への線量低減化を可能としたものです。これによって安全性の高い治療が提供できるようになりました。
IMRTの積極的施行
鳥取大学では、IMRTの積極的施行に力を入れています。私が赴任したのは2020年6月でした。その頃IMRTは全体の約20%でしたが、就任後すぐに目標を50%としました。そして2021年度に入り、スタッフの協力・努力によりその目標は達成されています。また、2022年5月に新規リニアックが稼働し、肺のみに対して行っていた定位放射線治療(いわゆるピンポイント照射)が、脳に対しても施行可能となりました。これにより患者様及び病院のニーズにより則した放射線治療を提供させていただくことが出来るようになっています。しかし、技術面の進歩だけでなく、安全面にも最大限に配慮し、そして患者様が安心できる治療も心がけてゆきたいと考えております。
県内における小線源治療全般の重要な役割を担う
当院ではさらに、体内に小さな線源を挿入または刺入すると言う小線源治療にも力を入れています。その中心が画像誘導小線源治療(IGBT)です。IGBTというのはCT/MRIを用いた3次元的な小線源治療を行うもので、特に婦人科腫瘍において発展を遂げています。当院では画像精度の高いMRIを用いたIGBTを行っています。その他にも前立腺癌に対するシードの永久刺入療法、甲状腺癌に対するアイソトープ内用療法の専用室も所有しており、県内における小線源治療全般の中心的施設として重要な役割を担っております。
放射線治療医の育成に注力
大学病院は、最新の治療を幅広く患者に提供することに加え、教育、及び研究を行うことが非常に重要です。特に放射線治療医を育成し、県民の皆様に最新の癌治療を提供するということは当科にとっては非常に大切なことであり、学生時代からの教育に力を入れて医局員全員で当たっております。日本において鳥取県は放射線治療医が最も少ない県の一つであります。この現状は改善しなければならない最優先課題の一つであり、そのためにも教育には真摯に取り組んでゆきたいと考えています。
当科は2020年の6月に放射線治療科として正式に独立いたしました。スタッフの数こそ多くはないですが、全員が熱意を持って臨床業務や教育、及び研究に取り組んでいます。県内外を問わず、放射線治療という分野でがん医療に貢献したいという方の受け入れ体制は万全にしておりますので、興味のある方は是非ご連絡ください。よろしくお願いします。
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問合せや施設見学を随時受付中です、お気軽にご連絡ください。
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日本医学放射線学会
日本放射線腫瘍学会