西部島根医療福祉センター 脳神経小児科 大野 貴子先生

経歴

鳥取大学卒 平成8卒業

所属学会

日本小児科学会、日本小児神経学会  日本小児心身医学会(編集委員・研修委員)
日本小児精神・神経学会(代議員)

専門医・認定医

日本小児科学会専門医
日本小児心身医学会 認定医・指導医
日本小児精神・神経学会 認定医

専門領域

小児心身症・発達障害(高次脳機能障害)
二次障害・重度心身障害児者医療

学生や研修医への提言

私が医者になった時、鳥取大学では現在の研修システムはまだなく、卒業と同時に脳神経小児科に入局しました。小児科、NICUローテートがあり、その後の益田赤十字病院で一般小児科医として勤務し、はじめの3年間で基礎を身に着けることができたと思います(専門医症例も必要十分でした)。
 研修を受ける中で感じた脳神経小児科と一般小児科との違いは、治癒する子の圧倒的な少なさでした。もともと障害児医療に関心があり、子どもが好きで脳神経小児科を選んだ私ですが、回診やカンファレンスで「主治医としての考えは?」「この子に何をしてあげられる?」と突っ込まれるたび、医者なのに治せないジレンマと自分の不甲斐なさを痛感していました。そんな時、いつも穏やかに真摯に患者さんやご家族と向き合われる先輩の先生方の姿はともて心強く、自分の選択は間違えではなかったと何度も励まされました。
 現在、私は(当初の目的通り)小児心身症・発達障害・重心児者医療を専門にしています。どれもとても時間がかかり、「治す」ことは難しいです。ですが、子どもたちの持つ「力」はなかなかすごくて、長い時間の流れの中で、「できること」が増えたり、「よかったこと」を発見できたり、患者さんや周りの人たちと、小さいけど多くの喜びを共有することができる素敵な分野でもあると実感しています。

脳神経小児科は小児神経の専門診療の研修はもちろんですが、じっくり「寄り添い」、患者・家族の声にならない声を聴くための、心構えや、知識を身に着けることのできる、希少な科でもあると思います。先生方は、(一癖二癖ある方もいますが)みんな「優しい・いい人」でした。子どもに叩かれ、「ば~か」と言われてもニコニコし、お母さんの訴えを一緒に涙ぐみながら聞き、しっかり勉強する、そんな先輩方に囲まれて研修できたことは幸せなことだと思います。